労使関係制度検討委員会の最終報告取りまとめにあたって | すくらむ

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 ※全労連「公務員制度改革」闘争ニュース(No.83、2009年12月17日)を転載します。


 検討委員会が最終報告を仙谷大臣に提出
 権利闘争の新たな局面をむかえ、政府に対する

 取り組みが重要に


 国家公務員制度改革推進本部の労使関係制度検討委員会は15日夜、検討委員会としては最後の会合を開き、「自律的労使関係制度の措置に向けて」とする報告 を了承しました。


 昨年10月に設置された検討委員会は、17回の会議が開かれ、学識経験者による委員会のワーキンググループの議論は26回におよび、全労連闘争本部も、ワーキンググループのヒアリングへの出席などを通して意見をのべてきました。


 こうした議論を経て取りまとめられた報告は、16日に仙谷公務員制度改革担当大臣に提出され、今後、協約締結権確立を中心に法案作成の準備がはじまることとなります。


 政権交代のもとで、公務員制度改革をめぐっても情勢が激しく動くなか、法案の国会提出の時期は未定ですが、検討委員会の報告が多くの選択肢を持ち、幅広い内容となっているため、制度設計にむけては、なお多くの検討課題が残されています。


 こうしたことから、委員会報告が出された新たな局面で、政府に対して、労働組合との十分な交渉・協議をふまえて法案策定をすすめることを求めていく必要があります。同時に、その他の権利課題である消防職員の団結権保障、公務員の争議権保障など、憲法にそった労働基本権回復のたたかいが重要となっています。


 全労連公務員制度改革闘争本部では、検討委員会の報告をうけて別掲の闘争本部長談話を発表、引き続き、労働基本権回復をはじめ、民主的公務員制度の確立をめざしてたたかう決意を内外に明らかにしました。


 労使関係制度検討委員会の最終報告取りまとめにあたって

 (談話)
                   2009年12月15日
                   全労連公務員制度改革闘争本部
                   本部長 小田川義和


 国家公務員制度改革推進本部に設置された労使関係制度検討委員会は15日、「自律的労使関係制度の措置に向けて」とする最終報告(以下、報告)を取りまとめた。


 1948年に公務員の労働基本権が剥奪されて以降、権利のあり方に集中して意見が交わされたことは初めてであり、政府は、今回の報告を新たな労使関係構築にむけた議論の経過として受けとめ、基本的人権実現にむけた制度具体化を早期におこなうよう求めるものである。


 検討委員会では、昨年10月から1年以上にわたって、労使交渉制度をはじめとして多面的な議論がおこなわれ、報告書も膨大で多岐にわたるものとなった。


 しかし、提起された論点のすべてにわたって意見が一致したものではなく、報告では、なお数多くの選択肢を残し、示された3つの「モデルケース」を見ても、民間における労使関係に近い制度から、人事院勧告制度を「代償措置」とした現行制度にほぼとどめるものまで、幅広い内容となっている。


 さらに、使用者機関や第三者機関のあり方などは、「内閣人事局」の機能をはじめ公務員制度改革全体の方針ともかかわることから、政府に今後の検討がゆだねられた。


 その点で、新たな制度確立までには、政府として多くの具体的な検討作業が残されている。その際の視点は、憲法とILO勧告など国際基準にもとづくことはもとより、公務員労働者の諸権利や労働条件の改善に資する制度であること、国民にとって公務・公共サービス向上につながることが重視されるべきことは言うまでもない。


 また、「便益及び費用」にかかわって、制度設計が固まった後、報告も参考にして別途検討するとしているが、その際も、国民や公務員労働者にとっての「便益」という視点が求められているし、ましてや、基本的人権である労働基本権について、「コスト」の観点で制約すべきではないことをあらためて強く指摘するものである。


 全労連闘争本部は、検討委員会に全労連が排除されるなかにあっても、検討委員会のワーキンググループでの意見表明を認めさせ、十分とは言えないまでも、論点に則して闘争本部としての考え方を委員会の議論に反映させる努力を続けてきた。


 今後、政府での検討にあたっても、全労連との十分な交渉・協議にもとづいて作業をすすめるよう求めるものである。


 労働基本権をめぐっては、協約締結権にとどまらず、公務員の争議権や消防職員等の団結権の回復が重要課題となっている。全労連闘争本部は、憲法で保障された労働基本権のすみやかな回復を政府に求め、その実現にむけてたたかう決意を明らかにする。

                                       以上