2023年2月 精神科への初めての入院 ② | 大切なものは目には見えない

大切なものは目には見えない

日々の普通の生活が当たり前だと思っていたけど、それは当たり前では無かった。
今日と同じ明日が必ずあるとは限らない。
本当に大切なものは目には見えないから、私の心が感じたことを忘備録として残します。


(↑ 続きです)

入院予定の前日の夕方に、当時の主治医から確認の電話がありました。

その時、私はせっかくの入院治療のチャンスなのに「連れて行ける自信がありません。」と咄嗟に答えていました。

おまけに、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまって
「無理です。先生、今回の入院は見送らせてください」と、馬鹿みたいなことを言っていました。

その時、毎日、いろんな事がありすぎて
私は正しい判断ができなくなっていたんだと思います。

たぶん先生は私に呆れたと思います。
必死になって、こちらからお願いしておきながら、入院を見送るなんて、
そんな悠長な場合では無かったのです。

私は自分の気持ちとは裏腹に、辞退の言葉を発していました。

先生は「今、入院させないと後悔するよ。後から、もう一度、入院を希望してもスグに入院できるかどうか分からない」と言われました。
確かにその病院は入院施設がある大きな有名な病院で、言い方がおかしいですが、人気の病院でした。

そして、そんなやり取りがあった、その日の夜
息子は激しい感情の波に襲われました。
処方薬をお酒と一緒に飲んで自傷行為を繰り返す。
そして眠剤をたくさん飲みながら、カフェインドリンクを何本も飲んで寝ようとしない。
眠りたいのか?
眠りたくないのか?

その行為が私には理解できませんでした。

そして、その夜の激しい感情の乱れと破壊に
私は自分が間違った判断をしようとしていることを思い知らされました。

私は一睡も出来ないまま
翌朝、一番に病院に電話をして
なんとしてでも、今日、病院に連れて行くので入院をお願いしますと必死で伝えました。

その日の朝、息子は主治医の心療内科では無い近くのお手軽なメンタルクリニックで、新たにまた精神薬をたくさん貰って来ました。

そして、自分の思い通りの薬を処方して貰えたからか?
その時、とても機嫌が良かった。

昨夜、自分が暴れたことなんて全く覚えてないかのように機嫌が良かったのです。
私は彼に恐る恐る「今日、一度、大きな病院で診察を受けて見ない?」って言って見ました。
「今日なら、お父さんも仕事休めるから車で送って貰えるし、予約が取れそうだよ」と平静を装って言いました。

彼は前から当時の主治医が、自分の思い通りに薬を出してくれない事(当たり前ですが)を不満に思ってることを知っていました。

ちゃんとした医者なら患者の言うがままに薬を処方するわけありませんよね

「一度、違う先生に診察して貰うのもいいかもしれないよ」と言って見ました。
すると、予想以上に簡単に「そうかもしれない。〇〇先生は自分の病状を全く分かってくれていない。車で送って貰えるなら行ってもいい」と言いました。

え、本当に!
驚きと嬉しさと
息子の気が変わらないうちに早く用意しなくてはいけない
絶対に入院のことは悟られてはいけない

息子が自分の準備をしているうちに、最低限の入院準備をしました。
そして、車の後ろに隠すようにして積み込みました。

私は、病院にさえ行ってしまえば何とかなる。
今、この瞬間さえバレないように頑張ればいい。
どうか、彼の気分が変わりませんようにと
ただ、それだけを祈っていました。

私はその時はまだ薬の怖さを分かっていませんでした。

いえ、分かってるつもりでした。

実際、薬のせいで優しかった彼の人格が変わってしまうのを目の当たりに見て
分かってるつもりでした。

でもその時、私は入院して薬を制限して治療さえすれば治ると思っていました。
入院して治療さえすれば、彼は元に戻ると
甘い夢を見ていました。