イメージ 1
いま、公明党が考えていること佐藤優/山口那津男 著
 
「いま、公明党が考えていること」
佐藤優/山口那津男 著
潮出版社
220ページ
定価759円
2016年4月20日 初版発行
 
2016年 平成28年 6月9日 読了
 
★ ★ ★
 
【目次】
 
まえがき 佐藤優
 
第1章  公明党はいかなる存在か
第2章  公明党の「平和主義」の本質とは何か
第3章  軽減税率と中小企業対策
第4章  福祉の党「公明党」が描く日本の未来
第5章  地方創生と震災復興
 
★ ★ ★
 
国民的議論が巻き起こった「安保法制」「軽減税率」から「中小企業対策」「福祉」等の重要政策、そして、公明党の存在意義についてまで、知の巨人・佐藤優氏が
公明党代表・山口那津男氏に迫る!
 
「どこまでいっても、自分は大衆とともに生きるのだ。
こういう原点がある公明党の政治家は信用できるのです」
 「平和安全法制においても、公明党はプレイヤーとして
論戦を主導しました。まさに公明党の尽力で、
 日本に実質的な平和が担保されたわけです」
 佐藤優(本文より)
 
★ ★ ★
 
佐藤/優
 作家/元外務省主任分析官。1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、専門職員として外務省に入省。在ロシア日本大使館に勤務、帰国後は外務省国際情報局で主任分析官として活躍。『国家の罠』(毎日出版文化賞特別賞)、『自壊する帝国』(大宅壮一ノンフィクション賞)など著書多数
 
 山口/那津男
 公明党代表/参議院議員。1952年茨城県生まれ。東京大学法学部卒業。弁護士。90年、衆議院議員に初当選(当選二回)。2001年より参議院議員(現三期)。防衛政務次官、党政務調査会長などを経て、09年9月より公明党代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 
★ ★ ★
 
元・外務省国際情報局主任分析官で、現在作家等で活躍している佐藤優氏と、公明党代表の山口那津男氏が、タイムリーな議題を中心に、公明党の活躍や理念等を、縦横に語り合っています。
 
キリスト教徒でもある佐藤氏が、公明党の支持母体である創価学会についても言及し、仏教である創価学会の思想や行動に多大な共感をし、称賛の声を惜しまないことが曲味深く読めます。
 
今、大きな焦点となっている「平和安全法制」についても語り合っており、「戦争法案」との批判が、いかに理解に乏しい、無責任な感情論であるのかが分かります。
 
どうしても色眼鏡で見られがちな「公明党」や「創価学会」を、客観的に現在の行動を理解する一助になりうる本です。
 
以下、ポイントメモです。
 
●池田会長は来賓あいさつで、公政連の議員の在り方として次のように語った。
「・・・最後の最後まで、生涯、政治家として、そして指導者として、大衆に直結していってもらいたい。偉くなったからといって、大衆から遊離して、孤立したり、また組織の上にあぐらをかいたりするような政治家には絶対になっていただきたくないのであります。
大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に入りきって、大衆の中に死んでいっていただきたい。
どうか公政連の同士の皆さん方だけは、全民衆のための、大衆の中の政治家として一生を貫き通していただきたいと、切望するものであります」と(P13)
 
●池田会長が「国民」ではなく「大衆」という言葉を使われたことが重要です。「国民」というと、日本国籍をもたない在日外国人や無国籍者を排除してしまうわけですよね。
その点、どうしても信用ならない政党が一つあります。2015年になって突然「国民連合政府」という構想を叫び始めた某革命政党です。――佐藤(P24)
 
●山口代表は先ほど、公明党は究極的な目標をあえて明文化していないとおっしゃいました。公明党にとっては「ここまでたどり着けばゴールだ」という目標があるわけではない。公明党は運動体として、そのときどきに即した目標を設定する。その目標に向かって進み、時代が変わればまた新たな目標に向かって取り組む。常に成長し、新たな価値を創り出す。――佐藤(P28)
 
●他党とは違って、公明党から国会議員になる人には「オレを議員にしてくれ」というタイプはいませんよね。むしろ「自分が議員になんて向いていませんから」という謙虚な人が多い。根本の目線が、いわゆる典型的な国会議員とはまたく異なるのです――佐藤。
公募を見て「いっちょ政治家になってみようか」「AとBとC、どの政党に応募すれば出世への近道かな」と選ぶ。
先々のことを見すえながら「議員になるのは自分のキャリアアップのための一里塚だ」くらいにしか考えていない。そんな姿勢はあまりにも浅薄で押しかけ的ですし、有権者からは必ず見抜かれます。――山口(P54)
 
●2015年9月19日未明、参議院で平和安全法制が成立しました。創価学会と価値を共有する「平和の党」公明党ががんばらなければ、自衛隊を国外に派遣するハードルはもっと低くなったことでしょう。
「集団的自衛権の一部容認」といっても、日本政府が容認したのはじつは「個別的自衛権と警察権の範囲内ですべて処理できる内容」でしかない。憲法上、個別的な自衛権でも説明できるものだけです。公明党は現実的に平和を守ったのです。――佐藤(P60)
 
