11月19日 財務金融委員会


中小企業者等に対する金融円滑化臨時措置法案part1


財務金融委員長 玄葉光一郎(以下 玄葉委員長)


参考人 成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜


参考人 全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也


参考人 全国銀行協会会長 永易克典


委員長:理事をして、再度ご出席を要請いたさせましたが、
自由民主党改革クラブ・公明党所属委員の出席が得られません。
やむを得ず、議事を進めます。
内閣提出、
中小企業者等に対する金融の円滑化を図るため臨時措置に関する法律案
を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、
成城大学社会イノベーション研究科長 村本孜君
全国中小企業団体中央会会長 鶴田欣也君
および全国銀行協会会長 永易克典君
以上三名の方々にご出席をいただいております。
なお、山本参考人につきましては、都合により出席できない
との申出がありましたので、ご了承願います。
この際、参考人各位に一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
本日はご対応中のところ、本委員会にご出席を賜りまして
まことにありがとうございました。
本日、残念ながら、出席が叶わない委員もいらっしゃいますけれども
参考人のみなさまのそれぞれのお立場からの忌憚のないご意見
大事に、大事にあつかっていきたいというふうに思いますので、
率直なところご意見をいただければと思います。
次に議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ10分以内でご意見をお述べいただき、
その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、恐縮ですが、ご発言の際には、その都度、委員長の許可を得て
ご発言をくださいますようお願いをいたします。
また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになって
おりますのでこれもまた、あらかじめご了承願いたいと思います。
それでは、まず、村本参考人にお願いいたします。
村本参考人


