11月19日 財務金融委員会part2
中小企業者等に対する金融円滑化臨時措置法案part3
財務金融委員長 玄葉光一郎(以下 玄葉委員長)
参考人 成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜
参考人 全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也
参考人 全国銀行協会会長 永易克典
続き
委員長:次に永易参考人にお願いを致します。
永易参考人
永易氏:ただいま、委員長からご氏名を頂戴いたしました。
全国銀行協会会長の永易でございます。本日は、
中小企業者等に対する、金融の円滑化を図るための、
臨時措置に関する法立案のご審議に際しまして、
私どもの意見を述べさせていただきまして
こころより、感謝を申し上げます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、頂戴した時間の中で、
第一に、全銀協としての中小企業金融円滑化
への取り組み状況、
第二に、同じく個別行として、三菱東京UFJ
銀行の取組み状況、
そして、
第三に、本案に対する私どもの心構え等、
三点につきまして説明させていただきます。
まず、全銀協としての、中小企業金融円滑化
への取組み状況についてご説明をいたします。
まあ、銀行界にとりまして、
中小企業のお客様への円滑は資金供給は、
最も重要な社会的役割のひとつであり、
社会的使命と位置づけ、各行とも精一杯の取組み
をすすめているところでございます。
具体的には、新たな資金需要の積極的かつ丁寧な
ご対応に努めるとともに、既存貸出に対する、
条件変更、見直しの要請があった場合に、
お申出にいたった背景など、お客様のほうから得た、
事情及び実態の把握に努め、申出の許諾や、財産への
検討を、適時適切に行うという基本姿勢で取り組んで
まいりました。
ただし、中小企業の資金繰りは、先程から、ご説明
ありましたが、日銀短観企業の資金繰り判断によりますと、
本年九月調査でも、マイナス18と改善傾向にあるものの、
依然厳しい状況にあり、これは大・中堅企業と比べても
厳しいものと認識しております。
私ども、全銀協では、中小企業金融をとりまく、
こうした厳しい環境を踏まえ、10月20日、
企業等の資金需要や、返済条件変更等の
お申出に真摯に対応し、金融の円滑化に全力を
上げて取り組むことを、会員各行で認識共有し
申し合わせ、交渉したところでございます。
銀行界といたしましては、法律の有無にかかわらず、
本来の使命である、円滑な資金供給に貢献すべく、
取組みを進めてまいる所存でございます。
では、ここで、銀行界として、足下を
具体的な取組みを進めている金融円滑化
やや資料以外になりますが、施策を
2点ご紹介いたします。
まず第一点は、「企業情報掲載サイト」これは
仮称でございますが、の立ち上げ等でございます。
全銀協では、個別銀行を超えました、全銀レベルでの
お取引先企業の事業活動や、個人のお客様の資金調達
に資するサポート活動のために、法人向けには、
全銀協のホームページを活用し、お取引先企業の
営業支援、経営支援情報等を提供する企業情報サイトを
21年度中をメドに立ち上げることといたしました。
また、個人のお客様に対しましては、住宅ローン
シュミレーション機能の拡充や返済相談対話のための
カウンセリングサービスの一層の体制充実を図ることと
したところでございます。
2点目は、全銀協として、電子債権記録機関の設立でございます。
本年9月24日全銀協では、平成24年5月を目指し、電子
債権記録機関を開業することを正式決定いたしました。
電子債権は、手形債権や指名債権とは異なる新たな
金銭債権として創設されたもので、手形や売掛債権の
代替機能を広く果たすことが期待されております。
電子債権記録機関はこうした、あらたな債権にかかわる
企業の資金決済を円滑かつ、効率的に行う社会インフラ
でございます。
これまで、中小企業が活用しきれていなかった、手形や
特に売掛債権を無駄なく、安全に有効活用し、新たな
資金調達手段を可能とすることと同時に、業務効率化にも
寄与するものと考えております。
では、より具体的な取組み状況をご理解いただくために、
弊行、三菱東京UFJ銀行においての、中小企業金融円滑化
にかかわる取組み状況をご報告いたします。
弊行におきましても、7月27日に個別行として開業した、
電子債権記録機関の設立等による、資金調達支援をはじめ、
ビジネスマッチング等による、営業支援、事業承継等
による経営支援など、取引先企業のニーズに幅広く
