イサナミの死 | 神々様の童話作家 あいかわゆき

神々様の童話作家 あいかわゆき

縄文時代の指導者であられた日本の神々様の物語★
神々様の愛を伝えながら、本当の日本を取り戻すお手伝いが
できればと願っています。

「大変です! イサナミさまが、山で火にのみこまれました!」

 

突然、お宮ぜんたいが凍りつき、ワカ姫さまは、近くにいたソサノヲさまを、とっさに抱きしめました。

 

「土に栄養をあたえようと、山焼きをされていたようです!」

 

おつきの者の声がつづけて聞こえてきます。

 

「ソサノヲ、だいじょうぶですよ。そんな顔をしないで。お姉さまが、そばにいますからね」

 

「お姉さま」


ソサノヲさまは、心と體がさっと冷たくなるのを感じて、ワカ姫さまにしがみつきました。

 

「お母さまは、きっと、だいじょうぶです。信じて待ちましょう」

 

ソサノヲさまは、真っ青な顔でうなずきました。

 

 

ところが、ワカ姫さまとソサノヲさまの願いもむなしく、イサナミさまは、亡がらとなってもどってこられました。

 

イサナギさまが、がっくりと肩を落とされています。

 

侍女たちのすすり泣きをかき消すように、まだおさないソサノヲさまの泣き声が、お宮にひびきわたります。

 

「お母さま、やっといっしょに暮らせるようになったのに・・・・・・」

 

ワカ姫さまはつぶやいて、涙を流されました。

 

「でも、わたくしまで、悲しみにくれてはいけない。短いあいだでも、お母さまと暮らせたことに感謝して、お母さまに代わって、ソサノヲを育てなければ」

 

ワカ姫さまは、イサナミさまとカナサキさんご夫妻のお姿を思い浮かべながら、気丈に決意されました。