村本参考人:どうもおはようございます。
えー村本でございます。今日は委員会においでいただき
大変光栄に存じております。
私は、中小企業周りとか、あるいは地域金融というテーマも
専門にしておりまして、今日のテーマについて多少知見が
ございますので、話をもうしあげたいと思ってます。
二つの事を今日申し上げたいと思っているのですが、
一つは、こういう中小企業に対する金融の円滑化をする
ということが今、非常に重要な課題である。
そして、今回の法案が大変有意義なものである
ということを申し上げたいということと、
もう一つは、それを通じて、中小企業の真の金融をよくするには
どうしたらいいか、あるいは根本的な方策をどうもとめたらいいのか
という点を申し上げたいと思っているわけでございます。
一つ目のですね、スライドといいますか、パワーポイントの印刷したものを
持ってまいりましたので、ご覧頂きたいと思いますが。
この一枚目のところに私の発言の要旨がございます。
足下の問題と長期の問題を少し最初に申し上げたいと思うんですが、
中小企業の分野では今どんなことが問題になっているかと申し上げますと
わが国は今人口減少社会といことが盛んに言われておりますが、
中小企業の分野ではもうすでに企業数の減少という
企業減少社会というものが始まっているわけでございます。
スライド四枚目をご覧ください。
過去20年ほどの中小企業の数の推移をひろってございますけれども、
ピーク時には、533万社あった中小企業数は、直近でも、
420万社ということになっておりまして、この間に
100社以上が少なくなっている。特にこの数年、5・6年はですね
年に10万社程度がなくなっているという状況でございます。
どうしてそういうことが起るのかというのが
スライドの5ページ目でございますけれども。
開業と廃業という割合をみますと、当然の事でございますけれども、
廃業するほうが多い、開業率も非常に高まっているのですが、
これを上回る廃業率というのが実はある、という問題がございます。
ところが、その第三者を雇用しているそういう企業というのは、
右側の方の絵でございますが、有雇用企業の件ということです
けれども、これは実は開業率が上回るという状況になっておりまして、
廃業よりも高い水準にございますので、まだまだ経済の活力という面
では、そう捨てたものではないというのが、私の見ているところで
ございます。
スライドの6ページ目をご覧ください。
企業の経営者が今どうなっているかということなのですが、
平均で多少小さなところを見てみますと、平均的な社長さんの年齢
というのが今58歳を超えております。
後5年もすれば、60代半ばになってしまうと、こういう状況
になるわけで、結局どういうふうな形で、その跡継ぎを見つけて行く
かという事業承継問題、これは大変重要な話になっているわけ
でございます。
かつては子どもが受継ぐということが多かったのですが、
今非常に少なくなってきている状況です。
資産評価で充分やっていけるんだけれども、跡継ぎがいない
3割にのぼります。
やはり事業承継問題、かなり大きな問題ではないかなと
こういうふうに考えてるところでございます。
長期の問題をどうするかということがございますが、
足下の問題が言下の問題でございますので、申し上げますと、
資料の8ページ目をご覧ください。
これは、景況調査と申しまして、通常、日本銀行の短観
調査などに用いられるのですが、それ以外に、少し中小企業
の小さなところに特化した調査、まっ、中小企業庁がやっている
調査でございますが、中小企業景況調査というのと
対比したいと思いますが、
いっとき、この赤い、すこし茶色がかった線がかなり高い水準
でございます。2006、7、これで、いわゆるその量的緩和政策等
が解除されたわけでございますけれども、
そのときにすでに、この白い青の白抜きのところでございますが、
かなり、悪くなってきておりまして、小規模企業に特化したところ
でみますと、景気は相当悪くなってきたというのが姿でございます。
これがずっと、サブプライム問題、リーマンショック問題でこう
きまして、直近、右側の方に少し丸をつけておきましたが、
少しよくなっておりますものの、なかなかまだ厳しい状況であると
こういうふうに見ております。
スライドの9ページ目をご覧ください。
資金繰り、中小企業の資金繰りというものを
見たものでございますが、これも過去の相当悪かった水準に
比べますと、それを下まわるというところまで来ておりまして
かなり悪い状況であると、まっ直近は少し上向きかげんという
ことでございます。
スライドの10枚目、11枚目似たようなデータですが、
10枚目は、これは金融庁がした調査で、似たようなものを
厳しい状況が資金繰りについてはあるよという状況でございますし、
11枚目は、融資姿勢というのが、各金融機関でどうなっているか
というものをみたものでございます。
どちらかといえば、地域に密着した金融機関のほうが、熱心です
というふうなデータでございます。
それから、それをめくっていただくと、12ページ目
ちょっとページが飛んでしまいました、申し訳ございません。
企業の倒産数というのを見てみますと、これも、かたり高止まり
していたものが、直近少しさがりましたが、また、やや年末にかけて
あがりつつあるというのは、調査がハッキリしているところであります。
1ページ目に大変申し訳ないですけれども、戻っていただきますと、
そういうことで中小企業の状況かなり厳しいわけですが、
昨年来ですね、丁度一年前ですけれども、貸出条件緩和債権
の取扱いが変わりました。
これが2ページ目に書いてあるところでございますけれども、
貸出条件緩和債権というのは、これは基本的には不良債権扱い
になるわけですけれども、一定の条件を満たせば正常債権として
扱ってよろしいと、こういう扱いになっているものですが、
これがその多少使いにくかった、というのが従来のやり方
でございます。
これは、実抜計画とぞくによんでおりますが、
この中小企業の経営改善計画がきちっと実現性が高くで
抜本的であればこれはよろしいと、いうことと、
その期間を長くするということでですね、これを展開していった
わけでございます。
今回の法案、私の理解するところでは、3ページ目ですけれども
これを緩和してきたというふうに考えることができると
思いますので、この方向で進めば、かなりよくなるだろう
ということが予想されます。
と申しますのは、これは、もう既に、
何度もご覧いただいてると思うんですが、7ページを
見ていただきますと、これは金融庁が発表いたしました、
その貸出条件緩和債権がどういうふうになっているかという
事なんですが、トータルの数字でみてみますと、
真ん中の辺りの少し幅の広いところがございますが、
去年の一年間の数字をずっとみてみると、
去年の7,8、9月期に比べて件数で3割、金額で4割
増えてきている。
つまり、貸出条件緩和債権というのは、使われることによって
かなり、その中小企業金融が潤ってきているということが
いえるわけでございます。
ただし、これがまあ不十分ということで、今回の
法案に繋がったのではないかと思いますので、
そういう面は評価しておきたいと思います。
ただし、その一律にやるということは、これは排除することに
なりましたので、モラルハザードは
随分防げるだろうと思いますけれども、
申請主義とはいっても、多少のモラルハザード
の懸念もございますので、この辺を充分注意する必要があると。
ただし、現在借りているものについてはこういう措置ができますけれども、
ニューマネーを提供する、あるいはニューマネーを受けるという
のは別の話でございますので、貸出猶予を受けたから
ニューマネーを出さないという事がないようにしたいと、
こんなふうに考えております。
これが第一点目のところでございますが、
もう一つの問題は、根本的な問題をどうするんだ、という
のが実はございます。
金融機関の方に聞くと貸しぶり、貸はがしは無いと
こうおっしゃいますけれども、
中小企業の方に聞くと、やはりあるんだ、と
いうギャップが非常に大きいわけです。
このギャップを埋めるためには、どうすればいいんだ
ということが私の問題意識でございます。
少し、正論ぽくて恐縮なんですが、13ページのスライドをご覧ください。
企業の価値というのは何なんだろうか、という
本質的な問題なのですが、一つは財務に現れる問題
いわゆる資産価値と呼ばれるものです。
それ以外の価値というのは、実は金融機関の評価等にも
あまり使用されないのではないかと考えておりまして、
企業の持っている価値のうち、その企業のポテンシャリティー
であるとか、将来の価値を見出すもの、技術力であるとかですね
その企業が持っているスキルであるとか、
あるいは、その経営者の将来に対するビジョンであるとか
そういう様々な要素があるわけですが、こういったものが
キチンと把握されないから、現在の問題点でございます。
これはあのー、たとえばヨーロッパ等でも、バランスシート
上でもそのようなものを評価しようではないかという
動きだでておりますが、わが国でも、そういう資産、
私は知的資産とこう称しておるのですが、
こういったものをキチッと把握することが必要である
スライドの14ページを見ていただきますと、
知的資産とはなんぞやということを少し整理しておきました。
知的資産というものは、会社のもっている企業の持っている
やはり人的な資産と、それから会社が持っている
組織等の構造資産と、そして、ネットワークに象徴されるような
リレーションの関係である関係資産の3つの側面があるのですが、
こういったものをキチッと把握することによって、
企業を把握して、キチッと資金が出るようにな形にしたい。
なぜ、そのようなことを申しますかといいますと、
貸出条件緩和債権ですが、
さきほどもご議論があったようですけれども、
実抜計画をつくるときにそういうような要素をいれないと
実はつくれないわけですよ。
実抜計画をキチッとしたものにする、あるいは
ちゃんとあるものにするにはですね、
こういった資産に注目して一定の評価を与えると
いう工夫をしていかないといけないのではないか
と考えております。
1番最後のスライドに金融庁の
監督指針を掲げておきましたが、
金融庁の監督指針の中には
既にこの必要性は書かれておるわけでございまして、
現場の金融機関で是非これを取り組んでいただいて、
それを活用する、そうすれば、現在は赤字であるとか、
返済猶予を受けているけれども、キチッとした
計画がある、将来性があるんだ、ということがわかれば、
資金が出ていくだろうと思いますので、
そういった方向に是非もっていくことが必要ではないか
と考えております。
どうもありがとうございます。

委員長:鶴田参考人

まだまだ続きます

リレーションシップ・バンキングと金融システム
村本 孜
東洋経済新報社
売り上げランキング: 374400