宇都宮健児さんが都知事選出馬を表明-安倍暴走ストップ、子どもから高齢者まで希望もち暮らせる東京を | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 1月23日告示、2月9日投票の東京都知事選挙に、宇都宮健児さん(前日弁連会長、反貧困ネットワーク代表)が無所属で立候補する意向を表明しました。文京区で昨日開催された市民グループの講演会の場で、宇都宮さんは要旨次のように語りました。(by文責ノックオン。私のメモによる要旨であること御了承ください。ツイッターアカウントはkokkoippan)

 子どからお年寄りまでが希望をもって
 暮らせるまち東京をつくろう
 安倍政権の暴走をストップさせ
 東京から国政を変えよう

 猪瀬知事辞職前後からいろいろな市民団体から出馬要請が私にありました。その都度、「覚悟は固めている」というコメントをさせていただきましたが、出馬の決意を発表するのは市民のみなさんの前で行うべきだと考えていました。きょう、出馬の意志を固めたことをみなさんの前で発表させていただきます。

 政策を訴え都民の中に運動を広げていくしか勝つ方法はない

 猪瀬氏の辞職後、自民党などから、知名度のある勝てる候補探しや後出しジャンケンなどが言われていますが、このようなことを市民運動はやってはいけないと思っています。市民運動として堂々と候補者を立てて政策を訴えて、そして都民の中に運動を広げていく。これしか勝つ方法はありません。そういう意味でタイムリミットと考えてきょう決意を述べさせていただいたわけです。

 過去の東京都知事選を振り返ると、リベラルの美濃部都政が終わったのが1975年ですから、38年間、リベラルな都政は実現できていません。選挙戦のたびに市民グループの中では勝てそうな候補はいないか? 知名度のある候補はいないか? それで引っ張り出してみたけれどダメだった。また4年後にということで解散してその間は運動が蓄積されなかった。それではダメだということで市民運動の連帯をつくろうという問題意識を持ったわけです。

 タレントを引っ張ってくるのでなく
 運動の中からスターを生み出す


 市民運動の候補者というのは、市民運動の中からスターを生み出していかなければいけません。どこかから持ってきたのではダメです。参考になるのは現在のソウル市長の朴元淳(パク・ウォンスン)さんです。朴さんは、韓国の参与連帯という強力な市民運動団体の活動家です。活動をやっていく中で、みんなに知られるようになって、そして市長選挙をたたかって勝ったのです。こういう候補者の擁立をやるべきで、タレントのような人を引っ張ってきては負けるということではいつまでたっても負け続けるだけです。この反省のもとに候補者を市民運動は擁立しなければいけません。

 昨年、私が立候補したときは知名度がありませんでした。しかも国政選挙と重なりテレビ討論会も2回だけしかありませんでした。猪瀬氏はすでに副知事でもあり圧倒的な知名度を誇っていた。国政選挙と重なっていなければテレビ討論会も通常は十数回ひらかれるのです。そして、去年たたかったから私の名前も知られてきている。みなさんと一緒にたたかって96万票を得た。東京都の有権者の10人に1人は私に入れてくれた。投票した都民が六百数十万人ですから6~7人に1人は私に入れてくれて、その範囲では知られ、それが私の知名度を上げた大きな要因になっている。去年のたたかいがなければ今はないわけです。

 昨年の新しいつながりを
 もう一回り二回り大きくできるかがカギ


 昨年、選挙事務所で投開票を見て、大差で負けましたが、そのとき、私はこう話しました。これがスタートなんだ。短期決戦でよく頑張った。これで終わりにしてはダメで、私たちが掲げた4つの政策――反原発、反貧困、そして教育行政の根本的な転換、憲法擁護――この運動をもう一回り大きくしていく。そうすると猪瀬氏から100万票取ってこれる。二回り大きくすれば200万票取って逆転できる。選挙は当落ももちろん重要だけれど、その中でどれだけ市民とのつながりができたのか? それぞれの市民運動が大きく広がっていったのか? この評価を抜きにして選挙の総括をするのは誤りであると考えています。

