納骨から数日経ったある日、夢を見た。


母と一緒に実家にいた。2階の廊下を何やら楽しく話しをしながら連れ立って歩く。母は最近始めた楽器の発表会があるとかで楽しそう。衣装はあるの?良いのを買ってあげるよ、と私。えー、いいよーそんなの、と遠慮しながらも笑顔の母。


階段を一緒に降りる。私が自然に母を背負う流れになった。実家の急な階段、小柄な母とはいえ、危ない危ない、バランスを崩しかけながらも持ち堪えて降っていく。ふと途中から背中にいる母の力が抜けるのがわかった。寝息をたて始める母。ちょっと待って待って、危ない危ない、なんとか下まで降りて、母を背中から下ろすと、正面の鏡に後ろにいる母の顔が映る。その瞬間、母は目を閉じたまま2回、大きく息を吐いたのが分かった。えっと、あれ?何が起きているの?





あ、そうか、母はもう亡くなっているんだ

ということは、これは、夢



飛び起きた。呼吸が苦しい。

隣室にいた猫が、異変を察知してベッドに飛び乗ってきた。


全て、終わったのだ。きっと母は、深夜の病院で1人で亡くなったことを、塗り替えたかったのかもしれない。魂は結局、長年住んだ実家に戻りたかったのかもしれない。


悪夢は、これで、全て終わり。

この後にも先にも、母は一度も夢に出てこない。