「地球屋」は四条河原町からほんのちょっとだけ下ったとこにあった。数年前、閉店することにしたんやけど、存続させようとする人が現れて営業を続けるという記事があったから、いまもあるんとちゃうやろか?
厨房を囲んでカウンター席があって、その外側には座敷があったな、たしか。壁には外国の紙幣がべたべたと貼ってあったんとちゃうかな。異国を知らん大学生やったから、間違いなく異国的な場所やった。
誰が地球屋に連れて行ってくれたのか覚えてへん。自分で見つけたはずはない。いまの京都みたいに、外国人の観光客がわんさかおる時代やなかった。そこで知り合うたのは「ジャックさん」やった。フランス人やった。太目のミック・ジャガーて言うたら、何となく彼の容貌をわかってもらえんるんとちゃうやろか?フランス人やったけど「英会話のセンセ」やった。当時は「ハクジンのガイジンさん」やったら、ほぼ誰でも「英会話のセンセ」になれたんや。ええ加減な話やで。
ま、それで地球屋やけど、店長は割り箸で瓶ビールの栓をポンポンと抜いてたな。忘れられへんのは、「カネ払うまでが客や。カネ払ろたら早よ帰れ!」。なつかしいわ、ホンマに。
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