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くろすろーど

国公労連オフィシャルブログ★貧困と格差なくし国民の暮らし守る行財政・司法へ

神部紅/首都圏青年ユニオン
第1回:無力感を打ち破る


なぜ「助けて」と言えないのか


 人は、自分の質問や悩みをだれかに真剣に聴いてもらったことがあれば、「人に頼ってもいい」「声をあげても大丈夫」と思えるようになる。これは生まれ持って身についている能力ではなく、経験によるものだろう。


 しかし、いまの若者の多くは、そういう経験がないまま社会に放り出され、生活や住まいがおびやかされても、「助けて」と言えず、誰かに頼ることを「恥」と考える傾向がある。そういった若者たちに、私たちが「たたかえ」「たちあがれ」と安易に迫っても心には届かない。


 あきらかに追いつめられている状況で、ひとりの力ではその状態から脱出できないにもかかわらず、「自分でなんとかします」「こうなったのも自分の責任なんで」という気持ちを強くもっている。点数や順位をつけられ、競争主義的環境のなかに浸ってきた若者たちは、客観的に見たら「それ、おかしいよ」「なんとかしなきゃ」と思うことであっても、「いや、大丈夫です」と、自分で抱え込んでしまってまわりに頼れない。


 「自己責任」という言葉を、社会も、彼ら自身も口にする。


 困っていても、それをうまく「表現」できない。これは、助けあいを本質とする私たちの運動にとっては、なかなか大変なことだ。「素直に」「率直に」といっても、それが表に出てこない。では、どうすればいいのか。



権利要求の「発声練習」


 私は、「表現」しづらい、声を出しにくいのであれば、少しでも声が出せる場、いわば「発声練習の場」をつくることが大切だと考える。そうした場を通じて、私たちは「助けて」といわせない社会のあり方を、するどく問題提起していく必要があると思う。


 権利要求の経験を持たない“不器用”な若者たちを社会や運動から遠ざけない、排除しない。自分たちが声をあげても何も変えられないという無力感を、権利を主張すれば変えられるのだという経験で、丁寧にくつがえしていく。そのためには、声をあげてたたかう元気がある仲間を組織し、そのたたかっている姿を、まだうまく声を出せない人たちの身近で見せるような関係性を意識的につくることが重要だ。


 それは単なる机上の学習では取り戻せない。一つひとつ、不当解雇や賃金不払いなどの違法行為とのたたかいで、小さくても勝つという経験を自らくぐることが大切なのではないだろうか。そうした小さな積み重ねがあってはじめて、「声をあげれば変えられる」「人に頼っていいのだ」という感覚を少しずつ取り戻せる。ひとりではなく、「それっておかしくない?」と指摘しあえるような、ともに支え合う仲間がいることによって、自分の抱えている困難が「自己責任」によるものではなく、社会的、構造的な問題であるということに気づいていくのではないか。



たった1人のためにでも


 首都圏青年ユニオンは、1人で加入してきた組合員であっても、その事案を可能な限りオープンにし、団体交渉で切り込み、必要であれば青年ユニオン顧問弁護団と一緒に、第三者機関の活用も積極的に行う。


 青年ユニオンは、従来の労働組合の内にもあった、いわゆる「青年部」ではなく、労働組合として交渉権も争議権もひっさげて立ち上がった。たった1人の若者のためにでも、組合員であれば、誰もが制約無く、よその職場の団交に参加している。たとえ仕事を辞めてどこへ流れてもメンバーでいられる。誰もが団体交渉や司法闘争を通じ勝利を目指すことができる。この当たり前のことが、労働組合の常識に必ずしもなっていない。


 学習や集会はもちろん大切だが、主体性がそれで育つとは限らない。そもそも団交にも戦術決定にも加えてもらえずに、組合活動に熱心になれる青年がどれほど育つというのだろうか。


 若者が自身の働く場で自己実現を希求する限り、直接の交渉権と戦術手段を自ら手にし、よりよい賃金と労働条件をもぎ取りに行きたいと思うのは自然なことだろう。


 世の中には、実践と修練によらず、技能や創造活動の継承が叶うような営みなど一つとしてない。それは労働運動においても同様だろう。青年たちには、労使交渉の実践と修練の機会がいま一番必要であり、そうして初めて、組合が自分の仕事や毎日の生活に直接的に関わっているのだと感じられるに違いない。



「自己責任」を突破する瞬間


 青年ユニオンが活動の基本としているのは「組合員全員参加型」というスタイルだ。


 会社との交渉、裁判などの傍聴、学習会や集会参加などの行動はメールですべての組合員に声をかける。生活が困窮している組合員には基本的に交通費を支給する。するとみんなが応援にくる。交渉前に毎回打ち合わせをし、おわった後にはみんなで感想を出し合い、交流をする。そして当事者も参加者も、参加できなかった組合員にむけて感想メールを流して共有する。


 応援に駆けつけた組合員は、声を上げずに交渉を見守るだけであっても、当事者にとっては、自分のために、(時には仕事まで休んで)来てくれただけでうれしい。参加者も、当事者から感謝されるだけでなく「自分がここにいることでこのたたかいに勝ったのだ」「なにか役に立てたかもしれない」と感じる。


 「自己責任」に押し込められてきた若者が、「まんざらでもない」自分と出会う瞬間だ。そういった体験が自らのなかに醸成されていくことで、自分たちが主体的に動けば少しずつ社会が変わることを肌で感じられる。他者とつながることが、前向きな変化を起こせるのだという深い実感につながってゆくのだ。



勝利は新たな動機へ


 「自分の職場は変わらない」「政治は変わらない」という無力感を、「誰か」にお任せしてひっくり返してもらうのではない。


 違法な行為に対しては、仲間に支えられながら丁寧にたたかえば、時間がかかろうとも必ず勝てる。自分が遭遇している困難さが、実は社会の構造によって生み出されていることを実感する。この反復によりたたかう力が醸成され、無力感は克服されるのだ。奪われた「憤り」の感覚は、仲間とたたかうことによってこそ、取り戻せるのである。


