11月19日 財務金融委員会part2


中小企業者等に対する金融円滑化臨時措置法案part3


財務金融委員長 玄葉光一郎(以下 玄葉委員長)


参考人 成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜


参考人 全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也


参考人 全国銀行協会会長 永易克典


続き



委員長:次に永易参考人にお願いを致します。
永易参考人


永易氏:ただいま、委員長からご氏名を頂戴いたしました。
全国銀行協会会長の永易でございます。本日は、
中小企業者等に対する、金融の円滑化を図るための、
臨時措置に関する法立案のご審議に際しまして、
私どもの意見を述べさせていただきまして
こころより、感謝を申し上げます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、頂戴した時間の中で、
第一に、全銀協としての中小企業金融円滑化
への取り組み状況、
第二に、同じく個別行として、三菱東京UFJ
銀行の取組み状況、
そして、
第三に、本案に対する私どもの心構え等、
三点につきまして説明させていただきます。
まず、全銀協としての、中小企業金融円滑化
への取組み状況についてご説明をいたします。
まあ、銀行界にとりまして、
中小企業のお客様への円滑は資金供給は、
最も重要な社会的役割のひとつであり、
社会的使命と位置づけ、各行とも精一杯の取組み
をすすめているところでございます。
具体的には、新たな資金需要の積極的かつ丁寧な
ご対応に努めるとともに、既存貸出に対する、
条件変更、見直しの要請があった場合に、
お申出にいたった背景など、お客様のほうから得た、
事情及び実態の把握に努め、申出の許諾や、財産への
検討を、適時適切に行うという基本姿勢で取り組んで
まいりました。
ただし、中小企業の資金繰りは、先程から、ご説明
ありましたが、日銀短観企業の資金繰り判断によりますと、
本年九月調査でも、マイナス18と改善傾向にあるものの、
依然厳しい状況にあり、これは大・中堅企業と比べても
厳しいものと認識しております。
私ども、全銀協では、中小企業金融をとりまく、
こうした厳しい環境を踏まえ、10月20日、
企業等の資金需要や、返済条件変更等の
お申出に真摯に対応し、金融の円滑化に全力を
上げて取り組むことを、会員各行で認識共有し
申し合わせ、交渉したところでございます。
銀行界といたしましては、法律の有無にかかわらず、
本来の使命である、円滑な資金供給に貢献すべく、
取組みを進めてまいる所存でございます。
では、ここで、銀行界として、足下を
具体的な取組みを進めている金融円滑化
やや資料以外になりますが、施策を
2点ご紹介いたします。
まず第一点は、「企業情報掲載サイト」これは
仮称でございますが、の立ち上げ等でございます。
全銀協では、個別銀行を超えました、全銀レベルでの
お取引先企業の事業活動や、個人のお客様の資金調達
に資するサポート活動のために、法人向けには、
全銀協のホームページを活用し、お取引先企業の
営業支援、経営支援情報等を提供する企業情報サイトを
21年度中をメドに立ち上げることといたしました。
また、個人のお客様に対しましては、住宅ローン
シュミレーション機能の拡充や返済相談対話のための
カウンセリングサービスの一層の体制充実を図ることと
したところでございます。
2点目は、全銀協として、電子債権記録機関の設立でございます。
本年9月24日全銀協では、平成24年5月を目指し、電子
債権記録機関を開業することを正式決定いたしました。
電子債権は、手形債権や指名債権とは異なる新たな
金銭債権として創設されたもので、手形や売掛債権の
代替機能を広く果たすことが期待されております。
電子債権記録機関はこうした、あらたな債権にかかわる
企業の資金決済を円滑かつ、効率的に行う社会インフラ
でございます。
これまで、中小企業が活用しきれていなかった、手形や
特に売掛債権を無駄なく、安全に有効活用し、新たな
資金調達手段を可能とすることと同時に、業務効率化にも
寄与するものと考えております。
では、より具体的な取組み状況をご理解いただくために、
弊行、三菱東京UFJ銀行においての、中小企業金融円滑化
にかかわる取組み状況をご報告いたします。
弊行におきましても、7月27日に個別行として開業した、
電子債権記録機関の設立等による、資金調達支援をはじめ、
ビジネスマッチング等による、営業支援、事業承継等
による経営支援など、取引先企業のニーズに幅広く
丁寧にお答えし、金融の円滑化に資する努力を
積極的に進めているところであります。
本日は、今回、ご審議いただいている、法案にかかわる