丁寧にお答えし、金融の円滑化に資する努力を
積極的に進めているところであります。
本日は、今回、ご審議いただいている、法案にかかわる
貸出条件変更等への取組みを中心にご説明もうしあげます。
弊行では、お客様から貸出条件変更すなわちリスケ
(リ・スケジュールのこと)
のお申出に対してより迅速かつよりきめ細かな
対応を行うため、行内の体制を強化してきております。
具体的には、現場での中小企業のリスケや貸出条件緩和
への対応をサポートする、専任の本部部隊を現在約20
名揃えている他、本年度、融資欠損の要員を約80名
増員しております。また、住宅ローンへの対応では、
ご返済相談チームを本年一月に設置し、さらに増員
の予定でございます。
なお、組織体制強化としては、この12月より
お客様の年末資金繰り対策に適切に対応すべく
新体制を発足する予定でございます。
加えて、足下では、お客様の日常を踏まえた
柔軟かつ現実的なリスケ対応を具体的なスケジュール
管理も含め、行内全体で再決定をいたしました。
さらに、全行一丸となった取組みをすすめるため、
9月から10月にかけては、審査所幹部及び全国の法人
取引拠点に対し、中小企業金融円滑化の趣旨を
共有化、徹底化するための勉強会も実施してございます。
こうした取組みを通じ、この上期には実績として、
中小企業のお客様に対し、月平均1000件以上の
リスケを実施しております。
こういうお申出に対し、8割以上、現実にお伝え
できる状況になっております。
今後も、円滑な資金供給の社会的使命・責任を
充分に認識の上、お客様の椿事を、貸出し条件変更
のお申出に、広く、積極的に応えられるよう、
対応体制を強化し、真摯かつ丁寧な対応に努めて
まいる所存でございます。
それでは、最後に、
今回ご審議いただいている法案、新たな制度設計に
関する、私どもの考えと、心構えをご説明させて
いただきます。
まず、法案の位置づけについては、できる限り
貸付の条件の変更等に対応するよう、努めるもの
と規定し、あくまで、努力義務とされております。
また、緊急避難回路で、平成23年3月までの
時限措置とのことでございます。
このように、調整的な返済猶予とはならない
制度設計、位置づけとなったことは、
私ども金融機関が本格的な景気回復までの間
金融仲介機能発揮に向けた更なる努力を
行うことを期待されているものと受け止めて
おります。
一方、金融機関に対し利付の実施方針
策定や、体制整備を義務付けると同時に、
実施状況等々とあわせ定期的な当局報告、開示
を義務付けることになっており、
さらに、虚偽の報告、開示には、
罰則規定が設けられています。
こうした措置が、法律が努力義務規定となる中、
新しい制度について、実効性を担保し、
透明性を高める措置と理解しております。
民間金融機関といたしましては、
こうした新たな措置の趣旨を充分に理解し、
改めて金融機関が指すべき役割、重責を
認識のうえ、より一層の体制整備等を
進め、適時、適切な開示報告に努めてまいる
所存でございます。
また、法案には、信用負担事業の充実のための
措置等が盛り込まれております。
これは、信用保証制度の充実と理解しておりますが、
今回の法律は、法案は、民間金融機関のみでは
対応が困難な事案の利付を想定しているとも
想定しているとも考えられますので、
貸出条件変更等債権に保全を与えるという意味で
金融機関の利付への取組みに一定の
インセンティブを与えるものではないかと思います。
さらに、信用保証協会が保証を付与するということは
新たな制度に公的な機関が関与し、当該企業の信用力
に対してある意味で、公的なお墨付き、あるいは認定
の効果を与え、金融機関が貸出条件変更等を、
より幅広く円滑かつスムーズに実施するための
一種の有効な触媒になりうるのではないかと思います。
私ども金融機関はこうした新たな制度が国の中で、
お客様からの貸出条件変更・見直しのお申出に対して
より迅速かつきめ細やかな対応に努めるとともに、
説明、相談体制を充実し、経営改善に向けた
アドバイス機能をより強化するなど、
対応体制を整備し、適時、適切に、真摯かつ
丁寧に対応してまいる所存でございます。
最後に、あらためて、本本案をご審議いただいている
諸先生方に御礼を申し上げて、私の意見陳述を
終らせていただきます。
どうもありがとうございます。
委員長:ありがとうございました。
以上で、参考人の意見の開陳はおわりました。
これより、参考人に対する質疑にはいります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。
まだまだ続きます。