ソサノヲ、田んぼや畑に飛びこむ | 神々様の童話作家 あいかわゆき

神々様の童話作家 あいかわゆき

縄文時代の指導者であられた日本の神々様の物語★
神々様の愛を伝えながら、本当の日本を取り戻すお手伝いが
できればと願っています。

お山のあちらこちらが、桜色に彩られたある日、ワカ姫さまは、まだおさないソサノヲさまと手をつないで、お散歩にゆかれました。

 

「もうすぐ、いろいろなお花が咲いて、ソサノヲが生まれた季節がやってきますよ」

 

「ぼく、お花といっしょに、に生まれてきたの?」

 

「そうですよ。お宮のなかにいても、かぐわしい香りがただよってくるような、祝福にみちた季節に、ソサノヲは生まれたのです」

 

それを聞くと、ソサノヲさまはうれしくなり、わ~いといって、かけ出しました。

 

そして、耕したばかりのふかふかの畑に、ジャーンプ! してしまったのです。

 

「あらあら、ソサノヲ、そこにはいっては、いけませんよ。みんなが、お野菜を育てる、だいじな場所なのですから」

 

ワカ姫さまは、土まみれになったソサノヲさまを抱き起こしながら言いました。

 

すると、こんどは、苗を植えたばかりの田んぼが見えてきました。

 

お日さまの光がきらきらして、とってもきれい。

 

ソサノヲさまは、またうれしくなってかけ出すと、こんどは、田んぼにジャッポ~ン! と飛びこみます。

 

「もう、ソサノヲったら! そこも、お米を育てる大切な場所だから、はいってはいけません!」

 

ワカ姫さまは、さっきよりも強い口調でしかると、ソサノヲさまの腕を引っ張りあげました。

 

ずぶぬれになったソサノヲさまは、少し悲しくなって、うわ~んと泣きました。

 

「もう、ソサノヲったら、自分で田んぼにはいって、泣いてしまうんだから」

 

ワカ姫さまが、少しあきれたように言いました。

 

「お姉さま、ごめんなさい」

 

ソサノヲさまは、もう、ふかふかの畑やきらきらの田んぼを見つけても、飛びこむまいと、心に誓いました。