 私たちは学習も重視しているが、このような実感が、労働者としての権利意識を形成し、政治意識の高まりにつながるという相乗効果を生んでいる。


 流動する青年労働者が、従来の労使関係の制約をものともせず、企業の壁など無いかのように自在に交渉して回る。ここに、これまでなかった運動の萌芽がある。そして、勝つことが、次なるたたかいの動機となるのだ。




首都圏青年ユニオン パート・アルバイト・派遣・正社員、どんな職業、働き方でも、誰でも一人でも入れる若者のための労働組合。労働相談の受付は、電話03-5395-5359まで。


じんぶ あかい 1982年生まれ。工業高校を卒業後、内装業やタイル工、デザイナーとして働く。正社員と非正規社員のどちらも経験。千葉青年ユニオン委員長を経て、2012年3月から首都圏青年ユニオンへ。現職は事務局次長。高校・大学での労働法講義や24時間営業店舗の夜回り調査、若者ホームレス支援、Let's DANCE署名推進委員会など、旧来の労働運動の枠を超えて活躍中。


イラスト 大江萌


※リレー連載「運動のヌーヴェルヴァーグ」では、労働組合やNPOなど、様々な形で労働運動にかかわる若い運動家・活動家の方々に、日々の実践や思いを1冊のノートのように綴ってもらいます。国公労連の発行している「国公労調査時報」で2013年9月号から連載が始まりました。

明けましておめでとうございます。

2012年の10月以降、更新が止まっていた当ブログですが、2014年からまた少し形を変えて再始動したいと思います。

2012年の秋に国公労連のホームページがリニューアルし、それまで当ブログで発信していた情報(主に国公労連の出す速報の内容)をHPに掲載するようになりました。そのため、当ブログは結果的に載せる記事がなくなり、しばらく停止してしまっていました。

今後は、公私織り交ぜ、よりブログらしい運営をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

まず最初は、「国公労調査時報」に連載中の「運動のヌーヴェルヴァーグ」から、バックナンバーを紹介していきます。

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年10月1日《No.2827》


 【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.70】
 乱暴な解雇やめよ!厚労省・企業の横暴は許さない
 東京地評が「9.20争議支援総行動」を展開


くろすろーど-2  東京地評は9月20日に「9.20争議支援総行動」を実施し、「大企業は内部留保を被災者と労働者に使え!司法は公正な判決を」など解雇や労働組合つぶしをはじめとする企業による横暴を許さず、すべての争議の早期全面解決を求めました。争議組合や争議団が、当該企業前や中央省庁、東京地裁前などでの行動を終日展開。国公労連もこの行動に結集して東京・首都圏の民間労働者と一緒に声をあげました。


 「不当解雇撤回11.2中央総決起集会」への多数の参加を訴え


 11時45分からはじまった社保庁職員の分限解雇撤回を求める厚生労働省前要求行動には、JAL原告団や東京争議団が組合旗を携えて集結しました。


 主催者あいさつした東京地評の松本事務局長は、「労働者を守る任務を担う厚労省が自らの職員のクビを切るとは断じて許されない。ベテラン職員をすぐ職場に戻すとともに、日本年金機構職員の6割を占める非正規労働者の処遇改善など、厚労省はすべての労働者を守るべきだ。たたかえば必ず展望が開ける。ともに連帯しよう」と呼びかけました。


 連帯あいさつした東京国公の植松事務局長は、「安心年金つくろう東京は、駅頭宣伝を15回実施するなど運動を展開している。東京国公は、JAL、民事法務協会、社保庁不当解雇撤回を3大争議として官民共同でたたかっている。すべての争議解決にむけてたたかう」と力強く訴えました。


 続いて、年金者組合東京の金子委員長が、「日本年金機構になってベテラン職員が解雇され、非正規職員の不十分な教育での窓口対応の結果、新たな年金相談が年金者組合に寄せられている。国民に大きな不安と被害を与えている実態を厚労省はどう考えているのか」と批判。中野区打越保育園・ピジョンハーツ争議団の荒木さんは、「中野区の指定管理者・ピジョンハーツが運営する打越保育園で、組織ぐるみのいじめ・パワハラと解雇事件が起きている。民間を指導している厚労省が職員を解雇するなら、国民生活のための社会保障と保育は守られない」と訴えました。


 決意表明した全厚生闘争団の国枝事務局次長(国公労連中央執行委員)は、「私たちは職場に戻るため、勝ち抜くまで最後までたたかう。11月2日に開催する『社保庁職員不当解雇撤回11・2中央総決起集会』へのご参加をお願いします」と運動への支援を訴えました。



 解雇撤回、雇用確保で争議の早期解決を!
 社保庁職員の不当解雇の撤回を求め厚労省に要請


 厚生労働省前要求行動の後、厚労省に対して社保庁職員の解雇撤回を求めて要請を行いました。要請は東京地評の松本事務局長と東京国公の植松事務局長、年金者組合東京本部の金子委員長、中野区打越保育園・ピジョンハーツ争議団の荒木さん、全厚生闘争団の國枝さんと伊藤さんで行い、厚労省は年金局総務課の武田課長補佐他2名が対応しました。


 冒頭、松本事務局長が武田課長補佐に要請書を手渡し、旧社保庁職員の分限免職処分の撤回と雇用の確保、北久保さんの分限免職処分を取り消して身分と権利を回復すること、年金機構について正規職員の増員による業務体制の拡充を求めました。


