オーディブルで、今年の本屋大賞受賞作品

朝井リョウ イン・ザ・メガチャーチを聴いてみました。


再生時間は15時間とあったので、最後まで聞き終わるかなぁと思っていましたが、いざ聞き始めると人物ごとに章が独立していて、音声でも理解しやすかったです。

長編小説で登場人物がたくさん出てくると、オーディブルだと誰のどんな話なのかついていけなくなってしまいます。

だから朝井リョウさんの正欲は未だ脱落したままです。


本の内容は

離婚し一人で暮らす中年男性と、別れて暮らすその娘、そして推し活をしている別の30代女性の話からスタートします。


娘を持つ独り暮らしの父親や、周りに馴染めない女子大生、推し活をしている独身の派遣社員たちの生活や心情などが詳細に語られていて、

朝井リョウさんは(おそらく)子供がいない30代なのに、なぜここまでリアルに人物を書きわけられるんだろうと感心していました。

そして、ぐんぐんと物語に引き込まれていきました。


タイトルを見ただけだと宗教的な?中世ヨーロッパ?というようなイメージがありましたが、全くの誤解で現代の日本が舞台でした。


コロナ禍の都市伝説界隈で語られていたような、俳優の自○ニュースやそれを取り巻くマスコミやネットの反応などにも触れていて、結構切り込んだ内容も盛り込まれていたのでとても興味深かったです。

ここ5年くらいの日本をダイジェストでお届けされたような、登場人物のどのターンでも聞いていてヒリヒリするような感覚が味わえました。


日本は無宗教の人がほとんどだから、それに取って変わるように推し活がブームになっているみたいです。

そっか、推し活って信仰だったのか。それなら若者がやたらと神という言葉を使いたがるのも納得です。

この本では何かにのめり込む尊さと危うさについて描かれていました。



私は10代の頃推し活にハマり、30代の頃宗教的な活動をしていたので、この本の中に出てくる人たちの行動については共感できる部分もありました。

しかし終盤に行くにつれて、登場人物がどんどん迷走していくので、流石にそれはないだろ、いや日本のどこかでこういう世界があるのかもしれないなと思って聞き続けました。



この作品の最後の締めくくり方が

『信じるか信じないかは、あなた次第です』と突然言われたような、少し興ざめする感じがありました。

まあそれも含めて、フィクションだったんだよなと安心できたし、推し活の終了を言い渡されたような、満足感の中でのなんとも言えないほんの少しの後味の悪さも感じました。