オスプレイは若者と子どもたちに未来の希望を与えない-オスプレイ配備反対沖縄県民大会に10万1千人 | すくらむ

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 きょう「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」に10万1千人が参加し、復帰後に開かれた米軍関係の県民大会としては過去最大規模となりました。


 県民大会での3人の方の発言要旨と県民大会決議を紹介します。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)


 アメリカ国土で飛ばせない「空飛ぶ恥」
 構造欠陥機オスプレイの配備は許さない
  喜納昌春沖縄県議会議長


 日本の国土面積の0.6%しかない沖縄に、日本における米軍専用施設の74%が集中し、世界一危険な基地である普天間飛行場など多くの米軍基地が存在する差別的な状況が続いています。早朝から深夜にかけて米軍機が訓練を繰り返し周辺住民は爆音被害や墜落の危険に日常的にさらされています。


 昨年6月、アメリカは今年10月にオスプレイを普天間基地に配備すると正式に発表。沖縄県議会は昨年7月に普天間飛行場へのオスプレイ配備計画に反対する意見書を全会一致で採決しました。強行配備が迫った今年6月、改選された新しい県議会で再び同様の趣旨の決議を全会一致で採決し、日米両政府に配備撤回を求めてきました。


 オスプレイは開発段階や実戦配備での墜落事故等を繰り返し、アメリカの有力誌であるタイム誌が「空飛ぶ恥」と題する記事を掲載するなど、事故による多数の死者を出しているオスプレイの危険性はアメリカでも大きな問題となっています。9月6日にも米国ノースカロライナ州の民間地域にオスプレイが緊急着陸したことが報じられました。オスプレイは今年の4月、6月にも墜落事故を起こしており、米空軍の報告書でも制御の困難さが指摘されるなどまさに構造欠陥機と言わざるをえません。


 また、米本国のハワイ州において、騒音や安全性に対する住民の不安や、自然環境への懸念に配慮し、訓練計画が中止された状況下にもあります。ところが、沖縄においてはこの県民の圧倒的な反対の声を無視し民主主義を自ら否定する差別的な2重基準のもとで欠陥機のオスプレイを強行配備し沖縄をはじめ日本のいたるところで飛ばして行こうとしています。そうした中で、着任早々のマグルビー米国沖縄総領事が9月4日に普天間基地にはとくに危険だとは思わない、辺野古移設には異存はないだろうなどと暴言を連発し、まさにアメリカの国益と軍事優先の立場が一層鮮明となり、県民の怒りはさらに大きくなっています。


 こうした許し難い様々な事態に野田総理は日本はものを言う立場にないと述べるなど、日本国民の命より日米安保を重視するアメリカ追随の姿勢は、主権国家としての有り様が厳しく問われるべきものです。


 私は沖縄県議会を代表し、オスプレイ配備問題は、沖縄県民の問題だけではなく、日本全体で受け止めて考えて欲しいとの思いから、さる7月25日、東京で開催された全国議長会の中で各都道府県議会においてオスプレイ配備に反対する意見書の決議を呼びかけました。


 さらに翌日の野田総理との懇談の場においても沖縄県民の声を十分に聞きオスプレイの沖縄配備を撤回するようアメリカと強く交渉するよう求めました。


 いつ何時、空から欠陥機のオスプレイが墜落してくるかも分からない状況の中での生活は決して正常ではありません。私たちは子どもや孫を危険から守る義務と責任があります。今こうして壇上から会場を見ると赤の色が目立ちます。怒りに燃えたこの赤は私たちのオスプレイ配備を断じて許さない決意を込めたNO!の証です。


 きょうのこの大会はオスプレイ配備撤回に向けた大きなたたかいの一里塚です。全県民の粘り強いたたかいと取り組みを全国に広がる中から配備を強行しようとするアメリカ、そしてまたそれにものが言えない日本政府に対して、配備を阻止する、オスプレイを配備させない、飛ばせない、運動を作っていきましょう。このたたかい、続々と県民が結集しています。この場を共有し、ぜひともオスプレイ配備阻止まで揺るぎなくたたかい、勝利までがんばりましょう。


