先進国で唯一賃下げ続き貧困広がる異常な日本の転換を - 2011年春闘総決起集会ひらく | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ※国民春闘共闘のニュース(第11号2011年1月31日)を紹介します。


 地域から職場から打って出る春闘に
 2011年春闘総決起集会 昨年上回る1100人の熱気


 今年こそ“賃上げ春闘に”――。国民春闘共闘委員会は27日、東京春闘共闘会議と共同して、なかのゼロホールで恒例の総決起集会を開催しました。集会には、昨年を上回る1100人が参加。目に見え、音が聞こえるたたかいで春闘を盛り上げ、情勢を主導的に切り開こうという決意に満ちた集会となりました。


 主催者を代表してあいさつした国民春闘共闘の大黒作治代表幹事(全労連議長)は、大企業が内部留保を244兆円もため込む一方、労働者の賃金はピーク時から30兆円も下がったと指摘。今春闘はすべての労働者の賃上げをかちとり、内需主導で景気を回復の軌道に乗せる重要なたたかいだと強調しました。菅内閣が6月をめどに結論を出すとしている環太平洋連携協定(TPP)参加反対、消費税増税に反対する運動をすすめると表明。日本航空と社会保険庁職員の不当解雇について、「政府が深く関与する人権侵害を許すことはできない」として、解雇撤回へ向けた大きな支援を訴えました。


 松元ヒロさんがソロライブを上演。最近は首相がコロコロと変わり、そのたびにネタを更新しなければならない“悩み”を吐露しながら、おなじみの芸を披露。みずからすすめた規制緩和がもたらした派遣切り、失業増にまったく反省のない“小泉クン”、態度は控えめだが何も変える気のない“鳩山クン”など歴代首相が続々登場。「このままでは日本はアメリカに吸収合併されますよ!」と、合衆国国歌のメロディーにのせて「君が代」を熱唱し、会場を圧倒しました。


 学習講演では、国民春闘共闘の小田川義和事務局長(全労連事務局長)が、パワーポイントを使って春闘をめぐる情勢とたたかいの重点について説明。過去12年間で、先進国の中で唯一日本だけが労働者の賃金を減らしていること、賃金低下と歩調を合わせるように大企業の内部留保が増大していること、政府がねらう法人税減税は、国民の消費購買力が低迷するもとでは、内部留保のさらなる積み増しにしかならないことなどをわかりやすく解明し、職場・地域から「目に見え、音が聞こえる春闘をたたかおう」とよびかけました。


 みずからの力で閉そく感の打破を


 8労組の代表が、テーマ別に3グループに分かれて登壇。「11春闘を賃上げ春闘に!」のテーマでは、「社会保障制度改善と私たちの賃上げ要求を車の両輪に位置づけ、昨年以上のベースアップをかちとる」(東京医労連)、「職場では長時間過密労働が蔓延し、出版労働者でありながら本を読む時間もない」「組合をつくり直す覚悟で組織の拡大強化にとりくむ」(出版労連)、「今春闘を“春闘再生元年”と位置づけ、すべての仲間の賃上げと雇用の保障を求めて元気よくたたかう」(JMIU東京)と発言しました。


 地域労組を代表して、千代田春闘共闘と三多摩春闘共闘が発言。「労働者の側からこの閉そく感を打破しなければ、春闘での前進はない」「3月11日の千代田総行動では、争議支援、社前行動、省庁要請行動を大きく展開する」(千代田)、「春闘再構築の土台は地域でのたたかいだ」(三多摩)と語りました。


 「仕事をよこせ」のテーマで登壇した東京土建の代表は、2万人から回収したアンケートで、実に93%が「生活が苦しい」と答えたことを紹介。大手企業との交渉で不払問題を改善させるなど信頼をたかめ、組合への加入につなげていると語りました。


 東京自治労連・公共一般は、自治体非正規の大量雇止めにつながる更新回数限度の撤廃に向けた運動が成果をあげていると報告。「仕事への誇り、雇止めなどへの怒りをもって、奮闘する決意だ」と発言しました。「法務局の窓口業務が競争入札の対象になり、3月末には750人が職場を追われようとしている」と切り出したのは、全国一般民法労の代表。「やられてばかりではいられません。国と大企業に責任を果たさせる春闘にしようではありませんか」と力強く訴えました。


