東京地方最低賃金審議会の「答申」にあたって | すくらむ

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 ※東京春闘共闘の談話を紹介します。


 東京地方最低賃金審議会の「答申」にあたって


 東京地方最低賃金審議会は、8月23日、現行時間額791円に30円プラスした「1時間821円」とする「東京都最低賃金改正」の答申を行った。この「答申」は、7月2日の中央最低賃金審議会諮問で長妻厚生労働大臣があいさつした、①最低賃金の生活保護基準との乖離の解消、②6月3日の「雇用戦略対話」で政府・日本経団連・連合で合意した「2020年までの目標として、できるだけ早い時期に全国最低時給800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円を目指す」の重視から大きくかけ離れたものです。


 厚生労働省が言う生活保護との乖離金額40円でさえ今年も解消されず3年連続で最賃法違反状態を続けることになります。8月6日の中央最低賃金審議会で示された目安で、2010年度生活保護との乖離地域は、9地域でしたが大阪、京都は地方最低賃金審議会の聡明な判断で今年度一気に解消しました。8月23日時点で予想される乖離地域は7地域で、全地域に占める割合は15%とわずかな地域となっています。


 生活保護との乖離は、東京春闘共闘の試算では時給1,490円(乖離額699円)、08年首都圏最低生計費調査は1,399円(乖離額548円)で、厚労省の乖離額が解消されたとしても「最低賃金で働いても生活保護の対象になる」という矛盾が生じます。毎日新聞は「年間通して給与を得ている人のうち1,000万人以上が年収200万円に満たない。結婚もできず、子どももつくれない、年金や医療保険も払えない。そんなワーキングプア(働く貧困層)を救済するために賃金の改善を求める声は強い。特に問題なのが、生活保護の給付水準より最低賃金が低い地域があることだ。これでは働く意欲がそがれるというものだ」と指摘しています。直ちに乖離状態の解消を求めます。


 「雇用戦略対話」の合意事項の全国平均1,000円の2020年実現のためには、東京で少なく見積もって1,200円とした場合、毎年40円以上の引き上げが求められます。しかし、今回の答申は合意事項の実現を遠のかせるものでしかありません。


 東京春闘共闘会議は、今回の「答申」は最低賃金法を蹂躙するものであり、認めることは出来ません。東京労働局長は「答申」を認めず最低賃金審議会に「審議のやり直し」をすることを求めます。また、30円の改正決定に対する異議の集中をはかり、違法状況の解消に向けて大義を持って、大幅な引き上げを強く要求するものです。


 東京春闘共闘会議は、最低賃金法に基づいて、積極的に生活保護に基づく最低賃金の基準等を示してきました。また、国民春闘共闘委員会とともに厚生労働省前行動をはじめ、東京労働局前宣伝・要請行動、座り込み、最賃署名をはじめとする諸行動を積み重ねてきました。私たちは、生活保護を下回る最低賃金をそのまま放置し、格差をさらに拡大し、低額最低賃金を固定化していくことに通じる今回の答申を乗り越え、大幅な最低賃金の引き上げ、全国一律最低賃金制度の確立に向けて奮闘するものです。


                           2010年8月24日
                            東京春闘共闘会議
                            事務局長 高畠素昭

                                        以上