 植松事務局長は、「国家公務員は身分が保障されている、年金の業務は社保庁解体後も継続しており、雇用が守られるはず。農水省の定員純減に対しては省内異動や他省庁への転任で一人の解雇もなかった。本来はこのように処置されるべき。公務員全体が不安にかられている状態だ。現在の年金職場は非常勤職員が多く、混乱や業務の間違いがある。ベテランがやめて十分な経験や研修なしに業務に就いている。525人の職場復帰をさせるように求める」と述べました。金子委員長は、「年金問題の発端は、年金行政が不十分であることや、年金そのものが不十分であることにあり、年金で老後を支えることができないことを放置してきている。こうしたことは政治家が責任をとるべきなのに、労働者にのみ責任を負わせている。解雇は取り消すべき」と発言。ピジョンハーツ争議団の荒木さんは、「厚労省は民間に雇用の安定を指導する立場。社保庁職員への厚労省の対応により民間でも首切りが横行してしまうのではないか不安だ」と述べました。


 全厚生闘争団の伊藤さんは「現在行われている裁判では、厚労省の欠員に対しては社保庁職員を優先的に配置する義務はないと主張しているが、道義的責任はないのか。納得がいかない」と発言し、國枝さんは「解雇から2年9ヶ月になり当事者は精神的に不安。争議が早期解決できるよう対応を求める」と訴えました。


 要請に対して武田課長補佐は、「人事院の審理は最終段階に来ていると思う。人事院の求釈明に対する回答は行ってきたが、さらなる質問が来た場合は、早期に対応したい」、「従来から処分は適法に行ってきたとの考えに変わりはなく、撤回はできない」、「懲戒処分歴のある者の年金機構の採用については閣議決定上できず、年金機構も決定を遵守している」、「北久保さんの身分と雇用の回復については、厚労省内で検討した結果を本人に伝えている。総務課長より減給分の返金以外の対応はできない旨を説明している」、「年金機構の正規職員の数は閣議決定で決まっている。経験の浅い職員で全てカバーするのが難しいことは認識している。年金機構も承知しており、教育の徹底などよい方向にむかうよう努力している」と回答しました。


 この回答に対して植松事務局長が、「トップの幹部・政務官に職場実態を伝えてほしい。雇用確保の道について現在の制度でやれることの追及をしてほしい」と述べて要請を終えました。

                                             以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月26日《No.2826》


 「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争ニュース 第6号
 公務員の権利回復と賃下げスパイラル
 断ち切る国民的運動への発展を


 「公務員賃下げ違憲訴訟」に関わって、各地のとりくみを紹介します。定期大会での訴えや街頭宣伝を積極的に展開しています。


 《岡山県国公》
 国民生活を守る運動を地域から
 ~岡山県労会議第24回定期大会での訴え~


 9月1日(土)、岡山県労働組合会議第24回定期大会において、岡山県国公は、定期大会に参加した代議員の間で話し合い、「公務員賃下げ違憲訴訟」への協力を3名で急きょ訴えました。


 (発言①) 国家公務員には労働三権が保障されておらず、その代償措置ということで、人事院勧告が出されているが、昨年はそれすら実際には無視され、一方的に復興財源を捻出するとして7.8%、平均50万円の賃下げとなった。公務員への攻撃が強くなっているが、公務員を減らせば公的なサービスはどうしても低下する。社会保障を担う公務員が減り、労働基本権が守られない事態が進行している。公務員攻撃に負けない組合運動の強化に全力をあげていく。公務員の賃下げは最終的には600万人に影響するとされ、その結果として3兆円の賃金カットとなる。実際には2兆数億円も消費支出が下がる。2,900億円の復興予算の確保とされるが、税収も4,000億円下がる。当時、連合は公務員の賃下げは労働基本権との抱き合わせで飲んだとされるが、実際には労働基本権の回復は見送られ、団体交渉に応じない民間の動きを助長するだけだ。我々は370人が原告となって賃下げ違憲訴訟をたたかうと決めた。国民生活を守る運動を地域からつくりたい。
 国の機関の非正規雇用について、10年前より正規職員が減らされ、正規職員は70万人から30万人に減少、一方、国の機関の非正規職員は15万人であり、大体の時給は900円で年収は200万円以下だ。国が低賃金を許している。正規職員と非正規職員の均等待遇を求める運動を前進させる必要がある。


 (発言②) 若い国家公務員の賃金は正規職員でも時給換算すると高卒直後の場合、850円にまで賃下げが進められていて、このままいくと最低賃金以下で国の正規職員が働く事態になる。賃下げの負のスパイラルを変えるためにも、若い人が暖かい家庭を築くためにも裁判へのご協力をお願いします。


 (発言③) 国家公務員の動きに連動して、独立行政法人の賃下げが画策されたが、全医労本部を挙げて署名と要請書提出の運動に取り組んだ結果、幹部職員以外の賃金カットは止めることができた。しかし、現在も国家公務員であるハンセン病療養所の職員は賃下げとなった。


 蛇足ですが、この定期総会において、組合の事務局員等の初任給格付けや昇給、通勤手当について、国家公務員の関連法を参考にしているため、規約の一部改正がありました。このようなところにまで影響を及ぼすとは全く知らなかったので「国家公務員の賃下げの影響が実際にはどこまで及ぶのだろう。想像よりかなり大きいのではないか」と痛感しました。


 定期大会終了直後には、大会参加者からの団体署名や個人署名が集まったことで、協力を訴えてよかったと思いました。今後も少しずつですが協力の輪を広げていきたいと思います。



 《山形県国公》
 宣伝カーから街頭宣伝行動


 9月14日(金)、9月も半ばだというのにまだまだ暑い夕刻、山交ビル前(山形市内)にて、「賃下げ反対、公務・公共サービス拡充宣伝行動」を実施しました。


 今回は、前回までの行動で、訴えの音声が届きにくいとの反省をふまえて、県労連から宣伝カーを借用しての行動となりました。当日は、県国公から7名、春闘共闘・県労連から8名、総勢15名が集まりました。