貸出条件変更等への取組みを中心にご説明もうしあげます。
弊行では、お客様から貸出条件変更すなわちリスケ
(リ・スケジュールのこと)
のお申出に対してより迅速かつよりきめ細かな
対応を行うため、行内の体制を強化してきております。
具体的には、現場での中小企業のリスケや貸出条件緩和
への対応をサポートする、専任の本部部隊を現在約20
名揃えている他、本年度、融資欠損の要員を約80名
増員しております。また、住宅ローンへの対応では、
ご返済相談チームを本年一月に設置し、さらに増員
の予定でございます。
なお、組織体制強化としては、この12月より
お客様の年末資金繰り対策に適切に対応すべく
新体制を発足する予定でございます。
加えて、足下では、お客様の日常を踏まえた
柔軟かつ現実的なリスケ対応を具体的なスケジュール
管理も含め、行内全体で再決定をいたしました。
さらに、全行一丸となった取組みをすすめるため、
9月から10月にかけては、審査所幹部及び全国の法人
取引拠点に対し、中小企業金融円滑化の趣旨を
共有化、徹底化するための勉強会も実施してございます。
こうした取組みを通じ、この上期には実績として、
中小企業のお客様に対し、月平均1000件以上の
リスケを実施しております。
こういうお申出に対し、8割以上、現実にお伝え
できる状況になっております。
今後も、円滑な資金供給の社会的使命・責任を
充分に認識の上、お客様の椿事を、貸出し条件変更
のお申出に、広く、積極的に応えられるよう、
対応体制を強化し、真摯かつ丁寧な対応に努めて
まいる所存でございます。
それでは、最後に、
今回ご審議いただいている法案、新たな制度設計に
関する、私どもの考えと、心構えをご説明させて
いただきます。
まず、法案の位置づけについては、できる限り
貸付の条件の変更等に対応するよう、努めるもの
と規定し、あくまで、努力義務とされております。
また、緊急避難回路で、平成23年3月までの
時限措置とのことでございます。
このように、調整的な返済猶予とはならない
制度設計、位置づけとなったことは、
私ども金融機関が本格的な景気回復までの間
金融仲介機能発揮に向けた更なる努力を
行うことを期待されているものと受け止めて
おります。
一方、金融機関に対し利付の実施方針
策定や、体制整備を義務付けると同時に、
実施状況等々とあわせ定期的な当局報告、開示
を義務付けることになっており、
さらに、虚偽の報告、開示には、
罰則規定が設けられています。
こうした措置が、法律が努力義務規定となる中、
新しい制度について、実効性を担保し、
透明性を高める措置と理解しております。
民間金融機関といたしましては、
こうした新たな措置の趣旨を充分に理解し、
改めて金融機関が指すべき役割、重責を
認識のうえ、より一層の体制整備等を
進め、適時、適切な開示報告に努めてまいる
所存でございます。
また、法案には、信用負担事業の充実のための
措置等が盛り込まれております。
これは、信用保証制度の充実と理解しておりますが、
今回の法律は、法案は、民間金融機関のみでは
対応が困難な事案の利付を想定しているとも
想定しているとも考えられますので、
貸出条件変更等債権に保全を与えるという意味で
金融機関の利付への取組みに一定の
インセンティブを与えるものではないかと思います。
さらに、信用保証協会が保証を付与するということは
新たな制度に公的な機関が関与し、当該企業の信用力
に対してある意味で、公的なお墨付き、あるいは認定
の効果を与え、金融機関が貸出条件変更等を、
より幅広く円滑かつスムーズに実施するための
一種の有効な触媒になりうるのではないかと思います。
私ども金融機関はこうした新たな制度が国の中で、
お客様からの貸出条件変更・見直しのお申出に対して
より迅速かつきめ細やかな対応に努めるとともに、
説明、相談体制を充実し、経営改善に向けた
アドバイス機能をより強化するなど、
対応体制を整備し、適時、適切に、真摯かつ
丁寧に対応してまいる所存でございます。
最後に、あらためて、本本案をご審議いただいている
諸先生方に御礼を申し上げて、私の意見陳述を
終らせていただきます。
どうもありがとうございます。

委員長:ありがとうございました。
以上で、参考人の意見の開陳はおわりました。
これより、参考人に対する質疑にはいります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。


まだまだ続きます。



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11月19日 財務金融委員会part2


中小企業者等に対する金融円滑化臨時措置法案part2


財務金融委員長 玄葉光一郎(以下 玄葉委員長)


