非正規の正社員化・サービス残業根絶・週休2日・有休完全取得で635万人の雇用創出し日本経済は拡大 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 オバマ次期米大統領は、政権が交代する来年1月20日を「雇用創出と長期的な経済成長促進」への転換点として、2011年1月までの2年間に250万人の雇用創出をめざす「経済再生計画」を立案すると報道されています。かたや、日本の麻生首相の政策は定額給付金。「一過性のバラマキでしかない」と国民の評判もかんばしくありません。


 そんななか、労働総研(労働運動総合研究所)が「《試算》非正規雇用の正規化と働くルールの厳守による雇用増で日本経済の体質改善を~外需・輸出依存型から内需・生活充実型への転換こそ急務」を発表しました。全文と資料については、労働総研のホームページを見ていただくとして(→労働総研HP )、その要点を紹介します。(byノックオン)


 日本の大企業は、非正規雇用を拡大するなど労働者と中小企業に犠牲を押しつけ、10年前と比べて、経常利益は1.9倍増の53兆円、内部留保は1.8倍増の403兆円と、両者とも史上最高の数字をたたきだしています(2007年度)。一方で10年前と比べて、労働者の賃金支払い総額は19兆円以上も減少しています。(▼下表参照 ※画像の上でクリックしてください)


大企業だけボロもうけ



 こうした状況が続けば、日本経済は、雇用の減少→賃金低下→内需縮小・外需依存→国内生産縮小→雇用の縮小という“負の悪循環”におちいってしまい、日本経済にも労働者にも未来はありません。


 この状況を克服するためには、日本経済の仕組みを、「外需・輸出依存型」から「内需拡大・生活充実型」に変えなければなりません。そのカギを握るのは、国民の圧倒的多数を占める勤労者世帯の生活改善です。


 今回、提起する非正規雇用の正規化と、働くルールの厳守による雇用の創出はその第1歩となるものです。これによって日本経済を、賃金収入の増加→内需の拡大→国内生産の増加→雇用の増加という、“プラスの循環”に変える展望をひらくことができます。(▼下図参照)


日本経済の体質改善


 今回の試算は、ワーキングプアの解消や働くルールの厳守に限って着目し、①派遣労働者など非正規雇用の正規化、②違法行為であるサービス残業の根絶による雇用の創出、③欧米先進国ではあたり前になっている完全週休2日制、有給休暇の完全取得による雇用の創出という、限定的な3つのケースにしぼっています。この3つのケースで、8月に総務省から公表された「産業連関表」をつかって、その経済効果を試算しました。


 試算結果は、全体で、正規雇用の創出が635万人、労働者の年収は派遣労働者で約150万円増の351万円(25~29歳)、パートで約240万円増の486万円など計21兆3千億円増え、消費需要(家計支出)も14兆9千億円増大します。誘発される国内生産は24兆3千億円にのぼり、国内総生産(GDP)を2.5%押し上げることになります。


 また、雇用創出による経済波及効果は、中小企業の多い分野の生産をより多く拡大するため、中小企業の景気テコ入れ効果があらわれるなど、税収も2.27兆円増加します。


 以上を実現するのに必要な資金(企業の支払い賃金増加額)は、現在、大企業がため込んでいる内部留保額のわずか5.28%にすぎず、いますぐにでも実現可能であり、そもそも本来行うべきであった労働者の生活改善を、後付で行うことにすぎないものです。