佐々木亮弁護士が「残業時間の上限規制~問われる政府の<本気度>」の中で指摘しているように、労働時間の上限をめぐって危険極まりない事態を迎えようとしています。
「月100時間残業OK」を押し通そうとしている経団連は「過労死OK」を押し通そうとしているのと同じです。
下のグラフは、厚生労働省「過労死等の労災補償状況」から過労死(死亡ケースのみ)の労災支給決定件数を月の残業時間別に見たものです。
そして、下の表は、その割合を見たものです。
労働者の命を奪う過労死は、月80~100時間残業のところで最も多く起こっているのです。
経団連の「月100時間残業OK」は「過労死OK」と同義語です。
この5年間で286人もの労働者が「月100時間残業OK」で命を奪われているのです。
経団連は、過労自死した電通社員、高橋まつりさんの母、幸美さんの訴えに真摯に応えるべきです。
電通過労自死事件、母親の願い「社員の命を犠牲にして優良企業と言えるのか」「過労死は起きるべくして起きている」「パワハラ許さず残業隠しが再び起こらないようインターバル制度の導入を」
社員の命を犠牲にして業績を上げる企業が、日本の発展をリードする優良企業だと言えるでしょうか。
命より大切な仕事はありません。娘の死は、パフォーマンスではありません。フィクションではありません。現実に起こったことです。
娘が描いていたたくさんの夢も、娘の弾けるような笑顔も、永久に奪われてしまいました。
結婚して子どもが産まれるはずだった未来は、失われてしまいました。
私がどんなに訴えかけようとしても、大切な娘は二度と戻ってくることはありません。手遅れなのです。自分の命よりも大切な娘を突然なくしてしまった悲しみと絶望は、失った者にしかわかりません。
だから、同じことが繰り返されるのです。
今、この瞬間にも同じことが起きているかもしれません。
娘のように苦しんでいる人がいるかもしれません。
過労死過労自殺は、偶然起きるのではありません。
いつ起きてもおかしくない状況で、起きるべくして起きているのです。
経営者は社員の命を授かっているのです。
大切な人の命を預かっているという責任感を持って、本気で改革に取り組んでもらいたいです。
そして、小学1年生の願いに、経団連は真摯に応えるべきです。
ぼくの夢
大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして『仕事に行ったらあかん』て
いうんや
[※この詩は、父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書きました]
※「全国過労死を考える家族の会」のサイトより