書評:「貧困化するホワイトカラー」森岡孝二著 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

「貧困化するホワイトカラー」

森岡孝二 著

ちくま新書 2009年5月10日第1刷


著者は、株主オンブズマンの代表などを務めながら、

旺盛な活動を展開している。

これまでにも様々な著書を発表してきたが、

本書は、ホワイトカラーに焦点を当て、

働き方・働かせ方が困難となっている背景や原因を

様々な実証に基づき、分析を行っている。


本書では、アメリカとの対比に重点を置いている。

著者はこれまでにも、アメリカのルポなどの翻訳にとりくまれており、

「窒息するオフイス」などによって、

アメリカの労働者の実態についても

日本に紹介してきている。


本書でも様々なところで紹介されているが、

ホワイトカラーと呼ばれる労働者が、

洋の東西を問わず、

困難に直面している実態を赤裸々に示している。


「このままでは仕事に殺される」と第3章で書かれているが、

こうした思いを持っている労働者は多いのではないだろうか。

しかし、多くのホワイトカラーはこうした声を表に出していない。


著者は、こうした状況に憂いつつも、

「名ばかり管理職」の告発など、

様々な反撃の目がでていることに

温かい目を向けている。


「働いてもまともに生活できない」マネープアの人々と、

「働きすぎてまともに生活できない」タイムプアーな人々。


社会のあり方を変えていくために何が必要なのか。

筆者は読者に問いかけている。


個人主義ではなく、

ユニオンが力を発揮するなどにより、

政府と政治に責任を問わなければならない。


国公一般がそうした力を発揮するべく、

一層努力をしていかなければならない

そう感じさせてくれた本です。

(by mark)