“高学歴官製ワーキングプア”解消へはじめの一歩 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 一昨日、茨城県つくば市で、第26回目になる国立試験研究機関全国交流集会を開催しました。今回初めて国公労連の研究機関対策委員会が主体的に分科会を運営し、私は司会を担当しました。


 3時間の分科会で、当初は話すことがなくなったらどうしようなどと心配していましたが、蓋を開けると密度の濃い活発な討論が途切れることなく展開され、終わりの時間が迫るなかどう議論を収束させるかに苦心することになりました。


 分科会のテーマは「ポスドク問題を考える」。(※ポスドクというのは、以前にもブログで紹介〈“高学歴官製ワーキングプア” 〉していますので、そちらを参照ください)


 参加者30人の分科会に、ポスドクの方が二人参加してくださり、「生活に追われ、雇用不安につきまとわれ、研究に打ち込めない」「数年後に雇用を切られ、先がない職場に魅力を感じることができず、研究意欲もわいてこない」など、ポスドクの方の率直な心情が吐露されました。


 それぞれの研究所労組の方からは、「総人件費5%削減のなかで、正規の研究者が雇用できず、今では研究者の半分がポスドクだ」「新規採用の8割がポスドクになっている」「正規の研究者とポスドクのコラボレーションで研究が進められているのに、ポスドクがむくわれることは一切ない状況だ」「研究に打ち込めないポスドク世代(30歳代)の不安定な状態は、日本の科学技術はもちろん社会全体にとっても大きな損失だ」「ポスドク世代の正規の研究者が存在せず、次世代の人材育成が困難で、このままでは研究所の将来は立ちゆかなくなる」「少しずつだが、ポスドクの組織化を進め、労働条件改善に取り組み前進している」「若手研究者の流動化や競争が研究を発展させるなどというお題目のもとに、ポスドク政策を推し進める政府の科学技術政策を抜本的にあらためさせることが必要だ」など、たくさんの意見が出されました。


 最後に、ポスドクの方から「きょうの分科会の議論を聞いて、労働組合の重要性がよく分かった」「手を差しのべられるのを待っているだけでなく、ポスドク自らも連帯して改善に向けてがんばらなければならないと思った」という感想を寄せてもらいました。


 今秋、国公労連と学研労協(筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会)と全大教(全国大学高専教職員組合)の共同で、ポスドク問題をテーマにシンポジウムを開催する予定になっています。
(byノックオン)