 街頭演説をする中、行動参加者は、前回同様にビラ・ティッシュを渡したり、のぼり・横断幕をもったりしながら、公務員賃金引き下げの理不尽さや消費税増税が景気に与える影響などを訴えました。


 前回と比べ、行き交う人々の人数が心なしか少なく、ビラ・ティッシュは140セットの配布にとどまりました。しかし、今回も、特に混乱もなく、立ち止まって私たちの主張を確認していく方や、また、「応援している」と声を掛けてくれる方がいるなど、一定の手応えを感じた取り組みとなりました。


 次回の宣伝行動は、10月12日(金)18時から、今回と同様に山交ビル前にて行動を予定しています。誰もが納得できないことについて、行動で表すことが必要です。ともに行動しましょう。


 【賃下げ違憲闘争ニュース山形県国公〔9月24日(山形県国家公務関連労働組合共闘会議)VOL.3〕より】

                                           以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月21日《No.2825》


 【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.69】
 不当解雇撤回めざして支える会の拡大を確認
 全厚生闘争団を支える会第3回総会開く


 9月8日午前、全厚生闘争団を支える会第3回総会が都内で行われ、11団体33名が参加しました。


 総会は全厚生年金機構本部支部の北畠支部長の司会で行われ、開会あいさつにたった代表世話人の宮垣国公労連委員長は、「野田内閣は、日本再生戦略として正規雇用から非正規雇用の社会にする。解雇は金銭で解決する。このようなことをまずは公務員から実践し、民間に拡大することを提案している。社保庁の分限免職の1年後にJALの不当解雇が起こっているが、両者は共通している。経営責任を労働者に押し付け、整理解雇前に多数の職員が退職し、整理解雇後大量に正規職員を雇い入れている。解雇自由の流れをストップし、解雇規制をつくるためがんばり支えていく」と述べました。


 その後、支える会の飯塚事務局長が支える会のこれまでの経過と到達点を報告。前回総会から8月25日までで、個人会員は3383人で769人の増、団体会員は470団体で274団体が新たに支える会に加入したことや、前回の総会での確認どおり200万円を当事者の生活支援に充てたことを報告しました。今後の方針では、支える会の会員のさらなる拡大と、闘争団に500万円の生活支援を行っていくことなどを提案しました。


 また、社保庁不当解雇撤回弁護団の萩尾弁護士が人事院審理と裁判闘争の情勢を報告し、「裁判では、国は任命権者しか分限免職回避義務を負わないと主張。回避義務者の範囲を狭めた主張で、審理を引きのばそうとしている。人事院審理では、2月に異例の追加尋問が行われたが、人事院の厚労省に対する求釈明の内容は弁護団の要求を反映している。現在、最終陳述書を作成中であり、年度内の判定を求めたい。取消判定の前に、厚労省に解雇撤回を求める役割を支える会でしてほしい。公務員は全体の奉仕者であり、時の権力に左右されないようにするために身分保障がある。分限免職の基準は整理解雇4要件と重なる。しかしこれを厚労省が破った。今後道州制や国の出先機関の廃止で、物言わぬ公務員をつくろうとしている。勝利までたたかおう」と述べました。


 国民の安心安全を守るため社保庁闘争のアピールを強めよう!


 フロア発言では全厚生闘争団の山本団長(全厚生委員長)が「たたいからもうすぐ3年となり、重要な時期を迎えている。多くの仲間に支えられてたたかいが続いている。大きく前進していきたい」と述べました。日本年金機構で働く職員が日本年金機構の実態について、「定員は26211名で、正規は10880名(41.5%)。半分以上が非正規職員で雇用が不安定。非正規から正規への登用が7月1日に280名あったが広域異動を伴うため、異動発表で辞める人がでている。就業規則の改定で、非正規職員も最大6年働くことができるようになったが、それでも業務に不安を抱える状況。国民年金保険料の収納で市場化テストが行われているが、社保庁時代のように職員でやった方がまだましとの意見がでる。しかし、今は職員不足で職員でもまともにできない状態。年金法案について、法律の企画立案の人手や能力も足りない」と報告しました。


 また、全司法の森田書記長は「社保庁の問題は重要な問題だと意識している。支える会については生活を支えることを目的としてとりくんでいるが、生活支援のところが見えない。支援といっても金額的に足りないと思うが、足りないことをアピールしないと会員拡大につながらないのでは。情報開示を」と発言しました。飯塚事務局長は、発言を重く受け止めると回答し、提案は全会一致で確認されました。


 その後、参加した8名の当事者がそれぞれ発言し、全厚生闘争団の北久保事務局長は「この間の支える会加入をはじめとする様々な支援にお礼申し上げます。私は謝った懲戒処分について人事院で争ってきたが、人事院の審理が終了しても、判定がでるまでかなりの時間が経過し、その間に分限免職となった。年度内に人事院に判定を出させる運動が必要。引き続きご支援ご協力をお願いします」と述べました。


 代表世話人の堀江婦団連会長が閉会あいさつを行い、「公務員のたたかいは地味。しかし安心安全の点では社保庁のたたかいは重大な意義がある。公務員バッシングは、国民の安心安全を切り捨てることにつながる。もっともっと宣伝しなければならない」と述べ総会を終了しました。(「全厚生闘争団ニュース」第50号より転載)

                                           以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月21日《No.2823》


 【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.68】
 人事院本来の機能を発揮し、分限免職取消判定を
 9月18日、全労連対策会議が人事院に署名を提出して要請


 9月18日の人事院前要求行動の後、全労連社保対策会議メンバーと国公労連、全厚生闘争団の総勢10人で人事院に対して、分限免職処分の早期の取り消し判定を求める要請を行いました。人事院は武廣事務総局監理官ほか1名が対応しました。


