原発なしでも電力は足りている-京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さんの主張 | すくらむ

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 すくらむブログに、「原発なしでも電力は足りている」というコメントが寄せられていたので調べていたら、YouTubeに、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんの講演「原発なしでも電力は足りている」 を見つけました。せっかくなので、その講演の前半部分をまとめてみました。丸めて要約していることと文中のグラフはYouTubeから取り込んだもので不鮮明なこと御了承ください。それから原発を火力発電所に代替させるだけですと当然「地球温暖化問題」にぶちあたるわけですが、この点については、小出さんの講演の後半部分「原発はクリーンエネルギーではない」などを紹介するエントリーを今度アップします。(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)


 原発なしでも電力は足りている
 (京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さん)


 いま日本全体の電気の3割は原子力発電が生み出しているのだから、原発をストップしてしまうと電気が足りなくなると言われています。原発を止めると電気が足りなくなるから、「もう私たちは原子力発電から足を抜くことはできない」、「原発はしょうがない」、「原発は必要悪だ」と、私たちは思わされています。でもそれはウソです。

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 上のグラフは、それぞれの発電所が1年間フル稼働したときに生み出せる電気の量です。電力会社が持っている発電所もあるし、最近は電力会社の電気が高すぎると言って巨大企業が自分で電気を起こす自家発電所(グラフ右の「自家発」)もたくさんあります。グラフにあるように、一番多いのは火力発電所で、原子力発電所は水力発電所と同じぐらいです。

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 上のグラフの青い部分は、実際にそれぞれの発電所が起こした電力の大きさです。たとえば、水力発電所というのは水がないと発電できませんから、渇水期には発電できないなどもともとフルに能力を出せないわけです。


 原子力発電所は、一度動かすと止めることが難しいので、かなりの高率で動かし続けて電気を起こしています。火力発電所の稼働率は48%。つまり、火力発電所の52%は止めているということです。


 このグラフの青い部分、つまり電力会社が実際に起こしている電力のうちの3割が原子力発電だと言っているわけです。

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 上のグラフを見てください。原子力発電が実際に起こしていた電力を火力発電所で起こせば、それでもなおかつ火力発電所は3割も止めたままでないといけないというくらい火力発電所は余ってしまっているわけです。ですから、私たちはいますぐにでも原子力発電から抜けられるんです。事実は、原子力発電がなくても電力は足りているのです。


 でも電力会社は、「電気というのは貯めておけない。夏場にみんなが電気をたくさん使う。夏場のピークのときでもなおかつ供給できないと困るんです」と言います。これに対して、ピークのときでも十分電気が足りることを証明するのが次のグラフです。

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 上のグラフは1930年から今日に至るまで、水力発電所、火力発電所、原子力発電所、自家発電所がどれだけ増えてきたかをあらわしています。そして、それぞれの年に一番たくさん電気を使ったときの電気量が、上のグラフの中の黒い線です。水力発電所と火力発電所で全部足りているのです。


 ただ、1990年代のあるときに少しだけ足りないときが確かにあります。しかし、これは少しだけの電力量ですからそこは自家発電所から融通して貰えばいいわけですし、もっと言えば最大需要電力というのは真夏の数日の午後の数時間だけですから、少しだけ工場の生産調整をおこなえばいいだけです。原子力発電を即刻止めても電力は大丈夫です。ですから原子力はまず止めるべきだと私は思います。