6月29日、原発の再稼働に反対する首相官邸前抗議行動に20万人が参加しました。私も参加しましたが、こうした巨大デモを日本においても現実のものとできることに感銘を受けました。この6.29官邸前巨大デモが歴史的な出来事であったことは、高千穂大学准教授の五野井郁夫さんも「共同通信」配信記事で次のように指摘しています。
路上を埋め尽くした民意
52年ぶりの官邸前「解放」
五野井郁夫高千穂大准教授
（「共同通信」配信記事、2012年6月30日付）
関西電力大飯原発３号機の原子炉起動を目前にした29日夕、首相官邸前の路上を、原発再稼働に抗議する人々が埋め尽くした。３月末から毎週金曜日に行われてきた抗議行動をほぼ毎回見てきたが、最初300人程度だった参加者は、ツイッターの情報やユーチューブの映像などを通じて行動を知った人々で、どんどん膨れ上がっていった。
そして29日には、これまでのように歩道での直接行動だけでは人々が収まりきらず、警察も少しずつ規制線を緩め、最終的に官邸前の路上は「解放」されるに至った。
誤解を恐れずに言えば、官邸前の「路上解放」は60年安保闘争以来、52年ぶりの歴史的な出来事だ。だが当時と違うのは、主催者や参加者が非暴力を貫き、一人の逮捕者もけが人も出さずに行動を完遂し、直接政府に対して声を上げる「直接民主主義」の公共空間を路上に出現させたことだ。
そこにはベビーカーを押す母親も、高校生も、団塊世代の人も、高齢者も、車いすの人も、パンクロッカーもいた。 （中略）
29日の抗議行動も今後の日本の政治を変える新たな一歩となるだろう。参加者は主催者発表で20万人（警察発表は２万人弱）。政治家たちは今こそ、その「民意」で官邸前が埋め尽くされた事実を直視すべきだ。政府もメディアも、もう無視することはできない。（※「共同通信」配信記事からの引用はここまで）
こうした「52年ぶりの官邸前『解放』」となった歴史的な出来事を「全国紙」はどう報道したのでしょうか？ 各全国紙の東京朝刊6月30日付を見てみました。
▼１面で報道した全国紙
○朝日新聞（写真付）、○毎日新聞（写真付）
※ただし「毎日新聞」は１面の中段で写真を掲載したもののエトキだけで記事は１面にはありません。「朝日新聞」も１面の中段で写真と一応の記事はありますが、記事の字数はたった174字とエトキ程度の扱いでしかありません。結局のところまともに１面で報道した全国紙は皆無だったということです。
▼１面で報道しなかった全国紙
○読売新聞、○日本経済新聞、○産経新聞
▼社会面で報道した全国紙
○朝日新聞（写真付）、○毎日新聞（写真付）、○読売新聞（ベタ記事）、○産経新聞（ベタ記事）
▼一切報道しなかった全国紙
○日本経済新聞
▼報道した字数
①毎日新聞【１面エトキ70字＋29面1,015字＝1,085字】
②朝日新聞【１面174字＋39面666字＝840字】
③産経新聞【28面167字、ベタ記事】
④読売新聞【38面164字、ベタ記事】
⑤日本経済新聞【０字】
▼見出し
○毎日新聞
〈１面〉官邸前「反原発」人の波
〈29面〉福井・大飯原発：官邸前、ネットで集結「再稼働反対」
政治色なし「子連れで来た」 行進なし「平和的に」
○朝日新聞
〈１面〉「脱原発」官邸前埋める 市民ら抗議行動
〈39面〉反対の声、共鳴 「脱原発」抗議行動、各地に広がる
○産経新聞
〈28面〉原発再稼働反対に２万人
○読売新聞
〈38面〉大飯原発の再稼働 官邸前で抗議行動
――以上が、「52年ぶりの官邸前『解放』」を果たした歴史的出来事の全国紙の報道ぶりです。「政府もメディアも、もう無視することはできない」けれども、できるだけ無視したいという全国紙の姿勢が滲み出ているようにも感じ、「朝日新聞」も「毎日新聞」も１面中段に写真を渋々もってきたような形にも思えます。きちんと１面で取り上げる全国紙が存在しないなか、「東京新聞」は歴史的出来事にふさわしい紙面をつくっています。
6.29官邸前デモで、「このデモをどこで知って参加しましたか？」というアンケートを取った方々がいて、その結果は以下です。
アンケート数が1,200人以上に達しているので十分全体状況にあてはめられるものになっていて、ツイッターをはじめネット経由を合計すると72.5％にものぼっています。マスメディアが「できるだけ無視したい」という姿勢ならば、私たち自らがツイッター、フェイスブック、ブログなどで発信し、マスメディアを凌駕していきましょう。
【★7.6緊急！大飯原発3号基を停止せよ！首相官邸前抗議――この抗議行動の情報を拡散する為に、緊急拡散のご協力をお願いします！】
（byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty）