※原水爆禁止日本協議会(日本原水協)のKさんから「国公一般すくらむブログでぜひ紹介ください」との連絡がありましたので、原水協の見解などを転載させていただきます。
緊張をエスカレートさせないために
北朝鮮核問題の平和的解決へ外交努力を
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、緊張が高まり不安がひろがっています。北朝鮮側は弾道ミサイルの発射態勢を強め、韓国や日本の米軍基地、主要都市などへの攻撃を警告するなど挑発的発言を強めています。それに対抗して、アメリカ政府も報復攻撃を予告するなど、予断を許さない事態がすすんでいます。
もし、こうした事態が続き、緊張がさらにエスカレートするならば、武力行使にとどまらず、核兵器の使用の危険さえ現実のものになりかねません。第2のヒロシマ、ナガサキは絶対に繰り返してはなりません。
そうした事態を防ぐためにも、北朝鮮はもちろん日本も含めたすべての当事国が、これ以上緊張をエスカレートさせる言動をやめ、軍事衝突を回避し、平和的な話し合いを軌道に乗せるための外交的努力に全力を傾けるべきです。
軍事的対応では解決できない
もともと今回の問題は、北朝鮮がロケット発射に対する国連安保理事会での全会一致の非難、制裁決議に反発して軍事的威かくを繰り返してきたことが原因です。その背景には世界の流れに逆らう北朝鮮の核・ミサイル開発があることは明らかです。
しかし、この問題は、軍事力だけで解決するものではありません。この間の経過が示しているように、核や軍事力による威かくは問題をいっそうこじらせるだけです。
北朝鮮に対して、理を尽くして、平和的解決の努力を説得し、朝鮮半島非核化の6カ国協議の合意と交渉にいまこそ立ち返えらせるべきです。
核保有5カ国が全面禁止の先頭に
4月22日からジュネーブで核不拡散条約再検討会議の第2回準備委員会が開かれます。私たち日本原水協は、この会議を前に、核保有五カ国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国)首脳に「核兵器全面禁止のための決断と行動」を求めて手紙を送りました。
アメリカなど核保有国が、自分の核は「安全の保証」などと言って正当化しながら、他の国に核の放棄を迫っても説得力はありません。核兵器全面禁止への努力こそが、核拡散の危険をなくす上でも力となります。日本政府は、唯一の被爆国として核兵器全面禁止で行動すべきです。
核保有5カ国をはじめすべての政府に核兵器全面禁止条約の交渉開始を求める「核兵器全面禁止のアピール」署名にご協力ください。ジュネーブの第2回準備委員会、秋の国連総会に提出します。世界へ核兵器全面禁止の声を響かせましょう。
国連認証NGO・原水爆禁止日本協議会(日本原水協)
TEL 03-5842-6031
http://www.antiatom.org/
核保有5カ国首脳への手紙
核兵器全面禁止のための決断と行動を
2013年4月 原水爆禁止日本協議会
広島と長崎の被爆からまもなく68年目の夏を迎えようとしています。
核の「地獄」を体験した被爆者の「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ」の叫びとそれに共鳴する世論の高まりの中で、いま、核兵器廃絶への新たな機会が生まれています。2010年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議は、「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」ことに合意し、「すべての国家は、核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを築く特別な努力をする必要がある」と強調しました。
次回2015年NPT再検討会議を前に、いま、世界のすべての国の政府と市民社会には、この目標を現実に変えるために協力し、行動することが強く求められています。しかし、それから間もなく3年になるいまも、その実現の道筋はなお見えていません。米ロ間の合意を含め、一定数の核兵器が削減されたとはいえ、世界にはなお1万9千発の核兵器が貯蔵、配備され、他方では朝鮮半島をめぐる現在の緊張に見られるように、新たな核開発の動きが続いています。意図的であれ偶発的なものであれ核兵器が使われる危険は現実に存在しています。
なぜこうした事態が続くのでしょうか? それは、核兵器の使用や威嚇が人類と文明の存続をも危うくする人道への犯罪であり、国際司法裁判所も断じたように 「国際人道法の原則と規則をふくむ国際法の諸規則に反する」ものであるにもかかわらず、いまだに国際政治の場で核兵器全面禁止の合意が実現していないからにほかなりません。歴史の経過が教えるように、既存の核保有国による自分の核は安全の保証だ、抑止力だ、といった主張は「伝染性」を持っており、威嚇を受ける側もまた、「安全の保証」を求める衝動にとらわれます。
核兵器をなくすためには、核兵器を全面的に禁止する以外に方法はありません。国連は、そのことを一致して確認し、核兵器全面禁止条約をつくるための行動が求められており、安保理事会、とりわけ核保有国でもある五つの常任理事国にはそのリーダーシップを発揮する責任があります。2009年9月、国連安保理事会の首脳会合が「核兵器のない世界の条件をつくる」ことに合意し、NPT第6条の核軍縮・廃絶の交渉義務を確認したことを想起すべきです。
核兵器全面禁止の条件はすでに熟しています。
・ 国連総会でも、核兵器の廃絶を求める決議はいずれも圧倒的多数の支持を集めており、第67回総会で175カ国の支持を集めた新アジェンダ連合提案の決議で、提案者は併せて「期限」と「拘束力ある枠組」の必要を指摘していること、
・ 核兵器使用の非人道性を警告し、核兵器非合法化の努力をよびかけた声明への共感が、全世界に広がっていること、および、核兵器廃絶の達成を含む具体的な協議と交渉への作業に多数の国が参加していること、
・ 世界で190のNPT締約国中185の国々が「非核兵器国」として核兵器の取得も開発、保有も放棄する第2条の義務を受け入れていること、
・ NPTに未調印のインド、パキスタンやNPTからの脱退を宣言した北朝鮮も、核兵器全面禁止条約に至る交渉を提起した国連総会決議に賛成票を投じていること、
これらは、核保有五カ国が決断さえすれば、国連安保理事会でも国連総会でも核兵器全面禁止を一致して確認できること、そして、そのうえにたって、核兵器禁止条約の交渉を開始できることを示しています。この決断と行動を遅らせることは、第2、第3のヒロシマ、ナガサキにつながる危険を放置することであることも指摘しなければなりません。
2010年8月、国連事務総長として初めて広島を訪れた潘基文氏は、改めて「核兵器のない世界」を実現する決意をのべ、「2020年までに核兵器の廃絶を」という広島市、長崎市などの提唱を支持して、被爆75年(2020年)には被爆者とともに核兵器のない世界の達成を祝おうとよびかけました。
今年および来年の二回の準備委員会を経て、2015年には次回のNPT再検討会議が開催されます。そこで問われるものは何よりも、「原則」と 「目標」の第一に掲げた「核兵器のない世界の平和と安全の達成」です。また、そのための核保有五カ国の決意と努力こそが、包括的核実験禁止条約の批准・発効、核分裂物質生産禁止条約の交渉開始、中東非核・非大量破壊兵器地帯の国際会議開催など、個別合意の実現を促進し、また、核拡散の危険を払しょくする力となるでしょう。
以上のことから、私たちは2015年NPT再検討会議が「核兵器のない世界の平和と安全」を達成する具体的行動を起こす場となるよう、当面する第2回準備委員会、今秋の国連総会と安保理事会などの場で、あなた方が核兵器全面禁止の合意達成のためのイニシアチブを取られることを提起するものです。