 つづいて、19日に日航による不当解雇撤回を求めて提訴した原告団が登壇。代表して決意表明した航空労組連絡会の近村一也議長は、日航が人員削減目標を超過達成し、史上最高の利益をあげているにもかかわらず、解雇を強行したと告発。「日航の再建とは、利用者に安心して乗ってもらうことだ」と語り、解雇撤回のたたかいへの支援を訴え、大きな激励の拍手に包まれました。


 集会の最後に、「集会アピール」を満場の拍手で採択。東京春闘の伊藤潤一代表委員の閉会あいさつにつづき、全員が起立して「団結ガンバロー」を三唱し、集会を締めくくりました。(おわり)


 集会アピール


 本日、国民春闘共闘委員会、東京春闘共闘会議は、「すべての労働者の賃上げ、雇用確保を実現しよう、内需主導の景気回復」をスローガンに、2011年国民春闘勝利!総決起集会を開催しました。


 すべての働く仲間のみなさん


 日本は、先進国のなかで唯一賃金が下がり続け、GDPが横ばいのままという異常な状況となっています。非正規労働者が1,800万人に達し、ワーキングプアと呼ばれる年収200万円以下の労働者が1,100万人と「格差と貧困」は広がっています。そして、派遣切りは昨年末に30万人を超え、完全失業率は5.1%と高止まりし、就職内定率は、高卒70.6%、大卒68.8%と最悪となっています。


 国税庁の「民間給与実態統計調査(2009年)」では、年収が前年より23万7千円減り、この10年間で一人62万円、総額で30兆円減少しました。消費購買力の落ち込みが続く中で景気が回復するはずがありません。


 一方、大企業は、この1年間で自動車・電機など輸出関連企業を中心に純利益を4兆円から7兆円に、内部留保を233兆円から244兆円へと膨れ上がらせ、手元資金52兆円の有効な使途が見当たらないという異常な「カネあまり」状態となっています。大企業の内部留保を賃上げや非正規社員の正社員化、労働時間短縮、下請け単価の改善などに使わせるなど、労働者と社会に還元させるために、大企業に社会的責任を果たさせる運動の強化が求められています。


 すべての働く仲間のみなさん


 24日から第177通常国会がスタートしました。菅内閣は、施政方針演説で消費税率引き上げ、TPP参加、日米同盟深化を強調し、財界本位・アメリカ追随の政治をいっそう強めています。また、全国紙などマスコミは、「バスに乗り遅れるな」とばかりにTPPへの参加をあおり、消費税率引き上げでも政府・財界を応援しています。真実を国民に伝える本来の報道のあり方を放棄した大政翼賛会ばりの論調で報道しています。連合もTPP参加にはいち早く賛成の立場を表明しています。


 一方、TPP参加反対のたたかいが全国各地で広がり、JAも断固反対を表明しています。最賃、公契約運動も確実に前進し、総務省は、「指定管理者制度が官製ワーキングプアをつくっている」とし、自治体に適切な運用を求める通知を出すなど、私たちの運動と共同が広がっています。


 菅内閣に対して、国民のくらしに目を向けよ、内需主導の経済で仕事おこしをという要求の実現を迫り、消費税増税・TPP参加、地域主権改革反対にむけて春闘の諸行動と重ね合わせて中央と地方・地域で運動と共同を大きく発展させましょう。


 すべての働く仲間のみなさん


 景気回復のためには何としても内需の拡大が必要です。職場討議をもとに、賃金要求を掲げ、「すべての労働者の賃上げで内需拡大を」、「時給1,000円は当たり前」、「正規雇用は当たり前」などの世論を広げることが重要です。職場を基礎にたたかいを地域に広げ、大企業の社会的責任を徹底して追及しましょう。


 JALの「整理解雇」、旧社会保険庁職員の「分限免職」など政府・財界の不当な解雇を許さず、早期職場復帰をめざす運動を大きく広げましょう。


 4月には、13都道県の知事選をはじめ、いっせい地方選挙がたたかわれます。住民のくらしを守る砦としての自治体の機能強化と、雇用とくらしを守り地方自治を発展させるために、春闘と一体で取り組みましょう。


 2011年春闘の勝利をめざし、積極的な要求をかかげ、労働者・国民が安心して生き、働くことができる社会の実現に向けた決起を呼びかけます。


 2011年1月27日
 2011年国民春闘勝利! 1.27総決起集会