鳩山首相が「内部留保への課税検討」 - トヨタの内部留保1%で4万4千人の雇用増 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 今朝の朝日新聞をはじめ各紙が報道していますが、鳩山首相が「大企業の内部留保への課税を検討する」と発言したそうです。日経ネットでは、鳩山首相が「①所得税の最高税率引き上げ、②証券優遇税制の見直し、③大企業の内部留保課税――などを今後の税制改正で前向きに検討する考えを示した」と報道されています。


 すべての企業の内部留保は、1998年度の209兆円から2008年度には428兆円と10年間で2倍以上、219兆円も増え、そのうち大企業の内部留保が半分以上を占めています。この10年で「貧困と格差」が拡大した大きな要因となっている大企業の内部留保を社会に還元させる具体的な方法について、政府としてぜひ検討してもらいたいものです。


 国公労連は、“各企業は「利益至上主義」に陥ることなく、今こそ自らの社会的責任(CSR)を果たし、内需拡大による景気回復を目指すべき”として、以下のような内部留保の試算を発表していますので紹介します。(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)


 ▼内部留保による雇用増・賃上げ試算(国公労連試算)

 内部留保の1%による雇用増
 主要144社のうち89社で1,000人以上の雇用可能


 下表にあるように、主要企業144社について内部留保の1%を雇用に回すとどれくらいの雇用増があるのかを試算しました。(雇用については年収が300万円で1年間雇用としました)


 試算の結果、主要企業144社のうち89社においてそれぞれ1,000人を超える雇用が可能です。このうち8社では1万人以上の雇用が可能、11社では5,000人から1万人未満の雇用が可能です。


 個別企業をみると、トヨタ自動車は内部留保が13兆4,000億円あり、その1%で4万4,000人の雇用が可能です。また、キャノンの内部留保は3兆9,000億円あり、その1%で1万3,000人の雇用が可能です。


 月1万円賃上げをする場合の内部留保取り崩し率
 83社中の69社、3%未満の取り崩しで
 正規と非正規に月1万円の賃上げが可能


 ① 正規労働者の賃上げ


 主要大企業144社について正規従業員全員に月1万円賃上げ(ボーナス6月含めて年間必要財源は18万円)するために内部留保の何%を取り崩せばよいか試算しました。


 試算の結果、主要企業144社のうち125社において内部留保の3%未満で正規労働者全員に月1万円賃上げが可能です。


 ② 非正規労働者の賃上げ


 主要企業144社のうち非正規労働者(雇用関係のある臨時従業員)の人数が明らかな企業は83社です。この非正規労働者全員に月1万円賃上げ(年間必要財源は12万円)するため内部留保の何%を取り崩せばよいか試算しました。さらに正規と非正規に両方に月1万円賃上げする場合の内部留保の取り崩率も試算しています。


 試算の結果、83社中、69社で内部留保の3%未満の取り崩しによって正規と非正規に両方に月1万円の賃上げが可能です。


 ③ 個別企業の例
   トヨタ0.5%、キヤノン0.82%で月1万円の賃上げ可能


 トヨタ自動車は内部留保が13兆4,000億円であり、正規32万人と非正規8万人とに月1万円賃上げをするのには内部留保の0.50%を取り崩せば可能です。


 キヤノンの内部留保は3兆9,000億円であり、正規16万6,000人と非正規1万7,000人に月1万円賃上げはするには内部留保の0.82%を取り崩せば可能です。



すくらむ-内部留保試算1


すくらむ-内部留保試算2