 沖縄県民の反対を押し切りオスプレイを強行配備しようとするのは
 戦後の銃剣とブルドーザーで土地を強制接収したことと

 何ら変わらない
  翁長雄志沖縄県市長会会長


 住民の安全・安心を何よりも大切に考える自治体の首長として住民の頭上をオスプレイが飛行するなど到底認めることはできません。オスプレイ配備については知事をはじめ各市町村長、県議会、市町村議会、県選出の国会議員、すべてが反対をしています。これだけの反対を押し切って強行配備をしようとする日米両政府のやり方は時代背景を考慮すると戦後の銃剣とブルドーザーで土地を強制接収したことと何ら変わらない構図が今日まで継続していると言っても過言ではありません。他の都道府県ではあり得ないことであります。国土の0.6%しかないこの沖縄県に74%の米軍専用施設はいりません。


 森本防衛大臣の著書を読ませてもらいました。その著書では、普天間基地の代替施設にはオスプレイを最終的に100機以上を収納できる機能を必要としており、大きな駐機場が必要で、そのため辺野古基地というのはオスプレイ配備を前提に設計をされ、そしてさらには2012年、今年に配備が始まるであろうことを2年前に確定的に予言をして書いています。普天間の固定化でプレッシャーをかけ、辺野古に代替基地を迫ってくる。これは2年前の県民大会の県民意思をも押しつぶし、きょうの県民大会もはなから一顧だにしない確信的な記述であります。


 著書の中で森本防衛大臣が懸念をしていたのは奇しくもオスプレイの墜落による日米同盟の破綻でありました。日本国民の安全を守る日米安保体制の中で沖縄だけがそれを担保するための存在として危険と隣り合わせの状況に置かれていることは民主主義国家としての日本の品位という意味でいかがなものだろうかと私は思っています。日本国全体で日本の安全保障は考えてもらいたい。沖縄県は戦前・戦中・戦後、十分過ぎるぐらい国に尽くしてきました。もう勘弁してくださいと心から日本国民全体に訴えたいのです。


 しかし、今回のオスプレイ問題について野田総理は岩国への配備前に日本政府がどうしろこうしろという話ではないと発言しました。配備後は安全性が確認されるまで日本での飛行は行わないと言っています。しかし、配備前に何も言えなくて配備後に主体性も当事者意識もない日本政府が何か言えるわけがありません。アメリカ政府の機体に問題はないという報告を追認するだけの状況はもはや茶番劇であり、出来レースと言わざるを得ません。2日前にはノースカロライナ州でまた事故が発生しました。


 しかし、日米両政府の権力は絶大であります。日本国民の世論も沖縄県民との乖離があることを踏まえると私たちは県民の心をひとつにしてがんばらなければなりません。私たちは沖縄県の子どもたちがこの沖縄にそして日本国に誇りと自信を持って大きく力強く羽ばたいていくために厳しくてもがんばらなければなりません。


 基地は若者に明るい未来の希望を与えません
 子どもたちが危険な思いをしながら生活をする未来など
 考えたくもありません
 この沖縄の青い空はアメリカのものでもなく、

 日本政府のものでもなく、
 私たち沖縄県民のものです
  加治工綾美沖縄国際大学学生


 私は沖縄国際大学に通う学生です。大学のすぐ後ろには世界一危険な普天間飛行場が広がっています。いまから8年前の2004年8月13日、私たちの大学に普天間基地所属のヘリコプターが墜落炎上しました。私はその当時中学1年生でしたが、ニュースで見た事故の惨状はまるで別世界の出来事のようでした。本当にこのようなことが沖縄で起こったのかと疑わざるを得ませんでした。そのような恐ろしい事故が起こった後も大学を取り巻く基地の現状はいまだ変わりません。窓を閉めていても授業を中断せざるを得ない騒音は墜落するのではないかと不安を抱かせるほどに大きく恐ろしいものです。騒音で中断される授業はあってはなりません。野田総理、森本防衛大臣、私たちは静かなキャンパスで勉強したいのです。このように今でさえ世界一危険だと言われている普天間基地に危険なオスプレイが配備されようとしているのです。


