「母子加算」の復活を!/生活保護問題で市民が集会/子どもに貧困を背負わせないで | すくらむ

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 ※「連合通信・隔日版」(09年6月11日付 No.8201)より転載します。


 「母子加算」の復活を!/生活保護問題で市民が集会

  /子どもに貧困を背負わせないで


 「子どもに貧困を背負わせないで」――。


 今年4月に全廃された生活保護の母子加算復活を求め野党が共同法案を国会に提出したのを受け、母子家庭の母親らが6月9日、都内で緊急集会を開催。母子加算の復活や児童扶養手当削減の撤回を求めた。


 集会には野党の国会議員も参加し、生活苦を訴える当事者の話に耳を傾けた。


 母子家庭に支給されていた生活保護の母子加算は2005年から段階的に削減され、4月に全廃。これにより都市部では月に2万3千円余りの減収となり、親からは「高校に通う子どものかばんが買えない」など悲鳴があがっている。


 こうした声を受け、民主・共産・社民・国民新の野党4党は6月4日、母子加算復活法案を共同で衆議院に提出し、早期の審議入りを求めている。


 集会では母子加算が廃止された当事者などが発言。


 東京・足立区在住の女性は高校生の息子と2人暮らし。パートで週5日勤務しているが年収は100万円に満たないという。「子どもの成長とともに貧しくなっている。参考書を買うお金もない。あと1、2万円あれば教育資金のための貯金ができるのに」と語った。


 生活保護は受けていないが、家計簿を持参して苦しい生活を訴えた女性は「夫からDV(家庭内暴力)を受け、子ども3人を連れて逃げた。貧困は自己責任と言われるが、子どもにも貧困を背負わせることが自己責任なのか。貧乏な家庭に生まれてもきちんと生きていける世の中にしてほしい」と強調した。


 民主党の山井和則衆院議員や共産党の山下芳生参院議員らがあいさつ。山井議員は「1日も早く審議して総選挙前に成立させ、10月1日から母子加算を復活させたい」と決意を語った。


 また、野党4党が生活保護の母子加算復活法案を提出したことを歓迎して、生活保護問題全国対策会議や反貧困ネットワーク、全国生活と健康を守る会など7団体は6月4日、以下の共同声明を発表。


 母子加算復活法案の提出を歓迎する共同声明


 年末年始に実施された日比谷公園における「年越し派遣村」の活動やその後に全国各地で実施された同様の「派遣村」の活動は、我が国のセーフティネットがきちんと機能しておらず、失業が直ちにホームレス状態に直結する実態を露呈した。そして、生活保護が最後のセーフティネットとして市民の生活を根底で支えていることを示した。


 ところが、この間、生活保獲において高齢者とひとり親家庭に支給されてきた老齢加算と母子加算がそれぞれ廃止されてしまった。これは生活保護基準の切り下げにほかならない。生活保護基準は、他の諸制度、諸施策と連動しており、その切り下げは、生活保護受給者の生活を脅かすにとどまらず、市民生活全般に極めて重大な影響を及ぼす。特に、母子加算の廃止は、ひとり親世帯に貧困が集中している実態を無視して、子どもたちに更なる負担を強いるものであり、貧困の連鎖を生み出すものである。


 老齢加算と母子加算の廃止に対して、現在、全国113名の高齢者とひとり親が裁判で闘っている。しかし、昨日、福岡地方裁判所は、老齢加算の削減廃止に基づく行政庁の処分の違法性を認めず、原告らの請求を棄却した。老齢加算と母子加算の廃止については、すでに昨年6月の東京地裁判決、同年12月の広島地裁判決においても、それぞれ原告敗訴の判決が言い渡されている。これら3つの判決は、いずれも厚生労働大臣に広い裁量を認めており、遺憾ながら、裁判所が人権救済機関としての本来の職責を果たしていないのが現状である。


 このような状況において、本日、野党4党が共同して母子加算復活法案を衆誘院に提出したことの意義は極めて大きい。多くのひとり親世帯が育児と家事に追われ、複数の仕事をかけもちしながら日々の生活に必死であり、その声はなかなか社会に届かない。それでも、ひとり親世帯の生活苦が深刻化するなかで、ようやくその悲痛な声が社会に届き始めたのである。今回の法案提出は、政治家がそのような声に耳を傾け、解決に向けて動き始めたことを象徴するものである。


 母子加算復活法案の提出は、格差と貧困の拡大に歯止めをかけ、市民生活を底上げしていく取り組みに大きな弾みを与えるものである。我々は、本日の法案提出に対して歓迎の意を表明するとともに、国会での1日も早い審議入りを望む。また、生活保護を受給していない母子家庭もまた貧困の淵にいることを直視し、児童扶養手当の削減撤回を含む施策を講じるべきである。我々は、老齢加算及び母子加算の復活に向けて尽力し、そして、貧困の運鎖を断ち切り市民生活を底上げする施策の実現に取り組む決意を改めてここに表明するものである。


 2009年6月4日
 NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長 稲葉剛
 生活保護問題対策全国会議 代表幹事 尾藤度喜
 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会 事務局長 本多良男
 全国生活保護裁判連絡会 共同代表 藤原精吾
 反貧困ネットワーク 代表 宇都宮健児
 「戻せ!母子加算」集会実行委員会 実行委員長 竹下義樹
 全国生活と健康を守る会連合会 会長 松岡恒雄