 要請では、人事院総裁あて「分限免職取消請求事案の迅速・公平な判定を」求める署名3,928筆(累計74,930筆)を提出し、冒頭、国公労連の川村副委員長が「人事院審理で厚労省の対応のずさんさは明らか。また、分限免職から2年9か月経っており、当事者の生活も限界で、精神的にも追いつめられている。一日も早く取り消し判定を」と述べました。


 秋田県労連の佐々木議長は「秋田の6人の当事者は、現在不安定雇用でいつ職がなくなるか不安。国家公務員の権利を守るのは人事院だけ。きちんとした判定を」、京都総評の吉岡事務局次長は「当事者はアルバイトしようと思っても、履歴書に分限免職のことを書かなければならず、精神的に傷つけられている。審理が2年9か月は長すぎる。人事院の責任できちんとした判定だけでなく、早く判定を出すべき」、全厚生の杉浦副委員長は「審査請求は大詰めに来ている。国策による首切りであり、でたらめ、ずさんな解雇は明らか。代償機関としての人事院の役割を果たし、政治に揺さぶられない判定を」、愛媛労連の竹下事務局長は「まじめに働いていた当事者なのに、国は回避努力しないで首を切った。当事者の自尊心を傷つけるもの。公正な判定を求める」と述べました。


 また、参加した4名の当事者も、「社保庁職員というと犯罪者のように見られる。年金システムの問題など、現場の責任でなく幹部の責任が問われるべきなのに、幹部の責任は誰一人問われていない。人権を取り戻したい。処分を取り消してほしい」(松本・東京)、「社保庁バッシングに苦しめられ、3000名近い職員が社保庁を去ることになったのは大問題だ。メンタルによる休職で年金機構や厚労省に行けなかった当事者がいる。審理が長引けばたたかいを続けることが困難。社保庁職員が悪人として見られ、職を失う以上のダメージ。尊厳を取り戻したい」(草川・京都)、「人事院判定では私たちの訴えを受け止め、判定理由をきちんと書いてほしい」(伊藤・東京)、「分限免職から2年9ヶ月になり、当事者もしんどい状況。解雇の不当性も明らかであり早期の判定を行ってほしい」(國枝・愛知)と発言しました。


 これらの要請に対して人事院の武廣事務総局監理官は、「前回の要請から2ヶ月過ぎての要請であるが、担当部署に伝えていく」と回答しました。


 最後に、国公労連の川村副委員長が「いたずらに審理を遅らせることにないように、人事院本来の機能を発揮してほしい」と述べ要請を終わりました。

                                            以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月19日《No.2822》


 【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.67】
 労働者切り捨ての不当な分限免職をやめよ!
 9.18人事院前要求行動を展開


くろすろーど-19  9月中旬にもかかわらず猛暑となった9月18日に国公労連は、7.67%の官民格差を無視した人事院勧告への抗議とあわせて、社会保険庁職員の分限免職処分の取消判定を求める人事院前要求行動を行い、約100人が参加しました。この行動には、全労連社保庁職員不当解雇撤回闘争対策会議のメンバーと、緊急銀座デモ終了後に参加したJAL原告団も多数駆けつけました。


 12時15分から始まった要求行動で主催者あいさつした国公労連の盛永中央執行副委員長は、今年の人事院勧告で、官民の7.67%の賃金較差があると指摘しながら改善措置をとらなかったことは、人事院の役割を自ら放棄するものだときびしく批判。さらに、社保庁が解体されるために分限免職は避け得なかったとの国の主張は破綻していると指摘し、「今回の分限免職は国家公務員法、人事院規則を全く無視した不当解雇であることは明白だ。JAL不当解雇やいすゞの派遣切り裁判など労働者の使い捨てを容認する不当判決を乗り越えるたたかいとも結んで、社保庁分限免職処分撤回を必ず勝ち取るためにたたかおう」と呼びかけました。


 連帯あいさつした全労連の根本副議長は、「この秋は社保庁不当解雇撤回闘争の大きなヤマ場を迎える。11月2日に開催する『社保庁職員不当解雇撤回11.2中央総決起集会』の成功にむけて全力をあげるとともに、人事院が政治の圧力に屈して不当な判定を出さないよう運動を強化しよう」と訴えました。秋田県労連の佐々木議長は、「秋田では9月9日に全厚生闘争団を励ます会総会を開いた。闘争が勝利するまで、秋田6人の原告とともに官民一体のたたかいをすすめていく」と述べ、生協労連の鈴木書記長は「社保庁職員の分限免職は国家的な犯罪であり、職員を今すぐ職場に戻すべきだ。消費税増税反対、原発ゼロ、TPP参加反対の国民的課題と一体で、労働者の生活と権利を守りディーセントワーク実現を求めるため連帯して運動を展開しよう」と激励しました。


 国土交通労組の浅野中央執行委員は、「昨日は敬老の日だが、いま高齢者の生活と年金が破壊されている。政治のゆがみを正し、安心できる年金制度を実現するためにたたかう」と決意を表明。当事者である全厚生闘争団の草川さんは、「社保庁の分限免職を許せば、今後の省庁の改廃を理由とした分限免職が当然のこととしてまかり通ってしまう。公務で働く労働者だけでなく、民間での首切りにもつながりかねない。いまだに新しい職に就けずに貯金を取り崩しながら生活している者もいる。私たちはがんばってたたかいます。さらなるご支援をお願いします」と訴えました。


 最後に全厚生闘争団の國枝事務局次長の音頭でシュプレヒコールを行い、全厚生の杉浦書記長の団結ガンバローで行動を終えました。


 全労連社保庁不当解雇撤回闘争対策会議は9月18日の午前中に会議を開き、全国オルグの強化とともに、11月2日の総決起集会の成功にむけた意思統一を行いました。また、人事院前要求行動終了後には人事院に対して早期に分限免職取消判定を行うよう要請しました。(詳細は別途速報にて)

