機関紙『国公いっぱん』2009年7月8日付第46号◆霞が関の国家公務員4千人が過労死ライン | すくらむ

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 昨日の早朝宣伝で配布した国公一般の機関紙『国公いっぱん』最新号の画像とテキストです。(by機関紙DTP編集担当ノックオン)

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 機関紙『国公いっぱん』2009年7月8日付第46号の記事テキスト


 ▼1面の記事


 ◆霞が関で働く国家公務員
  4千人が過労死ライン


 霞が関国家公務員労働組合共闘会議は7月1日、霞が関で働く中央省庁の職員(管理職除く)を対象にした「残業実態アンケート」の結果を発表しました。


 アンケートは今年3月に実施し、3,572人から回答を得ました。それによると、厚生労働省が「過労死の危険ライン」としている月平均の残業「80時間以上」が8.9%(100時間以上は4.5%)です。この結果から、霞が関の一般職員約4万5千人のうち、約4千人が過労死の危険ラインにあると推計されます。過労死の危険を「過去に感じた」31%、「現在感じている」4.1%で、3人に1人が過労死の危険を感じています。


 「残業の要因(2つ選択)」では、「業務量が多いため(定員不足)」が64.1%と最も多く、次いで「国会対応のため」が24.2%となっています。業務量に見合う職員が十分に配置されていないことが、霞が関の長時間労働の最も大きな要因となっています。


 ◆「労働組合の大切さ実感」

  国公一般学習交流会で労働委員会・労働審判について学ぶ


 国公一般は6月18日、学習交流会を開き、10人が参加しました。国公一般の顧問弁護士で、東京法律事務所の今泉義竜弁護士を講師に、労働委員会と労働審判について学びました。組合員の感想を紹介します。


 ★ 労働委員会、労働審判の仕組みと、労働争議の実態がよくわかりました。様々な問題がある職場で働く私にとって、この制度を活用する、しないに関わらず、とても勉強になりました。1人で会社を相手にたたかうことは難しいと思うと同時に、労働組合という組織の大切さを実感しました。


 ★ とても有意義な学習会でした。私が民間の会社に勤めていたときに組合を作りましたが、経営者から不当労働行為を受けたので都労委を活用しました。その後は団体交渉もスムーズに行えました。公共の仕事も多く手がけていた会社だったので、市町村議会にも働きかけた結果、半年後に都労委で経営側と和解して、5名の配転を撤回させることができたのです。


 ◆霞が関メモ(コラム)


 政府は7月1日、「2010年度から5年間で国家公務員の定員を10%以上合理化する」ことを決定した。10年度には2%以上合理化する各府省の目標数を示し、11年度以降4年間の目標数は、「地方分権改革」による国の出先機関の「合理化」を反映させるとしている▲先進国中で最も少ない日本の公務員をどこまで減らすつもりなのか。「地方分権」によって国の出先機関を廃止し、地方に移管することは、国の責任を地方に丸投げするもの▲5月の完全失業率は5.2%に悪化し、有効求人倍率は過去最悪の0.44倍となった。人減らしが強行されたハローワークでの職業相談はパンク状態だ▲働く権利の保障や最低限度の生活保障は国の責任ではないのか。いまほど、国民の暮らしを守る国の責任と役割発揮が求められている時はない▲「構造改革」路線によって「小さな政府」「規制緩和」が強行され、暮らしも雇用も破壊されてきた。国の役割を外交や防衛などに限定し、国民生活に関する国の責任を放棄するのも「構造改革」だ。総選挙では、政治の転換こそが求められている。


 ▼2面の記事


 ◆気象庁の職場
  測候所廃止で気象観測ができない
  災害から国民の安全守る体制の拡充を


 かつて全国に96カ所あった測候所があとわずかでなくなる瀬戸際に来ています。


 すべての測候所の廃止めざす政府


 政府は2006年に、測候所を5年以内に原則として廃止すると閣議決定し、国際的に重要な観測点と指定されていたり、大雨情報などの防災情報の発表を地方気象台などと分担して行っている重要な測候所も含めて、すべての測候所を対象に廃止が進められ、現在残っている測候所は18カ所。今年10月以降はわずか8カ所となる見込みです。


 災害の観測もサクラの開花予報もできなくなる


 今回廃止が予定されている測候所の中には、大島や八丈島など独自に予報や警報を発表していた測候所が多数含まれています。これらの地方では、以前のようなきめ細かな情報提供がしづらくなったとの声が現場の職員からあがっています。加えて、完全に無人化されれば、地元からの問合せにも十分に答えられなくなる事態が心配されています。


 また、測候所廃止によって、国民に親しまれてきたサクラの観測や開花予報ができなくなり、さらには、霜や積雪など災害に関わる観測もできなくなるなど、国民の安心や安全に対する国の責任をも後退させるものとなっています。


 政府は、2009年度で終わる第11次定員削減計画に続いて、向こう5年間でさらに10%以上を削減する新たな定員合理化計画を、7月1日に閣議決定しました。これまでの、一律的な定員削減によって、国民の安全に関わる行政の根幹までやせ細っていく状況となっており、もし、今後さらに10%もの削減計画が強行されるならば、国民の安全を守る屋台骨まで傾きかねません。


 世界でも異常な公務員減らし


 日本の公務員数は、フランスやイギリスの半分以下と極端に少なく、効率的に行政が行われていることはデータから明らかになっています。行政の内容も省みず、数字だけをもて遊ぶ定員合理化計画は、百害あって一利なし。即刻撤回すべきです。

                               (全気象労働組合)


 ◆労働相談メール
  省庁の委託業務で数年給料あがらない


 国の機関で働く委託職員の方から相談がありました。


  ある省庁の委託業務に従事しています。毎年、請負会社は変わるのですが、数年来同じ職場で同じ仕事をしているのに、給料が上がりません。違法ではないでしょうか。


  2つの問題が考えられます。1つは偽装請負の疑いです。同一職場で、同じ仕事をしているとのことですが、省庁の職員からの指示命令で仕事をしていれば偽装請負となり違法です。


 もう1つは労働契約時の問題です。本人の了承がないままに雇用を引き継ぐのは違法となります。労働契約は本来、労使間において本人が納得した上で結ばれるものです。しかし、劣悪な労働条件でも働かざるを得ない状況から、拒否することができずにワーキングプアが生まれています。


 国公一般は、国との契約のもとでの劣悪な労働条件や一方的な雇い止めに大きな問題意識を持って取り組んでいます。ぜひ、国公一般に加入していただき、一緒に処遇改善を勝ち取りましょう。