参考人 成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜


参考人 全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也


参考人 全国銀行協会会長 永易克典


続き


委員長:次に鶴田参考人にお願いを致します
鶴田参考人


鶴田氏:私は全国中小企業団体中央会の会長の鶴田欣也でございます。
私の出身は、愛知県の豊田の出身でございます。
宜しくお願いいたしたいと思います。
委員会の先生方におかれましては、日頃より中小企業の発展には、
一方ならぬご尽力を賜りまして、この席をお借りいたしまして、
厚く御礼申し上げます。
また、本日は、中小企業金融円滑化法案の審議に際しまして、
当委員会にお招きいただき、中小企業の立場から、意見を述べる
機会をいただきましたことにたいしまして、厚く御礼申し上げます。
私の仕事は、愛知県の名古屋市において、銅やコンクリート用採石の
生産・販売会社を経営している中小企業の「おやじ」でございます。
また、愛知県、その母体であります、

採石鉱業組合の理事長も兼ねているところであります。
私ども、全国中小企業団体中央会のもとには、

全国津々浦々に、
さまざまな業種の中小企業者が、様々な想いをこめて、
切実した多くの中小企業組合がございます。
現在、中小企業団体中央会には、構成メンバーである。
約32000の中小企業の傘下に300万強の中小企業が参加しており、
わが国、中小企業の約7割を組織する中小企業の団体でございます。
本日は、中小企業組合や、中小企業を代表して、借り手の立場から
中小企業の金融の円滑化について3点の意見を
述べさせていただきたいと思います。
まず、第一点目は、景況感、資金繰り状況についてで
あります。
中小企業の資金繰り状況については、私ども全国の
中小企業団体中央会におきまして、都道府県、
中小企業団体中央会の協力のもと、毎月実施しております、
中小企業の月次景況調査というものを行っている
ところであります。
先月、20日に発表しました、最新の調査におきましては、
資金繰りのDIはマイナスの49.1ポイントということで、
今年の2月を底といたしまして、徐々に改善はしている
ものの、依然として、絶対水準が低い状況には
かわりはございません。
金融危機以前の昨年の9月のマイナス44.0ポイントの
水準にも戻していない状況に現在あるわけでございます。
また、中小企業をとりまく、実務環境は非常に厳しいと
いうことで、最低限の仕事が中々確保しない状況が
続いています。
このため、中小企業の資金繰りの状況は特に、
個人事業主や零細企業者を中心に依然として
非常に厳しい状況にあるといえます。
第二点目は、法制度運用についてでございます。
先程申し上げましたが、
個人事業主・零細事業者を中心に、多くの中小企業は、
足下の資金繰りに窮しており、本法案に対しましては、
資金繰りの余裕に繋がるとして、歓迎し、期待している
経営者は多数おられます。
昨年秋以来の急激な景気の後退は、多くの中小企業から
仕事を奪い、資金繰りの逼迫を招きました。
中小企業、月次景況調査においては、売上高のDIにおいても
マイナス62.6ポイントと中小企業の売り上げの水準はまだ
回復をしておらない状況で、資金繰りの安定には程遠い
状況と思っております。
返済猶予の制度が整備されれば、是非利用したいと考えている
経営者も多数いると思われます。
しかしながら、一方で、返済猶予制度を利用した、
中小企業者がかえって、不利な取扱いを受けるのではないか
との不安がございます。
中小・零細の経営者が
もっとも気にしている点ともいえますが、
たとえば、本制度を利用したことにより、
新しい融資が受けられなくなる
また、風評等により影響から
以後の取引や営業面に支障が生じるのではないか、
との不安もあるわけでございます。
このようなことが生じることがないような、
万全の措置を講じていただきたいと思っております。
この点が不十分であると、せっかくの利用者が不利益
を被ることになるわけでございまして、
潜在的な利用の希望者は二の足を踏んで
申込にいたらないというケースも多数発生すると
こんなふうに思われるところでございます。
また、複数の金融機関と取引している場合の
調整に関してでございますが、相応の売り上げ規模の
中小企業となれば、一行だけの取引ではなく、
複数の金融機関と、取引を行っているのが、
一般的でございます。
しかし、このような取引を行っている場合、
返済猶予の交渉を行うことは非常に困難を伴ない
借り手と貸し手という力関係もあり、中小企業は
金融取引において、極めて実は弱い立場でございます。
通常の金融取引ではなく、返済猶予の交渉ともなれば、
なおさらのことがいえると思います。
このため、各銀行間の調整に必要以上に時間を要して
一行のみが応諾して、しなかったために、適正な期間内に
返済猶予の約定ができなくなるようなことのないよう、
制度面での充分なご配慮をお願いしたいと考えておるわけ
でございます。
第三点目は、包括的な資金繰り支援についてでございます。
中小企業の多くは、昨年来の未曾有の経済危機に直面し、
緊急補償制度や、セーフティーネット貸付を利用し、
資金をなんとか繰り回している状態です。
これらの資金繰り対策で調達した中小企業の
大半は、一年の据え置き期間が終了し、当該借入れの返済
が開始も、もしくははじまろうとしているところで、
いまきているわけです。
加えて、年末、年度末は資金需要が高まる時期でもございます。
需要の回復が見込まれず、二番底が懸念される厳しい
経営環境の中で、継続的、かつ、安定した、資金繰り対策は、
中小企業にとっての命綱といっても過言ではありません。
平成22年3月までとなっております、