 「足し算」でなく「積」へ
 政治的・イデオロギー的な立場を乗り越えつながろう


 前回の選挙では市民運動や労働運動、政党間の新しいつながりができました。50を超える勝手連が結成され、選挙事務所に毎日50人から100人のボランティアがつめかけました。そして100万票近くを得た。この大きな成果の上に立ってどう広げていくかということが私たちに試されているわけです。100万票近くの基礎はあるわけで、それをもう一回り二回り大きくできるかどうかが今回の選挙戦で問われていると思っています。私たちの運動が政治的、イデオロギー的な立場を超えてどれだけつながっていけるのか。これが今問われている。同質の集団の集まりは「足し算」にしかならないけれど、異質の集団の集まりは「積」になって運動が発展する。そうでなければ勝てないわけです。異質の集団の集まりは分裂に分裂を繰り返す危険性があるわけですが、市民運動にはそれを乗り越えるしなやかな活動が求められていると思います。

 秘密保護法の強行採決、靖国神社参拝など
 安倍政権の暴走にストップを


 都知事選の政策は基本的には昨年の政策が基礎になります。その上で、昨年と今の違いは何か。昨年はまだ安倍政権は誕生していませんでした。昨年の都知事選と同時に行われた衆議院選挙で安倍政権が誕生してしまった。このことが一つの大きな違いです。

 安倍政権は軍国主義的、国家主義的な傾向をどんどん強めている。まさに暴走と言ってもいい。秘密保護法を強行採決する。そして一昨日、靖国神社に参拝する。中国、韓国の反発はもちろん、アメリカも失望を表明し、ヨーロッパやロシアも問題にしている。国際的に孤立するようなこともいとわずどんどん反動的な政策をやっている。こうした安倍政権の暴走にストップをかける。まず東京を変えて国政を変える。これが重要なスローガンになるのではないかと私は思っています。

 原発再稼働・原発輸出は許さない

 また、安倍政権は多くの国民の意思を無視して原発の再稼働を行おうとしています。再稼働だけでなく原発を輸出しようとしている。まだ福島の事故が収束していない。汚染水もコントロールできていない。ウソを言ってオリンピックを招致している。福島の被災者は10万人がいまだに避難し5万人は県外に避難している。被災者の救済、生活再建がまったくめどが立っていない。この問題を置き去りにして、原発再稼働や原発の輸出を進める。原発事故の被害者だけでなく東日本大震災の被災者の生活再建も立っていません。

 社会保障をカットし防衛費アップする安倍政権
 生活保護改悪は餓死・孤立死を増加させる


 安倍政権は生活保護を大幅に切り下げています。先の国会で過去最大の生活保護の切り下げを行う一方で、11年ぶりに防衛費を400億円も引き上げている。ここに安倍政権の特徴があらわれています。社会保障をどんどん切り下げていって、浮いたお金で軍備を強化する。ドイツでは全人口の9.7%の790万人が生活保護を利用しているのに、日本は増えたと言っても全人口の1.7%に過ぎず、その上、生活保護の利用資格のある人の2割から3割しか利用していない。7割は生活保護以下の水準の生活をして我慢している。だから孤立死や餓死が発生するのです。ところが今回の生活保護改悪は生活困窮者を生活保護から閉め出す、生活保護を受けにくくさせるものです。さらには医療・年金・介護などの社会保障も生活保護改悪を突破口にして改悪しようとしている。来年4月からは消費税増税も予定されている。ますます貧困と格差を広げる、国民生活を破壊する弱者切り捨ての政策を安倍政権は行っているわけです。

 派遣法改悪など安倍政権が狙う
 「企業天国」と「労働者地獄」の雇用破壊

 労働者にとって無視できないのは雇用を徹底的に破壊しようとしていることです。安倍政権は、企業が世界一活動しやすい国づくりをスローガンとして、労働者派遣法を改悪する。正社員の中で首切りしやすい限定正社員をつくる。先送りになりましたが国家戦略特区構想の中で雇用特区では簡単に解雇できる。残業しても残業代を払わないでいいような特区をつくろうとしている。安倍政権が言っている企業が世界一活動しやすい国というのは、企業が天国で、労働者は地獄の国づくりです。これにきちんと反撃していかなければなりません。

 憲法9条改悪の表裏の関係にある
 教育の反動化、TPPによる憲法秩序破壊


 教育については教育再生実行会議をつくって教員に対する管理統制の強化や、教育委員会の解体と市長・教育長の権限強化、国定教科書づくりを進めようとしています。東京や大阪ですでに君が代日の丸の強制が行われていますが、反動的な教育を全国化していく。この教育の問題は憲法9条の改悪と表裏の関係にあると思います。

