社会保障基本法・社会保障憲章第1次草案への意見募集 | すくらむ

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 ※「転送・転載大歓迎」の「社会保障基本法・社会保障憲章第1次草案への意見募集」です。


 ★社会保障基本法・社会保障憲章第1次草案への意見募集


 一橋大学名誉教授の渡辺治さん、都留文科大学教授の後藤道夫さん、弁護士の竹下義樹さんたち研究者や活動家で作る「福祉国家と基本法研究会」で、社会保障基本法と社会保障憲章の第1次草案が作られ、12月末まで意見を募集しています。


 貧困の深刻化と高齢化などにより社会保障の需要は拡大しているにもかかわらず、公的責任を後退させ、保障を制限する「構造改革」・小さな政府路線が強まる中、社会保障の全領域にわたる体系的な対抗構想を打ち出す必要性がより高まっています。ぜひお読みいただき、意見を寄せていただければと思います。


▼社会保障基本法草案
http://www.tokyo-syahokyo.net/data/2010y/gazou/301022syaho_souan.pdf


▼基本法草案解説
http://www.tokyo-syahokyo.net/data/2010y/gazou/301022kihohou_souanKaisetu.pdf


▼社会保障憲章草案
http://www.tokyo-syahokyo.net/data/2010y/gazou/301024syaho_kenshouAn01.pdf


▼意見の集約先
東京社会保障推進協議会
〒170-0005
東京都豊島区南大塚2-33-10東京労働会館6F
TEL03-5395-3165 FAX03-3946-6823
syaho001@chihyo.jp


▼福祉国家と基本法研究会メンバーは↓を参照
http://www.healthnet.jp/_img/event/2010/sinpo101024p.pdf


▼社会保障憲章「はじめに――いまなぜ社会保障憲章か」より一部抜粋


 社会保障の充実は人びとの強い願いである。


 だが、その実現のためには、これまでの日本社会のあり方を大きく転換しなければならない。社会保障への期待と需要が急速に拡大する一方で、社会保障への国の公的かかわりと責任は後退を続け、保障を制限する改革があいついでいるからだ。社会保障をめぐる岐路は、同時に日本社会そのものの岐路でもある。


 この憲章は、福祉国家型の大きな政府による社会保障の抜本的拡大をめざし、社会保障全体とその諸領域を充実させるための諸原則と哲学を明らかにするためのものである。」


 25条をはじめとする憲法諸条項や国際条約などを十全に生かすためには、それらに示されている原則や理念のより積極的で具体的な展開、すなわち、社会保障制度のあるべき輪郭を示すことが求められている。これは25条等の条文から、そのすべてが自動的に出てくるものではない。これにたいし、日本国憲法9条は「禁止」の条項であるため、こうした問題は起きない。


 日本国憲法25条等に基づき実現すべき社会保障制度の諸原則、輪郭、および哲学について、国民的な規模の議論と合意形成が求められている。この憲章が広く議論されることを期待したい。


▼社会保障基本法草案解説
「はじめに 社会保障基本法はなぜ必要か」より一部抜粋


 社会保障基本法の第1の目的は、私たちが、憲法とくに第25条、13条を通してもっている、人権としての社会保障の全体像を明らかにし、私たちが一体いかなる権利を持っているのか、またそれら権利を実現すべくいかなる社会保障の制度をもつべきか、またそれら社会保障の制度はいかなる原則で運営されねばならないか、その全体像を明らかにすることである。


 「健康で文化的な最低限度の生活」とはいかなるものであり、どんな水準であるのか、憲法は、その輪郭と原則を示してはいるが、その具体的なところまでは、明らかにしているわけではない。


 社会保障基本法は、憲法第25条の権利の内容が本来、いかなるものか、どんな水準のものかを明らかにし、憲法の理念に照らして、25条を中心とする人権の輪郭を示す役割をもっている。そうした25条の輪郭を明らかにすることによって、私たちの運動が、めざすべき社会の目標を示すことを目的としている。


 第2に、社会保障基本法は、憲法第25条に基づく社会保障の全体像を明らかにすることを通じて、様々な問題と困難を抱え、さらに近年の構造改革で削減にさらされている、現実の法律、社会保障制度、その運用を改めて点検し、それを改革、強化していく法的梃子となることをめざしている。


 第3に、社会保障基本法は、第25条をめぐる裁判において、従来「立法裁量」に任されたり、あるいは、憲法25条の原則に添わない解釈により否定されてきた諸権利に、改めて立法上の根拠を示すことで、裁判所における25条の解釈に明確な指針を与え、その見直しを迫ることをめざしている。