社会保険庁職員の整理解雇(分限免職処分)の取り消しを求める提訴にあたって | すくらむ

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 ※全厚生労働組合の談話を紹介します。


 社会保険庁職員の整理解雇(分限免職処分)の
 取り消しを求める提訴にあたって(談話)


 昨年末、社会保険庁の廃止・解体に伴い525名の職員が整理解雇(分限免職)された。道理のない不当処分の取り消しを求め、39名の全厚生組合員が人事院に不服申し立てを行なった。申し立てから半年を経過しているが人事院での口頭審理は早くて来年2月以降となっている。


 こうした中、本日、15名の組合員が行政事件訴訟法第8条に基づき、分限免職処分の取り消しを求め京都地方裁判所に提訴した。


 厚生労働省は、社保庁の廃止は、社会保険行政の信頼回復のためと主張している。しかし、国民の信頼を失った根本問題は、医療や年金制度などの相次ぐ改悪に対する国民の不満が背景となっている。年金記録問題を含め制度的・組織的な責任を職員に転嫁し、その身分(職)まで奪うことは絶対に許されない。


 45年ぶりに発動された分限免職処分は、整理解雇の4要件からみて、まったく不当なものである。なぜなら、社保庁が担ってきた大半の年金業務は日本年金機構に継承されている。そのうえ、民間から1,000人以上の正規職員を新規採用している、発足時に大幅な欠員が生じ1月以降度重なる追加募集を行っている、さらに、分限免職回避努力をまともに行なってこなかったことなどから、明白である。


 また、この間の行政機関の独立行政法人化や業務の廃止・縮小にあたっても、当該職員の雇用と身分は確保されている。特に、農水省の2,500人を超える余剰人員は、政府が設置した「雇用調整本部」による省庁間配転で雇用が確保されている。社保庁職員に対する整理解雇は、憲法や国家公務員法の平等取扱の原則に反するものである。


 今、「地域主権改革」による国の出先機関の廃止が打ち出されている。先の参議院選挙では多くの政党が公務員の定数削減、人件費削減を公約に掲げるなど、公務員バッシングが激しさを増している。公共サービスの確保や国民生活向上の観点も抜け落ち、職員の雇用問題では、社保庁と同様の退職・選抜採用方式の拡大が狙われている。


 公務員労働者の生活と働くルールを守るためにも、社保庁職員の不当解雇を撤回させなければならない。


 経験ある多くの職員が排除される中、年金業務を引き継ぐ日本年金機構はスタートした。国民サービスや年金記録の整備にも混乱を極めており、ベテラン職員が抜けた影響は計り知れないものがある。公的年金業務の安定的な運営とサービスを確保し、国民の信頼を回復するために、不当解雇の撤回、経験ある職員を職場に戻すことが何よりも必要である。


 全厚生は、この裁判において、国家公務員法や労働法理を踏みにじった解雇であること、整理解雇の必要性もまったくない解雇であること、さらに、雇用の安定と労働者の権利確保を行政目的とする厚生労働省による不当な解雇であることを明らかにしてたたかう決意である。


                               2010年7月23日
                               全厚生労働組合
                               書記長 杉浦公一


                                     以上