古来あん摩は、疾病の治療および予防、あるいは保健の目的で、手徒により、一定の方式に従って、普通、衣服の上から遠心性(心臓から離れる)に施術する技術です。


 抑按の「按」と調摩の「摩」をとって 一般に「按摩」と言われるようになりました。


 「按」の意味は「押さえること」即ち瀉術のことであり、「摩」の意味は「撫でること」つまり補術を意味します。


 従って、あん摩は東洋医術の刺激の与え方の二大原則を 基礎とする補瀉の療法であると言われています。



 あん摩の効果としては、循環機能が改善され、血液・リンパの流れを促進し組織の栄養をに調節する。
 その他、筋の疲労を回復し作作業能高めまた神経を 適度刺激して爽快感を与え、その機能を力、分泌、排泄などを盛んにし、全身の新陳代を高める。
 また内臓の働きを活発にして、消化・吸収、呼吸謝を旺盛にする、などが上げられています。


 さて、按摩は、本来中国から伝来した手技療法です。

 我が国に伝来したのは、おおよそ他の医学や仏教などの宗教と同様に奈良時代だろうと言われています。


 ところが、その後、公からは按摩の文字が消えます。
 わずかに江戸期の浄瑠璃本などに散見できるだけです。
 新たに按摩についてがはっきりと表出したのは、江戸も後期にさしかかる頃です。
 いくつかの按摩の書物が著されたのです。


 中でも重要なのが、導引口訣鈔(宮脇仲策)、按腹鍼術按摩手引(藤林良伯)、按腹図解(太田晋斎)の3書です。
 
 按腹図解は、現行の按摩法に最も近い方法が述べられています。
 特にこの書における解釈の術は、線状に手指を動かす現在の按摩の揉捏法の中心手技そのものといえるでしょう。



 ただ一般には、あん摩とマッサージが混同されている所があり、あん摩のよさが分かりずらいところがあります。
 また、あん摩は曲手といって、素人には真似できないようなやり方を考案していますので、それが逆に、あん摩は難しいと思われているかもしれません。