麻生太郎財務大臣が「5年前より今の方が悪いという人は、よほど運がなかった」、「ほとんどの(経済統計の)数字は上がってますから」と発言(4月17日、吉田博美参院幹事長のパーティーのあいさつで発言)しています。本当でしょうか? 政府統計等で検証してみましょう。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の実質賃金の直近データでグラフを作ると以下になります。
上記を見れば一目瞭然、厚労省データでさかのぼれる実質賃金で過去最低です。(※関連→「安倍政権の4年間で労働者の賃金は54万円消えた――過去最低の実質賃金と過去最高の内部留保を生んだアベノミクス」)
総務省の「家計調査」の家計消費指数の直近データでグラフを作ると以下になります。
実質賃金が過去最低になっているので当たり前ですが、家計消費も上記にあるようにデータでさかのぼれる36年間で最低にしたのが安倍政権です。(※関連→「史上最悪の消費不況もたらした安倍政権=リーマンショック超えた家計消費支出15カ月連続減、35年間で最低の消費支出となった2016年」)
それから、「フォーブス」誌のデータと金融広報中央委員会と厚労省データから作ったグラフが以下です。
安倍政権の5年間で、貯蓄ゼロ世帯数は401.2万世帯も増加し(割合のポイントは7.4ポイントも増加)、逆に富裕層上位40人の資産は2倍と倍増しています。そして、日本において富裕層上位40人の資産が半分の世帯(2,607万世帯)の資産と同じになってしまっているのです。
下のグラフにあるように、安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・自民党への献金、労働者には非正規化・賃下げ・貧困・過労死、自民党が選挙に勝って得するのは富裕層と大企業役員だけです。(※このグラフは私が作成したものですが、2017年10月時点の直近データによるものなので一部のデータはすでに古くなっています。今度、時間が取れたときに更新作業をしたいと思っています)
統計データがこんなありさまですから、はるさんが指摘されているように、世論調査からは景気の回復を実感していない層が圧倒的多数であることが以前から明らかです。
麻生太郎財務大臣の「5年前より今の方が悪いという人は、よほど運がなかった」、「ほとんどの(経済統計の)数字は上がってますから」は大ウソで、「5年前より今の方が良いという人は、自民党が選挙に勝って得した富裕層と大企業役員だけ」というのが「ほとんどの(経済統計の)数字が示す事実ですから」。
(井上伸)