 どうしてそのような危険極まりないオスプレイを沖縄だけに配備するのでしょうか? 日本政府はどうして断ることができないのでしょうか? 墜落したら誰が責任を取るのでしょうか? 政府は安全を強調するばかりで沖縄の人々の声は無視され続けています。沖縄の民意を無視し危険なオスプレイを配備することは沖縄差別ではないでしょうか。


 このような危険にさらされない沖縄の未来を築くためにこれからの沖縄については私たち若者の一人ひとりが基地について考え行動するのが重要なのではないでしょうか。若者の基地に対する認識が薄くなっている現状を変え、一丸となって危険なオスプレイ配備反対、米軍基地早期撤去の思いを、県外、国外に向けて発信していかなればなりません。そして、返還された土地を平和的に活用し、県民のために大いに役立てるべきです。


 みなさん、いまオスプレイが軍事訓練をしようとしている普天間基地が返還され立派な街づくりがされたことを想像してみてください。私たちの未来はみんなが力をあわせれば危険な基地は平和でのどかな街に変えることができます。


 未来を考える上でオスプレイは到底受け入れ難く、いまはまだ幼い子どもたちが危険な思いをしながら生活をする未来など考えたくもありません。この沖縄の青い空はアメリカのものでもなく、日本政府のものでもなく、私たち沖縄県民のものであることをここに集まったみなさんとしっかり確認したいと思います。


 もうこれ以上このきれいな空に軍用機を飛ばすことを私たちは許しません。基地は若者に明るい未来の希望を与えません。沖縄の空にオスプレイを飛ばせない、そして基地もない、すばらしい沖縄の未来を切り開くために、私は若者の一人としてその実現の日までがんばることをここに決意します。



 県民大会決議全文


 我々は、本日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるためにここに集まった。


 沖縄県民は、米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害をこうむり、1972年の復帰後だけでも、米軍人等の刑法犯罪件数が6,000件近くに上るなど、米軍による事件・事故、騒音被害も後を絶たない状況である。


 1995年9月に、米海兵隊員3人による少女暴行事件が起こり、同年10月には事件に抗議する県民総決起大会が行われ、8万5千人もの県民が参加し、米軍に対する怒りと抗議の声を上げた。県民の強い抗議の声に押され、日米両政府は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)により米軍普天間基地の全面返還の合意を行った。


 しかし、合意から16年たった今日なお、米軍普天間基地は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている。


 そのような中、日米両政府は、この危険な米軍普天間基地に「構造的欠陥機」であるオスプレイを配備すると通告し、既に山口県岩国基地に陸揚げがなされている。さらに、オスプレイは米軍普天間基地のみでなく、嘉手納基地や北部訓練場など、沖縄全域で訓練と運用を実施することが明らかとなっており、騒音や墜落などの危険により、県民の不安と怒りはかつてないほど高まっている。


 オスプレイは開発段階から事故をくり返し、多数に上る死者を出し、今年に入ってからもモロッコやフロリダ州で墜落事故を起こしている構造的欠陥機であることは、専門家も指摘しているところであり、安全性が確認できないオスプレイ配備は、到底容認できるものではない。


 沖縄県民はこれ以上の基地負担を断固として拒否する。そして県民の声を政府が無視するのであれば、我々は、基地反対の県民の総意をまとめ上げていくことを表明するものである。


 日米両政府は、我々県民のオスプレイ配備反対の不退転の決意を真摯に受け止め、オスプレイ配備計画を直ちに撤回し、同時に米軍普天間基地を閉鎖・撤去するよう強く要求する。


 以上、決議する。


 2012年9月9日
 オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会