 それからTPPは主権を脅かして憲法秩序を破壊するような内容になっている。TPPに反対する弁護士ネットワークを立ち上げて大運動をいま行っています。

 秘密保護法を廃止しよう
 集団的自衛権行使の容認は許さない


 憲法の問題では、特定秘密保護法と国家安全保障会議設置法が臨時国会で通ってしまいました。しかし、強行採決の抗して反対運動が広がり安倍政権の支持は急落しています。秘密保護法も法律で定めたのですから多数の国会議員が廃止に賛成すれば秘密保護法をなくすことができるのです。

 次に安倍政権は国家安全保障基本法の中で集団的自衛権の行使を容認しようとしています。日本が攻撃されたときにそれに反撃するのは自衛権の範囲で憲法9条の範囲だということを歴代の政府は確認してきましたが、アメリカが攻撃されたときに日本が攻撃されたわけでもないのに反撃するという集団的自衛権の行使は憲法9条に反すると政府も明確にしてきたのにこれを変えようとしている。内閣法制局長官の首をすげかえたり安保法制懇をつくって地ならしをしようとしている。秘密保護法反対の運動を国家安全保障基本法反対、集団的自衛権行使の容認に反対する運動にもう一回り二回り大きな運動に広げることができるかどうかが大きなカギになってきています。

 貧困と格差拡大し国民の命や人権や暮らしを
 犠牲にする安倍政権にストップを


 安倍政権のやってきている政策を見ると、貧困と格差をますます拡大させる政策を取っている。私的企業の利益のために国民の命や人権や暮らしを犠牲にしようとしている。アメリカとともに戦争できる体制をつくろうとしている。今回の都知事選は、このような安倍政権の暴走にストップをかけて、東京から国政を変えていく選挙にしていかなければいけません。

 高齢者の福祉予算を削ってきたのは東京都だけ
 特別養護老人ホームの待機者は4万3千人超
 生活保護利用者で都内に住めない高齢者は2.6倍増


 そして、都民の暮らしを守る必要があります。少子高齢化の波が襲っています。ところが石原都政13年7カ月の間にどんどん福祉予算を削ってきた。石原氏は「何がムダかと言えばまず福祉だ」と言って、福祉をどんどん削ってきた。高齢者の一人当たりの福祉予算は石原氏が都知事になったときよりも20数%も減らされた。他の道府県で高齢者の福祉予算が減らされたところは一つもありません。東京だけが減らされてきたのです。その結果、特別養護老人ホームの待機者が4万3千人を超えています。そして2009年3月に、たまゆらの火災事件が起きた。群馬県の渋川市で高齢者の施設が火災にあい12人の高齢者が亡くなった。そのうち9人が都民で、そのうち6人は墨田区で生活保護を利用していた高齢者でした。都民であるのに都内で生活することができない。新聞報道によると2009年から最近まで生活保護利用者で都内に住めなくて都外の施設に住む高齢者は2.6倍も増えている。しかし、これまでの都政はまったくこういうことに対策を打っていないのです。

 保育所の待機児童は東京23区で1万9千人、
 5年前の2.6倍増


 それから保育所の待機児童問題も深刻です。今年の4月段階の報道によると、東京23区で1万9千人の待機児童がいる。5年前の2.6倍に増えています。これにも何ら手を打っていない。母親が子育てをしながら働ける社会になっていないわけです。

 政府の中央防災会議作業部会の12月19日の発表によると、もしマグニチュード7クラスの首都直下型地震が起きれば最悪で死者2万3千人、建物の全壊・全焼は61万棟にのぼる。経済的被害は約95兆円です。ところが石原都政になってから防災対策予算を大幅に減らしているので、建物の耐震化や不燃化、木造建物の不燃化・難燃化が行われていない。それから東京湾にはガソリンタンクやガスタンクなどたくさんある。東日本大震災の地震でも仙台港とか気仙沼港とかで火災があったように、東京湾も火災の危険がある。東京湾には12カ所の火力発電所もあって、電気も供給できなくなる。そういうところにもまったく手が打たれていません。

