自己責任論は壮大な詐欺、若者労働問題は偏見とのたたかい | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 朝日新聞編集委員の竹信三恵子さんが、「自己責任論」について語っています。(※雑誌『世界』10月号の座談会「労働組合の出番が来た」の中での発言です)


 竹信さんは、「自己責任論は壮大な詐欺といってもいい」と口火を切ります。取材をする中で、1999年以降から、ワーキングプアの増大とともに、正社員になっても、すさまじい長時間労働で体を壊すなど、若い世代全体にわたって、貧困と、過労死と隣あわせの長時間労働が広がってきていることを実感したそうです。取材の中で現実に目にする若い世代は、「就職しようと思っても非正規の職しかなかった人、何十社も面接を受けたのに正社員として採用されず精神的に打撃を受けてしまった人などが続々と出てくる」という実態なのに、社会の全体的な見方は、「今の若者にはこらえ性がない」とか「すぐ辞める」などというものばかり。「若者労働問題は偏見とのたたかいだと言える」「社会に蔓延している思い込みを正確な実像に結ばせていかないと、このままでは大変なことになる」という思いで竹信さんは取材を進めているそうです。


 そして、若い世代が状況を変えていく上でネックになっている「自己責任論」を克服するために労働組合の果たす役割を大きいとして、竹信さんは次のように語っています。


 自己責任論によって一人ずつ切り離され、孤立させられ、居場所をもてないようにさせられてきました。若者は失業すると、家族からも早く仕事をするように責められて家にさえいられない。家族さえも味方ではなくなってしまうんですね。こうして居場所がなくなると、情報を得られる回路や人間関係もなくなってしまうのです。そもそもプアな状態では新聞も取れない。居場所を通じて正確な情報と人間関係が得られれば、まず、自分と同じような状況にある人が多くいることがわかります。それがわかれば、そういう状態にあるのは自分の責任だけではなく、構造の問題なのだとわかります。つまり、自己責任ではないと、自分を責めることから脱却できる。さらに一歩進めば、構造の問題なのだから、これをひっくり返さないと状況は変わらないのではないかという発想が出てきます。そういう居場所があるかないかが、内面化してしまっている自己責任論から抜け出すためには非常に重要になってくるんですね。その点で労働組合の果たす意味は大きい。ユニオンになどにかかわって自己責任論から抜け出している若い人は自信も持っているし、自分の言葉で話せるようになっています。


(byノックオン)