福島原発事故問題に関する緊急要望(全労連) | すくらむ

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 ※全労連の「福島原発事故問題に関する緊急要望」を紹介します。


                             2011年3月25日
内閣総理大臣 菅 直人 殿
 (原子力災害対策本部・本部長)
                             全国労働組合総連合
                              議長 大黒作治


    福島原発事故問題に関する緊急要望


 大震災の甚大な被害に加え、福島原発における事故が重大な問題となっており、大きな不安と実害がひろがっています。また、周辺地域からの避難や農作物の出荷停止など、被害がいっそう拡大しています。


 原発を早期に制御、停止させ、問題の終息をはかるとともに、集団避難や食品摂取制限などの問題解決をはかることは緊急課題であり、政府の責任が強く問われています。


 以上の趣旨から、下記事項の迅速な実現を強く求めます。


                  記


1.事故の早期終息と情報提供の改善


(1) 福島原発事故にかかる正確な情報を開示して、国内外の科学者の英知を結集した対策を実施し、事故を可及的速やかに終息させること。そのため、独立機関である原子力安全委員会に全権を委ね、客観的な対策が強力に推進される特別体制をとること。


(2) 福島原発の状況と放射能漏れ・飛散の影響に関して、正確・客観的な情報を迅速に全面公開して、国民の不安・不満を払しょくし、冷静・適切な対処を可能にすること。


(3) 放射能漏れの人体や飲料・食品の影響については、広範囲のデータ収集を強化し、その迅速な公表によって、いのちと健康、食の安全を守るとともに、風評被害をなくし、安心を担保すること。


(4) 福島原発の早急な廃炉・廃止をおこなうとともに、いまだ安全技術が確立していないことが明白となった原発推進のエネルギー政策を抜本的に改めること。情報公開の徹底とともに、そうした政策転換を実施し、被災者や農業・営業被害への十分な保障をおこなうこた、東京電力は当面、国の管理のもとに置くこと。


(5) 事故対策に現地で従事する作業員等の安全対策を徹底すること。先般の事故からも、基本的な安全対策の不備は明らかであり、また、重層的な下請け関係のもとでの当該労働者等の処遇の劣悪さが疑われることから、国は実態を精査し、必要な措置をとること。


2.避難生活への支援の保障


(1) 原発事故の影響で県外等に避難を余儀なくされた被害者(自主的な避難を含む)の避難所等にかかる費用については、関連経費をふくめ、その全額を国と東京電力の負担とすること。


(2) 緊急避難となったことや大震災の影響から、着のみ着のままの避難が高い割合になっている実態を踏まえ、災害救助法の弾力的な運用に関する通知の趣旨を徹底し、食事や飲料、寝具、衣類をはじめとした生活必需品が無償で提供されるようにすること。また、避難の長期化にかんがみ、避難所においても、洗濯や入浴、介護や子どもの遊戯などの充実や、衛生・医療・メンタル相談体制の整備をおこなうこと。大震災の被害が大きな地域からの避難については、震災支援対策との重畳的な適用を担保すること。


(3) 他県等への避難は一時的な措置であり、事故が収束し安全が確認された段階では、地元に戻って復興・生活再建にあたれるようにすること。そのため、避難にあたっては、行政・自治機能と地域コミュニティが最大限維持されるように、行政区・地域ごとに受け入れ先の自治体を明確にして、集団的な避難を基本にすること。緊急避難などで、現在はバラバラになっている家族や地域が再結集できるように、支援の自治体を明確にしつつ、再結集のための移動を柔軟に支援すること。また、避難のための輸送手段と経費は国が責任を持つこととし、高齢者や病弱者、障害者等が取り残されることのない移動支援をおこなうこと。


(4) 他県等への避難が一定長期に及ばざるを得ない実態を踏まえ、児童生徒の避難先地域の学校への編入・入学や費用支給、医療機関・介護施設、保育所等の利用が円滑におこなわれるよう、柔軟な制度運用を確保すること。


(5) 避難が県外などにひろがっている実態を踏まえ、どこでも同等の支援が受けられるよう、受け入れ自治体に災害救助法等の弾力的運用の内容を周知・徹底するとともに、場合によっては国が直接するなど、被災者支援の全国的な調整と統一的・系統的な実施を担保すること。


(6) 避難地域外であっても、自主避難が多く出るとか、風評被害の影響もあり、物流が滞るなどの影響で生活必需品が入手できないとか、原材料が手に入らないことなどの問題が生じている実態にかんがみ、避難すべき地域を明確化し、その周辺地域への物流等の確保を国の責任で実施すること。


3.被害に対する補償などに関して


(7) 放射能漏れ等のため、避難や屋内退避、休業等を余儀なくされた人々については、東京電力と国の負担で損害を弁償し、生活費等を補償すること。地域住民全員を対象にした健康診断を実施するとともに、従来の居住地を離れざるを得ない(離れることを希望する)被災者については、代替地・住居等を提供するとともに、従来の生活を考慮した生活費・生活再建費を東京電力と国の負担で提供すること。


(8) 避難や屋内待機によって就労できず、または解雇等を余儀なくされた労働者および、事業の中断を強いられた商店主や中小企業に対して、東京電力と国の負担で生活費と事業継続・再建費用を支給すること。また、中小企業や商店主に対して、雇用調整助成金の活用や無利子・無担保の融資制度を用意し、その活用を周知徹底すること。


(9) 原発事故の影響で出荷が差し止めとなった食品や、営業・操業の休止等については、風評被害による農産物の出荷停止や材料等の未入荷の場合も含め、その被害を全額保障すること。

                                      以上