●2014年7月1日の閣議決定の段階で、平和安全法制の基本的方向性について多くの人々が納得していました。
ところが15年になってから、マスメディアはかなりエキセントリックな報道を展開するようになります。創価学会員の一部にも、平和安全法制反対の記者会見を開いたり、国会前でデモ行進をやる人が現れました。
「自分は一人の創価学会員として平和安全法制に反対します」と言うのならわかります。しかし、この人たちは「集団的自衛権行使と平和安全法制は池田SGI会長の考えに反している」と主張するわけですよね。
そう主張する根拠はどこにあるのでしょうか。私には理解できません。
デモ行進に参加するにあたり、創価学会のシンボルである三色旗をことさらに掲げて行進する人もいました。
「私は反対します」と自分を主語にして意見表明するべきなのに、創価学会や池田SGI会長を主語にして公明党を攻撃する。宗教と政治の関係を理解できていない発想です。――佐藤(P66)
 
●日中友好を重視する政治家は、日本では「媚中派(びちゅうは)」と呼ばれて攻撃されます。一部の人たちから「媚中派」と文句を言われようが、そんなものは知ったことではない。外交のリアリズムからすれば、結果として日中関係がスムーズにいったほうが国益にかなうわけです。――佐藤
そういうことです。――山口
右からは「媚中派」呼ばわりされ、左からは「戦争法安反対」と攻撃される。ここが積極的中道主義の大変さです。公明党が掲げる中道主義は、一と一を足して二で割るという発想ではありません。だから必ずどこかに敵を作ってしまうわけです。――佐藤
右の立場にせよ左の立場にせよ、イデオロギーを強くもっている人は、どうしても感情的な批判をしてしまいますからね。――山口(P85)
 
●中国とも韓国とも継続的に交流し、率直にお話できる。基本的な信頼関係がある。今の日本の政治勢力の中で、こういう政党は公明党しかありません。
政府と政府の関係は、そのときどきの利害や国際状況によって変わることもあります。お互いがぶつかることもありますし、山や谷があるわけです。
たとえ日中関係、日韓関係が厳しい局面であっても、国と国を結ぶつなぎ目の役を公明党は果たさなければなりません。「公明党は中国に媚びる媚中派だ」と非難されたところで、我々の信念は揺るがないわけです。
そもそも私たちは中国に媚びているわけではありません。公明党と中国は本当の友人ですから、ときには厳しいことも率直に申し上げるわけです。そうすれば「まさか公明党の山口さんからそう言われるとは思わなかった」と驚かれますが、より真剣に話しに耳を傾けてくれるわけです。現にそうなっています。――山口(P86)
 
●私が尊敬するフロマートカというチェコの神学者は、共産主義が登場したときにこう言いました。
「キリスト教がやるべきことをやらないから、共産主義が生まれてきたのだ。イエスは貧しい者と一緒にいたじゃないか。
ところが最近のキリスト教はどうだ。カネ持ちと一緒になっているばかりで市民層に意識を向けようとしない。底辺の労働者のことをまったく忘れてしまった。
『彼らは自分たちが施しを与える対象だ』くらいに思い、『自分たちと同じ人間である』という原点を忘れている。そんなキリスト教の現状に対して神様なんていないと主張する。
だから階級闘争で問題を解決する共産主義者が民衆の心をとらえたのだ」という趣旨のことを言いました。――佐藤(P95)
 
●幼児教育や義務教育の子ども達への手厚いサポートは、中長期的に国の経済力を強化します。――佐藤(P159)
 
●創価学会の戸田城聖第二代会長は常々「信心は一人前、仕事は三人前」と指導していたそうです。
仕事はそっちのけで宗教活動ばかりやっている人は、創価学会では尊敬されないと思います。創価学会では働き者が尊敬されるわけです。
株式投資の上前がたくさんあるおかげで左うちわで生活していたり、多額の蓄財があってプライベートジェトを乗り回しているような人は、創価学会では尊敬されないのではないでしょうか。
創価学会の人たちが重視する価値観は、拝金主義とは位相が異なるわけです。ですから支持母体が創価学会の公明党にはどこまでいっても人間主義が息づいています。
公明党は机上の理論には振り回されません。理論なんて、しょせん人間が作ったものです。人間主義に基づく子育て対策を進め、それが結果的に働き者を増やし、納税者を増やす。公明党流の福祉政策は、財源面でも日本社会を底支えしているのです。――佐藤(P161)
 
●公明党が重視するのは、あくまでも地域で生きる「人」です。町を造ればいいとか、商店街を整備すればいいというハード面だけに公明党が焦点を当てているわけではありません。地方で生きる「人」とソフトパワーが輝いていかなければ、地方創生は画竜点睛を欠いてしまいます。――山口(P185)
 
●霞ヶ関の官僚たちのイメージは「公明党は世俗政党」「自民党は宗教政党」と変わってきているのです。
公明党は理詰めの議論を大切にしますし、意見の異なる人と話をするときにもケンカになりません。だから公明党の議員とは、誰とでも話しがしやすいのです。
これに対して、自民党の一部には、むしろ宗教と言ったほうがいいようなイデオロギーを持っている人たちもいる。
日中外交や日韓外交が典型ですが、公明党は他の政党とは明らかに一線を画して世界で受け入れられています。なぜか。その理由の根幹は、SGIのメンバーが世界中に存在し、公明党はSGIの人間主義の価値観を共有しているからです。――佐藤(P210)