緊急補償制度の取扱い期間の
延長や貸付要件の緩和策等、

中小企業向けの包括的な資金繰り
対策の継続を是非ともお願いしたいとお願いをします。
以上の通り、始終申し上げてきましたが、わが国企業の
99.7%は中小企業でございます。雇用のまた7割を支えて
いるのが中小企業であるとおもっております。
これまで述べてまいりましたとおり、非常に厳しい
経営環境でありますが、各々の中小企業者は経営革新
を目指して、ポストの削減に努め、従業員の雇用を
守るため、日夜懸命な努力を続けているところであります。
このような中小企業を守るためにも、中小企業向けの
資金繰り対策につきましては、これまで以上に、
万全を期していただきますよう、切にお願い申し上げまして
私の発言を終らせていただきます。

委員長:ありがとうございました。

まだまだ財政金融委員会は続きます

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11月19日 財務金融委員会


中小企業者等に対する金融円滑化臨時措置法案part1


財務金融委員長 玄葉光一郎(以下 玄葉委員長)


参考人 成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜


参考人 全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也


参考人 全国銀行協会会長 永易克典


委員長:理事をして、再度ご出席を要請いたさせましたが、
自由民主党改革クラブ・公明党所属委員の出席が得られません。
やむを得ず、議事を進めます。
内閣提出、
中小企業者等に対する金融の円滑化を図るため臨時措置に関する法律案
を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、
成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜君
全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也君
および全国銀行協会会長 永易克典君
以上三名の方々にご出席をいただいております。
なお、山本参考人につきましては、都合により出席できない
との申出がありましたので、ご了承願います。
この際、参考人各位に一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
本日はご対応中のところ、本委員会にご出席を賜りまして
まことにありがとうございました。
本日、残念ながら、出席が叶わない委員もいらっしゃいますけれども
参考人のみなさまのそれぞれのお立場からの忌憚のないご意見
大事に、大事にあつかっていきたいというふうに思いますので、
率直なところご意見をいただければと思います。
次に議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ10分以内でご意見をお述べいただき、
その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、恐縮ですが、ご発言の際には、その都度、委員長の許可を得て
ご発言をくださいますようお願いをいたします。
また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになって
おりますのでこれもまた、あらかじめご了承願いたいと思います。
それでは、まず、村本参考人にお願いいたします。
村本参考人