                                            以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月12日《No.2821》


 「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争ニュース 第5号
 公務員の権利回復と賃下げスパイラル
 断ち切る国民的運動への発展を


 「公務員賃下げ違憲訴訟」に関わって、各地のとりくみを紹介します。県内の原告ネットワークの結成、各県で開催されている定期大会での訴えを積極的に展開しています。


 《千葉県国公》
 組織の内外から大きな運動にすることを確認
 ――違憲訴訟原告ネットワーク結成会議ひらく


 千葉県国公は、8月18日(土)、千葉文化センターにおいて「公務員賃下げ違憲訴訟」原告ネットワーク結成会議を千葉県内の原告と常任幹事会で開き、とりくみの意思統一と意見交換を行いました。会議では組織内のとりくみを完遂するとともに組織外の組合、連合傘下の組合にも積極的に呼びかけ、大きな運動にして訴訟に勝利するまで組合員と原告一丸となって奮闘することを確認しました。


 「公務員賃下げ違憲訴訟」原告ネットワークの目的は、千葉県内の原告と千葉県国公との情報の共有、県内におけるオルグ、宣伝行動等の配置など運動面での役割の共同行動であり、千葉県国公としてはその諸行動に対して財政面でも支援することを確認しました。


 「公務員賃下げ違憲訴訟」を勝利するためには、国民的な支持と共同のとりくみが決定的に重要となることから、千葉労連の各種宣伝行動へ積極的に参加し、様々な団体に対してオルグ活動をする中で、私たちのたたかいの理解者を増やすことが必要です。その中で公正判決を求める東京地裁あて団体・個人署名の集約に全力をあげ、千葉県国公として「団体300以上、個人2万以上の完遂」をめざすことが提案されました。また、組織内の目標完遂はもちろんですが、組織外や連合傘下の組合にも積極的に呼びかけることも確認しました。


 最後に、この訴訟は途中でやめられない訴訟、途中でやめれば、国公労連、原告が違憲を認めたことになるので、最高裁までたたかい抜く決意で、組織の全知全能を惜しみなく発揮して悔いのない運動を展開することを確認し散会としました。(千葉県国家公務員等労働組合共闘会議「県国公ニュース」vol.7 8月31日付より)



 《中国ブロック国公》
 地域労組の協力なくしてたたかえない
 ――公務員賃下げ裁判署名訴える(広島県医労連大会)


 9月2日(日)、中国ブロック・広島県国公「賃下げ訴え三人衆」は、公務員賃下げ裁判勝利には地域労組の理解が絶対不可欠であるため、広島県医労連大会で「賃下げ裁判」への理解と協力を訴えました。今回成立した「賃下げ法」は使用者である政府案ではなく、第三者である議員立法であり人事院制度を無視した法律であること、また、今回の賃下げが国家公務員だけではなく、地方公務員・独立行政法人等へ及ぼす影響が大きい点を指摘し、中国地方で23名(全国370名)の原告が東京地裁へ提訴をしたいきさつと裁判への理解と署名への協力をお願いしました。(中国ブロック国家公務員労働組合共闘会議「中ブロにゅーす」第61号 9月5日付より)



 《山形県国公》
 県労連大会で動画上映
 ――「公務員賃下げ違憲訴訟」8月2日東京地裁前行動


 9月8日(土)、山形県労連定期大会において、公務員賃下げ違憲訴訟の正当性とその状況について訴えるために、昼の休憩時間を利用して、国公労連がユーチューブに掲載している「公務員賃下げ違憲訴訟 8月2日東京地裁前行動」の動画 を上映しました。


 その後の討論では県国公議長より、「山形県内からも原告団参加者が自分を含めて3名いること」、「公務員が国を訴えることは異常な事態とも思うが、労働基本権が制限されているなか、その回復が容易に見込めない現状で、やむにやまれない行動であること」、「公務員の賃下げは、その違法性と大きな賃下げ幅が公務員関連職域はもちろん、民間の労働者にも影響が及ぶことから民間の方々との共同のとりくみとしてたたかっていきたい」と訴えました。(山形県国家公務関連労働組合共闘会「賃下げ違憲闘争ニュース 山形県国公」9月8日付より)


 ★国公労連がユーチューブに掲載している「公務員賃下げ違憲訴訟 8月2日東京地裁前行動」の動画


 《事務局より》 国公労連速報No.2817(闘争ニュース4号)にて、母親大会でのチラシと署名用紙配布のとりくみを紹介しましたが、早速、受け取った複数の方から、「応援しています」などのメッセージとともに署名用紙が届きました。とりくみの結果が表れたことや激励の言葉は、大変励みになりました。

                                             以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月7日《No.2820》


 《神奈川県国公》
 着ぐるみや風船で活況!行政・法律相談ブースは満席
 横浜そごう前広場で「公務・公共サービス実態告発宣伝行動」


くろすろーど-7  神奈川国公は9月2日の日曜日に県労連などでつくる「公のあり方相談」の仲間とともに、「公務・公共サービス実態告発宣伝行動」と「行政・法律相談活動」をとりくみました。約30人が行動に参加し、うち国公は23人でした。


 会場は横浜そごう前ひろばで、11時からの宣伝行動では、全労働神奈川支部を中心に作成したチラシ「国家公務員の採用抑制は若者の将来を奪うのでは?」入りのティッシュ約3,500個を配布しました。受け取った方からは賛同や激励の声を多くいただきました。


 13時からは無料行政・法律相談活動を開始しました。8つのブースがほぼ満席になりつづけ、50件を超える相談に対応しました。休憩コーナーを設けてのDVD「壊れ始めたインフラ・あなたの街は大丈夫?」「災害からいのちと暮らしを守れ―切り捨てるな!建設産業」(全建労作成)上映などとともに、「ウサギ」の着ぐるみでの風船配布も活況につながりました。


