やらずぶったくりの「一体改革案」と「社会保障・税番号大綱」に断固抗議しすみやかな白紙撤回を求める | すくらむ

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 ※中央社保協の談話を紹介します。


 やらずぶったくりの「一体改革案」と「社会保障・税番号大綱」に

 断固抗議し、すみやかな白紙撤回を求める


             2011年7月1日 中央社会保障推進協議会

                        事務局長 相野谷安孝


 政府・与党は6月30日夕、「社会保障と税の一体改革案」を決定しました。内容は、社会保障を切り捨てる一方で、期限を切って消費税の大増税をすすめるという、やらずぶったくりの改革案です。同時に、国民一人ひとりに新たな個人番号を付けて、税金の徴収や社会保障分野で利用する「共通番号制度」の導入に向け、「社会保障・税番号大綱」も決定しました。社会保障の給付を個人単位で削減するための方策です。


 私たちは、この「一体改革案」と「社会保障・税番号大綱」に断固抗議するとともに、両案の白紙撤回を求めます。


 「社会保障と税の一体改革案」は、当初、6月20日までにまとめるとしていましたが、「15年度までに消費税率を10%に引き上げる」という原案に対し、民主党内部から批判が噴出、「15年度をめどに10年代半ばまで」と増税時期に幅を持たせ、30日の決定となりました。新聞各紙は、こうした経過を「骨抜き」などと表現しましたが、国民の消費税増税に対する大きな批判を背景にしたものです。


 より重要な問題は、当面の時期はごまかしても、将来、社会保障の公費をすべて消費税に置き換えるという方針を変えていないことです。「改革」案は、法人実効税率の引き下げをかかげる一方で、「消費税(現行の地方消費税を除く)を原則として社会保障目的税とすることを含め、使途を明確化。将来は社会保障の公費全体について消費税収を主な財源とする」としました。文面通り実施されれば、消費税は将来最低でも20%という税率になります。


 低所得者ほど負担率の重い消費税を主財源に据えることは、「能力に応じて負担し必要に応じて給付する」という社会保障の原則を根こそぎ破壊し、貧困と格差をいっそう拡大させる政策です。しかも、社会保障のいっそうの切り捨てか、消費税増税かの2者択一を国民に迫ることになる最悪の財源計画です。


 しかも、震災により日本全体の景気が落ち込んでいる中で、消費税の増税計画を打ち出すことは、景気悪化に拍車をかける愚策です。さらに東北地方は県民所得が相対的に低いために平均的な消費税の負担率が所得税の負担率よりも高く、結果的に被災地に重い負担を課す消費税は、震災復興に逆行するものです。


 社会保障制度は、「構造改革」によって削減・破壊され、格差と貧困を拡大する一因となりました。憲法第25条を活かす社会保障の再生・拡充は大きな国民の願いです。大震災の復興にあたっても社会保障の拡充が求められています。


 こうした願いから、社会保障がよくなるならば多少の増税もやむを得ないという声もあります。ところが「改革」案は、大増税を打ち出す一方で、社会保障の給付はいっそうの削減をすすめようとしています。社会保障の「重点化・効率化」を強調し、医療・介護や生活保護など各分野で給付削減と負担増を盛り込んでいます。「改革」案は、社会保障削減の方向を隠し、とりつくろうことに躍起になっています。「高額療養費制度の拡充」「低年金者への加算」など国民の要求を一定反映した施策も盛り込まれていますが、「外来患者の窓口負担に100円の定額負担を上乗せ」「一定所得以上の高齢者の年金削減」などの切り捨て策と抱き合わせです。年金支給開始年齢のさらなる引き上げの検討「低所得者対策の強化」といいながら生活保護制度の改悪検討も盛り込んでいます。


 まさに、やらずぶったくり以外の何物でもない「改革」案です。


 そのうえ、こうした切り捨てを合理化するために、自助自律、互助・共助が強調され、個人単位での、お金の「出と入り」を明確化させる「共通番号制」の導入まで打ち出しました。「番号制」も財界・大企業が従前から求めてきたものであり、小泉「構造改革」の一環として検討されてきたものです。


 以上のように、財源、理念、しくみのすべての面で、社会保障を破壊する「改革」案を粉砕するために、全力をあげて運動をすすめます。