 東京オリンピックは東日本大震災の被災者や
 原発事故の被害者も歓迎できるものに


 2020年の東京オリンピックの問題です。昨年立候補したときはオリンピックの前にやることがあるのではないかと言ってきました。被災者の救済、震災対策、老朽化した施設の補修など、東京オリンピックの前にやることがあると言ってきましたが、基本的には決まってしまいましたので、どういうオリンピックにするかということが問われていると思います。この東京オリンピックを、東日本大震災の被災者や原発事故の被害者も歓迎できるものにしなければいけないということです。そのためにはオリンピックまでに本当に被災者の救済、原発事故の被害者の救済、汚染水問題をはじめとする原発事故の収束、こういうことをやりきっておかないと歓迎できない。被災者がオリンピックムードから取り残されてしまうオリンピックをやってはダメです。この点がひとつです。

 それからオリンピックは平和と友好の祭典と言われています。今の安倍政権が続く限りヘタをするとオリンピックが開けなくなる可能性があります。靖国神社に参拝して中国と韓国の犬猿の仲になってヘタをすると軍事衝突が起こりかねない。じつは日本は前例がある。1940年に開催が決まっていた東京オリンピックです。その前の1936年はベルリンオリンピックで、ヒトラーがナチス政権を鼓舞していた。次の1940年は東京オリンピックに決まっていました。ところが満州事変で満州国を設立して日本は国連から脱退して国際的に孤立する。さらには1937年に日中戦争に走り、1941年には日米開戦となる。そういう中で決まっていた東京オリンピックが開けなかったのです。オリンピックのためにもアジア諸国との関係改善、友好的な関係をつくる必要があるのです。平和主義を守っていくということを首都東京で確立しないと平和と友好の祭典ではなくなります。

 運動の輪を一回りも二回りも広げよう

 これから研究者の方や様々な団体の方のご意見をうかがいながらさらに政策を深めていきますが、こうした基本的な政策について賛同していただける市民団体や労働団体、政党に対して、私は支持を呼びかけていきたいと思います。そして支持をしていただく、市民団体、労働団体、政党との関係では、政治的、イデオロギー的立場を乗り越えてつながっていくたたかいができればと思っています。その中で、市民団体も鍛えられていく。労働団体も鍛えられていく。運動の輪が一回りも二回りも広がっていく。こうした状況が都知事選を勝ち抜く要因になると思います。

 今度こそリベンジ。倍返しだ!
 「倍返し」で200万票取って都知事選に勝利しよう


 私なりに考えてみた、都知事選のスローガンをいくつか紹介すると――

 「安倍政権の暴走をストップさせ、東京から国政を変えよう!」
 「子どもからお年寄りまでが希望をもって暮らせるまち東京をつくろう!」
 それから私はあまりテレビは見ないのですが、半沢直樹というのが流行っているらしいということで――
 「今度こそリベンジ。倍返しだ!」
 前回約100万票取りましたから、「倍返し」で200万票取って都知事選に勝利しようというスローガンです。

 私たち一人ひとりの市民は微力だが無力ではない
 微力でもたくさん集まれば大きな力になる
 微力と微力のつながり広げ東京を変え国政を変えよう

 最後に講演などでいつも強調しているお話しをさせていただきます。

 私たち一人ひとりの市民は微力ですが無力ではありません。無力というゼロがいくら集まってもゼロです。しかし、私たち一人ひとりはゼロの無力ではありません。私たちは微力ではありますが、微力でもたくさん集まれば大きな力になります。ですから、きょうからさらにつながって、昨年の都知事選をたたかったつながりよりもさらに一回り二回り微力と微力のつながりを広げれば、勝利の展望が出て来ると思っています。ぜひみなさんと一緒に都知事選をたたかって、そして、東京を変えて国政を変える。都民の暮らしを守る。その中で市民運動が成長する。日本の民主主義が成長する。そういうたたかいをみなさんと一緒にやっていきたいと思います。がんばりましょう。

※イベントのお知らせ
★宇都宮けんじさんと
 子どからお年寄りまでが希望をもって
 暮らせるまち東京をつくろう!
 《東京都を変えるキックオフ集会》
 ◆2014年1月8日(水)19:00開会(18:30開場)
 ◆豊島公会堂(みらい座いけぶくろ、JR池袋駅東口下車徒歩5分)
 参加無料

▼関連エントリー石原前都知事と橋下大阪市長のカルト企業・軍事優先の野合vs宮部みゆき著『火車』の宇都宮けんじさんhttp://webronza.asahi.com/bloggers/2012111900002.html