 神奈川国公は、今後も「この国のかたち」と市民生活を考える連続講座を開催するなど、県労連や自由法曹団などの仲間と共同し、自らの仕事や職場実態を正しく理解してもらうとりくみを行うことにしています。



 《群馬県公務労組連絡会》
 広範な労働者・国民との共同をさらに広げよう


 8月29日、群馬公務労組連絡会は公務労組連絡会の九後健治事務局次長を講師に招き、「公務員をめぐる情勢と2012人勧」と題して47人の参加で学習会を開催しました。学習会では、4月から減額された給与にもとづけば7.67%もの官民較差があるにもかかわらず、「賃下げ法」を理由に俸給表の改定を行わなかったことの問題点や、「本省庁・キャリア優遇、地方切り捨て」となる50歳代の賃金抑制など、12人勧の問題点についての解説や、退職手当の削減や公務の高齢期雇用をめぐる動きと問題点などについて理解を深めました。


 とりわけ、12人勧をめぐっては、人事院勧告が労働基本権制約の「代償措置」たり得ないことが明らかになったこととともに、退職手当削減をめぐるやりとりの中で政府・総務省が退職手当の位置づけを「長期勤続に対する報償」として、交渉として対応しなかったことなどが紹介され、労働基本権回復がさらに重要課題となっていることが強調されました。


 また、退職手当の削減や公務の高齢期雇用については、経済的損失はもちろんのこと人事評価・人事管理にも大きく関わる内容であり、高齢期の生活や働き方のみならず公務・公共サービス拡充の観点からも問題があることが指摘されました。


 今後のとりくみについて、九後事務局次長は、①国公労連がたたかっている賃下げ違憲訴訟は経済的損失の回復を求めるだけでなく、公務労働者の労働基本権回復や、すべての労働者の賃金引き上げ・雇用確保をめざす国民的な運動につなげることが重要であること、②今こそ憲法とILO条約に基づく労働基本回復が求められていること、③公務員の労働条件切り下げや「公務員総人件費2割削減」によって国民の権利がないがしろにされることを広く明らかにしていく必要があることを強調し、今後のとりくみへの強化を訴えました。



 《京都公務共闘》
 労働基本権をふみにじる12人勧の問題点に理解を深める


 京都公務共闘は8月30日の夜、京都市内の「ラボール京都」で「2012人勧学習会」を開催し、30人が参加しました。あいさつした粟田育治議長(京都国公)は、「税務署で働いているが、消費税10%への増税の大変さは仕事を通して実感している。納税者いじめの増税に反対する。その露払いとして公務員の賃下げが強行され、賃下げ違憲訴訟ではみずからが原告の一員となってたたかう」と決意をのべつつ、公務員の賃金や権利にかかわる学習を呼びかけました。


 学習会では、講師として公務労組連絡会から黒田事務局長を招いて、今年の人事院勧告の問題点をはじめ、退職手当の大幅削減に反対するたたかい、今後の運動について約1時間にわたって講演をうけ、理解を深めました。


 とりわけ、「未曾有の国難」を口実にした政府の賃下げを人事院が容認し、7.67%もの官民較差が実際に存在しながらも、改善勧告を見送った不当性については時間をかけて報告があり、労働基本権ともかかわる今年の勧告の重大な問題点が明らかにされました。


 また、退職手当削減は、国家公務員にとどまらず、地方公務員・教員への連動がねらわれるとともに、民間にも波及する問題であり、官民共同でたたかう重要性が強調されました。


 各組合からの報告では、「国公労連の賃下げ違憲訴訟では、裁判所の組合である全司法もはじめて原告団を送り出した。裁判闘争勝利にむけてがんばりたい」(京都国公)、「地方人事委員会勧告にむけて署名にとりくんでいる。退職手当削減では、将来はもっと減るのではないかとの不安が青年層にひろがっている。力を合わせて攻撃をはね返したい」(京教組)、「再来週にも地方人勧をひかえ、職場での連続学習会にとりくんでいる。定年延長の問題では、働きつづけられる職場環境の実現を当局に求めていきたい」(京都市職労)、「京都総評と共同でとりくんだ京都市人事委員会への要請では、国に対して賃下げ法の廃止を求めるとともに、退職手当削減の閣議決定反対の意思表明をするよう申し入れた」(京都市職労)などのたたかいの報告と決意がのべられました。京都公務共闘では、この日の学習会につづいて9月13日には京都北部での学習会を予定しています。(「公務ネットニュース」No.966から転載)

                                            以上

 ※国公労連速報を紹介します。


 国公労連速報 2012年9月5日《No.2819》
 首相が問責されたもとで趣旨説明・審議入りを強行
 民主単独で公務員制度改革関連4法案を質疑


 衆議院内閣委員会は5日、国家公務員制度改革関連4法案の質疑がおこなわれました。


 今国会では、すでに8月29日に野田首相の問責決議案が、公明党をのぞく全野党の賛成多数で参議院本会議で可決されています。本来ならば内閣提出の法案等は審議や採決すべきではないにもかかわらず、その後も、民主党単独で法案や条約案の採決が強行されるなど暴走をつづけています。


 こうしたもと、31日の内閣委員会開催が民主党から突如として提案され、野党が反対したにもかかわらず、公務員制度改革関連法案の趣旨説明が強行されました。5日の内閣委員会も、民主党だけが出席するなかで開かれたものです。


 全労連公務員制度改革闘争本部では、次期選挙での支持獲得も目的とした党利党略を背景に、首相への問責が可決された今国会での法案審議入りは認められないとの立場から、委員会開催がねらわれる前日の4日に緊急の国会議員要請行動にとりくみました。


 「野党が審議に応じないのが問題」などと開き直る民主党


 4日にとりくんだ緊急の国会議員要請行動は、衆議院内閣委員会の全議員を対象にして、別添の「要請書」にもとづいて、首相が問責された今国会では新たな法案審議に入らないこと、公務員制度改革関連法案が公務労働者の賃金・労働条件に直接かかわるとともに、公務・公共サービスなど国民生活にも関連することから、与野党の全委員出席のもとで十分に時間をかけて法案を徹底審議することなどを申し入れました。