村本参考人:どうもおはようございます。
えー村本でございます。今日は委員会においでいただき
大変光栄に存じております。
私は、中小企業周りとか、あるいは地域金融というテーマも
専門にしておりまして、今日のテーマについて多少知見が
ございますので、話をもうしあげたいと思ってます。
二つの事を今日申し上げたいと思っているのですが、
一つは、こういう中小企業に対する金融の円滑化をする
ということが今、非常に重要な課題である。
そして、今回の法案が大変有意義なものである
ということを申し上げたいということと、
もう一つは、それを通じて、中小企業の真の金融をよくするには
どうしたらいいか、あるいは根本的な方策をどうもとめたらいいのか
という点を申し上げたいと思っているわけでございます。
一つ目のですね、スライドといいますか、パワーポイントの印刷したものを
持ってまいりましたので、ご覧頂きたいと思いますが。
この一枚目のところに私の発言の要旨がございます。
足下の問題と長期の問題を少し最初に申し上げたいと思うんですが、
中小企業の分野では今どんなことが問題になっているかと申し上げますと
わが国は今人口減少社会といことが盛んに言われておりますが、
中小企業の分野ではもうすでに企業数の減少という
企業減少社会というものが始まっているわけでございます。
スライド四枚目をご覧ください。
過去20年ほどの中小企業の数の推移をひろってございますけれども、
ピーク時には、533万社あった中小企業数は、直近でも、
420万社ということになっておりまして、この間に
100社以上が少なくなっている。特にこの数年、5・6年はですね
年に10万社程度がなくなっているという状況でございます。
どうしてそういうことが起るのかというのが
スライドの5ページ目でございますけれども。
開業と廃業という割合をみますと、当然の事でございますけれども、
廃業するほうが多い、開業率も非常に高まっているのですが、
これを上回る廃業率というのが実はある、という問題がございます。
ところが、その第三者を雇用しているそういう企業というのは、
右側の方の絵でございますが、有雇用企業の件ということです
けれども、これは実は開業率が上回るという状況になっておりまして、
廃業よりも高い水準にございますので、まだまだ経済の活力という面
では、そう捨てたものではないというのが、私の見ているところで
ございます。
スライドの6ページ目をご覧ください。
企業の経営者が今どうなっているかということなのですが、
平均で多少小さなところを見てみますと、平均的な社長さんの年齢
というのが今58歳を超えております。
後5年もすれば、60代半ばになってしまうと、こういう状況
になるわけで、結局どういうふうな形で、その跡継ぎを見つけて行く
かという事業承継問題、これは大変重要な話になっているわけ
でございます。
かつては子どもが受継ぐということが多かったのですが、
今非常に少なくなってきている状況です。
資産評価で充分やっていけるんだけれども、跡継ぎがいない
3割にのぼります。
やはり事業承継問題、かなり大きな問題ではないかなと
こういうふうに考えてるところでございます。
長期の問題をどうするかということがございますが、
足下の問題が言下の問題でございますので、申し上げますと、
資料の8ページ目をご覧ください。
これは、景況調査と申しまして、通常、日本銀行の短観
調査などに用いられるのですが、それ以外に、少し中小企業
の小さなところに特化した調査、まっ、中小企業庁がやっている
調査でございますが、中小企業景況調査というのと
対比したいと思いますが、
いっとき、この赤い、すこし茶色がかった線がかなり高い水準
でございます。2006、7、これで、いわゆるその量的緩和政策等
が解除されたわけでございますけれども、
そのときにすでに、この白い青の白抜きのところでございますが、
かなり、悪くなってきておりまして、小規模企業に特化したところ
でみますと、景気は相当悪くなってきたというのが姿でございます。
これがずっと、サブプライム問題、リーマンショック問題でこう
きまして、直近、右側の方に少し丸をつけておきましたが、
少しよくなっておりますものの、なかなかまだ厳しい状況であると
こういうふうに見ております。
スライドの9ページ目をご覧ください。
資金繰り、中小企業の資金繰りというものを
見たものでございますが、これも過去の相当悪かった水準に
比べますと、それを下まわるというところまで来ておりまして
かなり悪い状況であると、まっ直近は少し上向きかげんという
ことでございます。
スライドの10枚目、11枚目似たようなデータですが、
10枚目は、これは金融庁がした調査で、似たようなものを
厳しい状況が資金繰りについてはあるよという状況でございますし、
11枚目は、融資姿勢というのが、各金融機関でどうなっているか
というものをみたものでございます。
どちらかといえば、地域に密着した金融機関のほうが、熱心です
というふうなデータでございます。
それから、それをめくっていただくと、12ページ目
ちょっとページが飛んでしまいました、申し訳ございません。
企業の倒産数というのを見てみますと、これも、かたり高止まり
していたものが、直近少しさがりましたが、また、やや年末にかけて
あがりつつあるというのは、調査がハッキリしているところであります。
1ページ目に大変申し訳ないですけれども、戻っていただきますと、
