神沢利子 作
G・D・パヴリーシン 絵
福音館書店
4月のまとめ記事を書くのもすっかり忘れて、
GWに入り、うっかりの今日。
この絵本は読むといいよ、とおすすめされて、
もう随分前に借りていて、
もう、返却ギリギリまで手元において、
どう書こうか、なにを書き留めておこうか、
と迷い迷って、結局今日です。
もう、ほんとに返さなくちゃー!!
いいか悪いか、みたいな書き方をしたくないのですけでども、
まちがいなく良書です。
命のつながり、それは人間だけの話じゃなくってね、
この主人公である猟師のおれが狙う、
動物や、その動物を育む森、川、
その目に見える世界、いやいや、見えないけどあるよ、
っていうそういう世界も含めて「生きてる」
っていう話なのね。
「生きている」っていうか「生かされている」。
その「生きる」と「死ぬ」のそれぞれの繰り返しの中に、
それぞれが交わるのね、それぞれの命に時間があって、
線をひくとしたら、
もう、それぞれの線があっちいったり、
こっちいったり、ここでくるんってなったり、
あれこれしながら、それぞれがぶつかるの。
ぶつかって、ぷつってそこでどっちかが終わることもあるし、
なにか別のことがおきて、増えることもあるかもしれない。
そうやって、複雑にひかれた線がこの今、って瞬間を作ってるって
いう感じの絵本なの。
そのたくさんの線の交点で起きている、
ある交点の一瞬を切り取った、
そこのドラマの絵本って感じなのね。
生きること、生き続ける、生き続けさせる(その種をつないでいく)
っていう壮大な命の連鎖を切り取って、
36ページって絵本にしちゃってるっていうね、
すごい絵本なのよ。
そして、舞台はシベリアです。
イラストを描かれたパヴリーシンさんは、
ハバロフスクにお住まいなんだそうですよ。
今もお住まいなのかしら?
シベリアの針葉樹林の森と、
その冷たそうな川、
そこにかき込まれる動植物たちの美しいこと。
きっと、子鹿も描かれているので、
季節はまさに今くらいから、
もう少しあとの
シベリアの短い夏の始まりくらいからの事が書かれているんだと思います。
民族衣装や小舟の作りもいろんなことを伝えてくれるイラストで、
みればみるほどおもしろかったですよ。
作はくまの子ウーフの神沢利子さん。
この製作には、ハバロフスク在住の翻訳者の岡田和也さん、
キエフ(現在のキーフ)在住のValenntina B Morozovaさんの
ご協力があったそうですよ。
奥付をみて、2005年に出されたこの絵本、
ハバロフスクもキーフも今、よく耳にする土地。
この絵本の製作に関わった方たちはお元気なのかしら?
命のつながり、生きる、尊く生きる、尊く命をいただく、
こういう命とか生きるという世界を書いた
この絵本が作られた舞台の地は、
今、どんな命のやりとりがおきているのか、
と思うと、うきょうのお腹なのか、胸なのか、
鼻の奥なのか、もう、どこか指し示せないところが、
きゅっっとなります。
一端、返却して、
他の気になる絵本といっしょに借りて見直します。