 また、公務員制度改革関連法案にとどまらず、衆議院外務委員会や国土交通委員会では条例案や法案の採決が、首相が問責された後も強行されていることをふまえて、衆議院の議院運営委員長や筆頭理事に対しても「要請書」(別添)を提出しました。


 国会議員要請行動には、11名(国公労連6、自治労連2、全教1、事務局2)が参加しました。日本共産党の塩川鉄也議員以外は秘書対応となりましたが、委員会の多数を占める民主党議員への要請では「関連4法案は多くの問題点を含んでおり徹底審議が求められている。首相の問責決議が可決されている状況下で、民主党だけで審議を行うことは議会制民主主義をないがしろにするもの」との道理ある主張に対して、対応にあたったほとんどの秘書は何も言い返すことができませんでした。また、野田首相が問責されたという政治責任を棚上げにして、「野党が審議に応じないのが問題」などという筋違いの主張をおこなう民主党秘書もいました。


 一方、野党議院への要請では、問責決議に応じようとせず、法案審議や採決をすすめる今回の与党のやり方は暴挙だという批判の声が一様に示されました。


 2時間ほどの質疑で法案は「継続審議」の見通し


 こうしたなかで4日の内閣委員会の直前に開かれた理事会では、共産党の塩川議員が、民主党単独で内閣委員会を開催することに強く反対しましたが、結果的には午前10時から委員会開会が強行され、民主党議員のみが出席して約2時間の質疑の後、委員会は閉会しました。


 公務員制度改革関連法案は、次回の内閣委員会で「継続審議」の扱いになる見通しです。全労連闘争本部では、引き続き、法案の徹底審議と抜本修正を求めていきます。(全労連「公務員制度改革」闘争ニュースNo.121より転載)


【内閣委員への要請書】
                          2012年9月4日
衆議院議員 殿
                          全国労働組合総連合
                          議長 大黒作治


 首相問責決議が可決されたもとでの法案審議入りに反対します
 国家公務員制度改革関連4法案にかかわる要請


 国会内外での日頃のご奮闘に敬意を表します。


 民主党は、8月31日の衆議院内閣委員会において、野党の反対を押し切って国家公務員制度改革関連4法案の趣旨説明をおこない、民主党単独での審議入りをねらっています。


 すでに今国会では、公明党を除く全野党の賛成多数で野田首相の問責決議が可決されており、こうした状況の下、与党単独で内閣提出法案の趣旨説明を強行したことは断じて認められるものではありません。


 提出されている国家公務員制度改革関連4法案は、戦後60余年にわたって制約され続けてきた国家公務員労働者の労働基本権の一部を回復させるという重要な意義を持ちつつも、労働組合の「認証制」を設けるなど団結権をいたずらに制約し、「管理運営事項」を交渉の対象からはずすなど、労使間の自由な交渉の妨げともなる内容を含んでいます。また、争議権回復については検討課題として先送りにされ、基本的人権としての労働基本権を保障する立場からきわめて大きな問題を持っており、全労連は、法案の徹底審議と抜本修正を繰り返し求めてきたところです。


 各政党間でも法案に対する意見は分かれているうえ、公務員制度のあり方が公務・公共サービスや国民生活とも密接にかかわることをふまえれば、全議員出席のもとで、十分な時間をかけて審議を尽くすことは国会の責任です。


 今国会最終盤において、首相問責決議がないがしろにされ、国家公務員制度改革関連4法案をはじめとした内閣提出の条約案や法案を与党のみで採決を強行するなど、野田内閣が議会制民主主義を無視した暴走をつづけていることはきわめて重大です。


 以上の点をふまえて、下記事項について貴職に要請します。


                 記


 1、野田首相問責決議が可決された今国会において、国家公務員制度改革関連4法案の審議をおこなわないこと。


 2、国家公務員労働者の権利回復にむけて法案の抜本修正をはかること。


                                 以上


【議院運営委員長への要請書】
                          2012年9月4日
衆議院議院運営委員長 殿
                          全国労働組合総連合
                          議長 大黒作治


 第180回通常国会における法案審議にかかわる要請


 第180回通常国会は、9月8日の会期末をひかえて、現在、最終盤をむかえています。今国会では、消費税増税法の成立強行などにかかわる野田首相の政治責任を問うため、7野党から野田首相の問責決議案が提出され、公明党を除く全野党の賛成多数で8月29日の参議院本会議で可決されています。


 こうした状況下にあっても、民主党は、首相問責決議が可決された後も、野党の反対を押し切って単独で各種委員会を開き、内閣提出の条約案や法案の採決を強行しています。また、内閣委員会では公務員制度改革関連4法案を新たに趣旨説明したうえ、民主党単独での審議入りをねらう状況となっています。


 本来ならば、問責決議が可決されたことをふまえて、野田首相も「近いうちに国民の信を問う」と公言してきたように、衆議院の解散・総選挙こそ政府のとるべき道であり、首相への問責決議をないがしろにして、重要法案の審議入りや採決をすすめることは、議会制民主主義を無視した政権与党の暴走にほかならず、きわめて重大な事態です。


 とりわけ、各政党間でも意見が分かれている法案は、与党単独で審議することは認められるものではなく、全議員出席のもとで時間をかけて審議を尽くすことは立法府である国会の責任です。


 以上の点をふまえて、下記事項について貴職に要請いたします。


               記


 1、野田首相問責決議が可決された今国会において、与党単独で法案等の審議・採決を強行しないこと。


 2、国民の暮らしやいのちにかかわる重要法案については、十分な時間をかけて徹底審議をおこなうこと。
                                           以上