霞が関の国家公務員3千人が過労死ラインでブラック労働、「ゆう活」は霞が関の残業をさらに増加させた | すくらむ

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霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公)の仲間による「2016年残業実態アンケート結果」の「プレスリリース」を紹介します。(※アンケート結果の全体はこちらを参照ください→霞が関の国家公務員3千人が過労死ラインでブラックな労働、「ゆう活」は霞が関の残業を改善しないばかりか過労死ラインで働く国家公務員の残業をさらに増加させた

 

【プレスリリース】
霞国公2016年残業実態アンケート結果について
2016年7月27日 霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公)

 

霞国公は、霞が関に所在する立法、司法、行政で働く中央府省の17の労働組合(組織人員:約1万人)を対象に、本年3月、2015年1月~12月における1年間の勤務状況を対象に「残業実態アンケート」を実施しました。このアンケートは1985年(昭和60年)から実施しており、今回で24回目になります。

 

今回のアンケート結果での特徴は以下のとおりですが、ここで浮き彫りになった問題点は、国の機関で働く職員の長時間過密の労働実態です。この実態に起因する過労死・過労自殺を出さぬよう警鐘を鳴らすことにつなげる意味で、本日ここに公表致します。

 

■今回の結果と特徴■

 

霞国公組織17組合中、アンケートに参加したのは10組合、回答者は2,208人です。回収率は組合員比で22%となり、霞が関で働く一般職員全体(約34,000人)の6.5%に相当します。

 

1.月平均残業時間は36.7時間、残業代の「不払いがある」との回答は42.4%

 

月平均残業時間については、昨年と比べて1.1時間増の36.7時間となりました。

 

また、休日出勤については「休日出勤あり」が59.1%あり、前年より4.5ポイント増加しました。休日出勤したにも関わらず手当も代休もなかった人の割合は28.5%でした。

 

超過勤務手当については、予算上の一人当たりの月平均超勤時間は35時間と算定されていますが、アンケートでは、なんと「不払いがある」と回答した人が、42.4%おり、不払い残業が解消されておらず、早急な解決が必要です。

 

2.霞が関の残業時間「過労死ライン」に3,060人(9.0%)、「過労死を現在感じている」1,054人(3.1%)

 

霞が関における残業の実態は依然として深刻です。過労死の危険ラインとされる月80時間以上残業した人は、前年より0.6ポイント減少したものの9.0%と2年連続9%台となりました。これは霞が関全体の職員のうち、3,060人(34,000人の9.0%)が過労死危険ラインで働いていることになります。

 

実際に「現在過労死の危険を感じている」の回答は3.1%、「過去に過労死の危険を感じたことがある」は24.5%で、合計27.6%の人が過労死の危険を感じたことがあると回答しています。

 

3.「疲労や精神的ストレスを感じている」が過半を超え約6割、「からだの具合が悪くて休みたかったが、休めなかった」が約5割

 

現在の健康状態については、「不調である」「薬等を服用している」「通院治療中である」と不健康状態にあると回答人たちが全体で34.6%に上っています。

 

また、「疲労や精神的ストレスを感じている」と回答した人は58.1%(59.9%)であり、その主な原因は「職場の人間関係(31.3%)」「仕事の量が多すぎる(28.0%)」「業務上のつきあい(19.8%)」となっています。

 

さらに、「からだの具合が悪くて休みたかったが、休めなかった」と回答した人が47.8%(前年49.9%)と半数の人が訴えています。

 

こうした実態は健康破壊寸前の状態と言わざるを得ず、解消にむけた早急な対策が求められます。

 

4.残業の最大要因は「業務量が多いため」、次いで「国会対応」

 

残業の最も大きな要因は、「業務量が多いため(59.5%)」「国会対応(29.4%)」「人員配置が不適切なため(29.1%)」が上位となっており、業務量に見合う職員が十分に配置されていないことと、深夜に及ぶ国会対応が長時間労働の要因であることが浮き彫りになりました。

 

国会対応の改善のためには、「質問の早期通告」(43.8%)が高い割合を占めています。


回答者の声としては、「国会議員がきちんとした認識を持って、早期通告してほしい」など議員からの質問が出ないと各府省の職員が帰れない実態が表れています。国会対応業務の効率化と、こうした実態に認識を持って対応することを望む声が強まっています。

 

こうした国会対応残業を改善するため、本来、既に確認されている与野党国対委員長会議申し合わせ事項となっている「質疑者は原則として前々日の正午までに質問の趣旨等について通告する」とした質問通告ルールの原則を徹底することを再度求めていきます。

 

5.「ゆう活」は、国会延長で残業改善につながらず

 

昨年より、実施された「ゆう活」(勤務時間を朝型にシフト)では、超過勤務が「減少した」と答えた職員は、13.9%にとどまり、「増加した」が18.3%で4.4ポイントも多い結果となり上りました。

 

昨年は「ゆう活」期間中まで通常国会が延長され、国会対応により退庁は通常時間、出勤時間だけ早まった職員が多数いたと思われます。