原晃志郎です。今回の演出を務めます。よろしくお願いします。
「ケチャップ・オブ・ザ・デッド」という作品自体は高校の頃から名前を知っており、部活の顧問の先生に何回もおすすめされた記憶があります。そんな縁のある作品を今回上演することになったのですが、これがなかなかに難しい。なにせゾンビに造詣が深い部員が誰一人いないのです。「ゾンビとは」を考えるところから稽古がスタートしました。
考えてみるとゾンビというキャラクターはなかなかに特異的な存在であると思います。我々はゾンビといわれて同じようなイメージを共有することができるわけですが、それほどまでにパブリックイメージが浸透しているのは、ゾンビが誰でもなりうる存在であるというのが理由にあるように思います。いつだれがゾンビになるか分からない。さっきまで人間だったものが人間の形をして襲い掛かってくる。なんて便利でストーリー性に富む設定なんだ。この便利さ、身近さ、そしてチープさがゾンビをこれほどまでに大衆受けするようにした要因のように思います。
そしてふと思ったんですよ。僕、最近ゾンビ化してないだろうかって。いや、生きているんですけど。ただ最近、本当に思考停止している。なんて無気力なんだと思ってしまう。自分のやりたいことも分からない、わけでもないんですけどただぼーっとしてしまう。原因は明確なのですが…
皆さんはご存じでしょうか、
「Youtube short」というものを。
最近これで真面目に悩んでいます。気がつくとスクロールして新たな刺激を得ようとしている自分がいます。脳内麻薬に溺れてます。やはりスマホというのは恐ろしいものなのかもしれません。刺激を求めて延々とネットの海を彷徨ってしまう、スリルを求めてゾンビ映画を見るように。ミイラ取りがミイラ。
ドーパミンのためにスマホをスクロールすることと、食肉の欲求のままに人を襲うことの何が違うと言えるでしょうか。
ゾンビ化の原因というのは宗教的な施術から始まり化学実験やパンデミックなど、時代を反映したものとなっています。このインターネットが普及した現代、人の思考力を奪いまさに「ゾンビ化」させてしまう原因になるのは、もしかすると何よりも身近なスマートフォンなのかもしれない…
思考を止めるな!!!!!!!
最後になりますが、恥ずかしながら僕は演劇という創作活動を行っているにもかかわらず自分の感覚を言葉であれ何であれ表現することが非常に苦手です。おそらくそれは今までアウトプットする経験が圧倒的に不足しているからでしょう。自分をさらけ出すことへの恐れもあるかもしれません。だからこそ一つの作品に対してああでもないこうでもないとぶつけ合う空間が僕にとっては刺激的であり、常に何かを表現しようとしている人と触れ合える貴重な時間というわけです。
今回初めて演出をやってみて、正直ほんとによくわかんなかった!暗中模索!正解とかないし。一人では何もできないですよほんと。だからこそのスタッフでありだからこその役者でありだからこその団員なんだなと!そのありがたみをしっかりと実感するいい機会にもなりました。
僕が不器用なりにコミュニケーションをとりつつ、みんなで考えてみんなで作った作品、ぜひ楽しんでご覧ください。
今日の一曲 Don't Stop Me Now / Queen