そういうことで中小企業の状況かなり厳しいわけですが、
昨年来ですね、丁度一年前ですけれども、貸出条件緩和債権
の取扱いが変わりました。
これが2ページ目に書いてあるところでございますけれども、
貸出条件緩和債権というのは、これは基本的には不良債権扱い
になるわけですけれども、一定の条件を満たせば正常債権として
扱ってよろしいと、こういう扱いになっているものですが、
これがその多少使いにくかった、というのが従来のやり方
でございます。
これは、実抜計画とぞくによんでおりますが、
この中小企業の経営改善計画がきちっと実現性が高くで
抜本的であればこれはよろしいと、いうことと、
その期間を長くするということでですね、これを展開していった
わけでございます。
今回の法案、私の理解するところでは、3ページ目ですけれども
これを緩和してきたというふうに考えることができると
思いますので、この方向で進めば、かなりよくなるだろう
ということが予想されます。
と申しますのは、これは、もう既に、
何度もご覧いただいてると思うんですが、7ページを
見ていただきますと、これは金融庁が発表いたしました、
その貸出条件緩和債権がどういうふうになっているかという
事なんですが、トータルの数字でみてみますと、
真ん中の辺りの少し幅の広いところがございますが、
去年の一年間の数字をずっとみてみると、
去年の7,8、9月期に比べて件数で3割、金額で4割
増えてきている。
つまり、貸出条件緩和債権というのは、使われることによって
かなり、その中小企業金融が潤ってきているということが
いえるわけでございます。
ただし、これがまあ不十分ということで、今回の
法案に繋がったのではないかと思いますので、
そういう面は評価しておきたいと思います。
ただし、その一律にやるということは、これは排除することに
なりましたので、モラルハザードは
随分防げるだろうと思いますけれども、
申請主義とはいっても、多少のモラルハザード
の懸念もございますので、この辺を充分注意する必要があると。
ただし、現在借りているものについてはこういう措置ができますけれども、
ニューマネーを提供する、あるいはニューマネーを受けるという
のは別の話でございますので、貸出猶予を受けたから
ニューマネーを出さないという事がないようにしたいと、
こんなふうに考えております。
これが第一点目のところでございますが、
もう一つの問題は、根本的な問題をどうするんだ、という
のが実はございます。
金融機関の方に聞くと貸しぶり、貸はがしは無いと
こうおっしゃいますけれども、
中小企業の方に聞くと、やはりあるんだ、と
いうギャップが非常に大きいわけです。
このギャップを埋めるためには、どうすればいいんだ
ということが私の問題意識でございます。
少し、正論ぽくて恐縮なんですが、13ページのスライドをご覧ください。
企業の価値というのは何なんだろうか、という
本質的な問題なのですが、一つは財務に現れる問題
いわゆる資産価値と呼ばれるものです。
それ以外の価値というのは、実は金融機関の評価等にも
あまり使用されないのではないかと考えておりまして、
企業の持っている価値のうち、その企業のポテンシャリティー
であるとか、将来の価値を見出すもの、技術力であるとかですね
その企業が持っているスキルであるとか、
あるいは、その経営者の将来に対するビジョンであるとか
そういう様々な要素があるわけですが、こういったものが
キチンと把握されないから、現在の問題点でございます。
これはあのー、たとえばヨーロッパ等でも、バランスシート
上でもそのようなものを評価しようではないかという
動きだでておりますが、わが国でも、そういう資産、
私は知的資産とこう称しておるのですが、
こういったものをキチッと把握することが必要である
スライドの14ページを見ていただきますと、
知的資産とはなんぞやということを少し整理しておきました。
知的資産というものは、会社のもっている企業の持っている
やはり人的な資産と、それから会社が持っている
組織等の構造資産と、そして、ネットワークに象徴されるような
リレーションの関係である関係資産の3つの側面があるのですが、
こういったものをキチッと把握することによって、
企業を把握して、キチッと資金が出るようにな形にしたい。
なぜ、そのようなことを申しますかといいますと、
貸出条件緩和債権ですが、
さきほどもご議論があったようですけれども、
実抜計画をつくるときにそういうような要素をいれないと
実はつくれないわけですよ。
実抜計画をキチッとしたものにする、あるいは
ちゃんとあるものにするにはですね、
こういった資産に注目して一定の評価を与えると
いう工夫をしていかないといけないのではないか
と考えております。
1番最後のスライドに金融庁の
監督指針を掲げておきましたが、
金融庁の監督指針の中には
既にこの必要性は書かれておるわけでございまして、
現場の金融機関で是非これを取り組んでいただいて、
それを活用する、そうすれば、現在は赤字であるとか、
返済猶予を受けているけれども、キチッとした
計画がある、将来性があるんだ、ということがわかれば、
資金が出ていくだろうと思いますので、
そういった方向に是非もっていくことが必要ではないか
と考えております。
どうもありがとうございます。

委員長:鶴田参考人

まだまだ続きます

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