※「連合通信・隔日版」(09年7月2日付No.8210)からの転載です。
全労連/1万人を突破、2年で倍加/
ローカルユニオン全国交流集会/「闘いの焦点は地域にあり」
全労連は6月28日から2日間、愛知県豊橋市内で、ローカルユニオン全国交流集会を開いた。雇用情勢が悪化するなか、1人から入れる「いまそこにあるユニオン」として、全国に作られたローカルユニオン(LU)はこの2年間で組合員数が倍増。全国41道府県135組合で、1万人を突破したことが報告された。
あいさつした小田川義和事務局長は組織が急増した背景として、「『派遣・期間工切り』に真っ向から闘う組織として、全労連傘下の組合の姿が大きく認知されてきた」ことがあるとし、「構造改革でセーフティーネットが壊され、職を失うと同時に住居さえ失う状況が生み出された。そうした社会の歪みへの批判を伴って運動が進んでいる。社会の仕組み、政治の転換を強く意識した運動が必要だ」と述べた。
「年越し派遣村」以降、6月までに211カ所で全労連傘下の組合がかかわる同様の取り組みが行われたことを紹介し、「マネーゲームに明け暮れるカジノ資本主義への最も明確な対立軸が『働くルールの確立』だ。普通に働けば普通に暮らせる社会の確立を」と強調した。
派遣法の抜本改正、最低賃金千円の早期実現、雇用セーフティーネットの整備、医療・介護・教育など社会基盤の整備をトータルで取り組むことを提起したうえで、「外国人、間接雇用労働者、パート、青年、女性、高齢者、最も被害を受けている労働者を先頭にその被害の実態を可視化する必要がある」と指摘。
「全労連と産別、地域がいかに統一的に機動的に連携するか。たたかいの焦点とたたかいの場は地域にある。職場をつなぐ地域で雇用闘争を軸に大企業と政治の責任を追及し、社会を変革する担い手をどれだけ作れるかが今日的課題となっている」と述べた。
●5倍以上が10組合
1月から5月末までの労働相談件数は1万240件、相談からの組合加入者は1,795人で、加入率は約2割の水準。1割弱だった昨年と比べ、加入率はアップしている。
組合員が2倍以上に増えたLUは36組合、5倍以上は10組合に上った。苫小牧(5人→67人)、滋賀(20人→250人)、三重・南勢(10人→108人)、西宮・芦屋(17人→106人)、札幌(150人→406人)など、地方での急増ぶりが目を引く。
報告した寺間誠治組織局長は、最近の雇用を守る取り組みの特徴として、①全労連加盟組織が少ない地方に集中、②日本経団連の中枢企業と対決、③加入者の多くが青年、④LUが企業内労組に加入できない労働者の受け皿になっている――ことを指摘し、「ローカルユニオンは『現実的な力を発揮する組織』として新たな飛躍への時期を迎えている」と評価した。
■〈分散会討論〉/全国の取り組みを交流
労働相談の担い手確保、後継者の育成をテーマに地方・地域労連の幹部を集めた第一分散会。殺到する労働・生活相談への対応に追われる一方、解決と同時に組合員が離れていく、個人加盟労組に特有の課題も指摘された。
山形は、相談があった地域にLUの分会をつくり、仲間の団体交渉に組合員が参加するなかで、組合員同士の結びつきと学習を深めていると報告し、「地域の力を掘り起こす機会になっている」と述べた。神奈川はニュースをこまめに出すことで組合員をつなぎとめていることや、労働相談に対応するサポーター登録運動を進め、神奈川労連として財政支援を行っていると述べた。
滋賀は、解雇争議で結成された日系ブラジル人労働者らの組合を地域ユニオンに衣替えし、その地域の在日外国人に組合加入を呼びかけていると述べた。
単産との協力も進んでいる。「単産と連携して50人ぐらいの組合にしたところが3つある」と述べた長野、LUとJMIU、全国一般との二重加盟を進めながら集団的労使関係を通じた争議解決を進めていると述べた広島、「LUや青年ユニオンに加入してもらい、その後、通信労組に加入したケースがある」(通信労組)などの取り組みが報告された。
一方、「相談に訪れた人にどう成長してもらうかという観点が必要。地域労連まかせではなく、(全労連として)方向性、戦略をもつ必要がある。(すべての労働者の利益を考える)階級的成長という目的をもたなければならないのではないか」など、LUの今後のあり方について議論を求める意見も出された。