遥かなる人に想いを馳せて~8
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ある程度池袋を知っている人でも、えっ、池袋に北口なんてあったの?西口じゃなくて?
そんなマイナーさが有るらしいです、自分は最も利用するのが北口なんで
池袋=北口!
バカヤロー池袋と言ったら北口でぃ!
待ち合わせと言ったら北口珈琲伯爵でぃ!
池袋北口からビックカメラはスタートしたんでぃ!
池袋の北口じゃなくて北口に池袋が有るんでぃ!
と、言ったぐらい北口贔屓です ハイ
でも最近は待ち合わせなんかしていても、ほんとぉおおおに中国語しか聞こえてこない
日本語が聞こえて来るとホッとするぐらいですけどね
まぁそんな街中で旭日旗のプリントしたジャンバーや帽子被ってるの俺ぐらいしかお目に掛かった事無いですけど
そんな北口の地下から地上への出口で
俺はドキドキしながら階段を昇って来る人を眺めていた
聞いた年齢は60才だった
それらしい人をつぶさに一人も取りこぼさないように、見逃さない様にと
神経を集中してじっと眺めていた
その時だった!
おおっ!!
あっ!あれはぁー!
どこのお店のお姉ちゃんかな!ナイスバディーセクシーだなぁ
容姿端麗、雰囲気ももろ俺の好みだしっ🎵
いいなあ~!最高
えっ?(--;)いっ…いやっ すみません
つ、つい一応条件反射なもんではいっ …スンマセン
今日の目的は違うんだっけ・・・・ってこれじゃいつもはしてるみてぇじゃねーか
早めに着いたんで、20分程してからだろうか
俺の5m程前方、キョロキョロしながら、人を探している様子のそれらしいお方が
あっ、居た、きっとあの人だ ご子孫さま
その人ね、丁度携帯をポケットから取出して電話しようとしていたんだよね
その時どちらからともなく俺とその人の目と目があった…
不思議とね、二人同時にお互いに確信しあえたんだよね
あっ、この人だってお互いに
初めて、こんな流れで会ったのにさ、何故かぎこちなさがなんか無くて
旧知の人に、久々に再会したって感じだったんだよね
俺達は近くの喫茶店へと入って行った 伯爵です珈琲館伯爵
席に座り2人ともコーヒーを頼んで
いやいや、どーもこのたびは
いえいえどーもどーも恐縮ですみたいな会話、アハハ
お互いに、こんな事初めてなもんですから、なんかどうしていいやら的ムードだった
そりゃそうだよな
年がら年中、子孫を探したり、ご先祖様の物を持って人が尋ねて来たりしたら
どんだけ~
てなもんだよ
なんか不思議な感じだった
そのご子孫さんに全く他人の俺が
手帳を1ページ1ページ捲りながら、その内容を説明し逆にご先祖様の痕跡
当時、どんな事をして来たのか説明をしてるんだよね
説明しながらさ、なんかね、たったここ数日の事なのにさ、自分が歩んで来た道のりまでが次々と頭のなかで思い描かれて来て・・・
なんだか一気に何かの扉が開いた感じだった
ご長男さんは曾孫にあたる方で、山形にはまだお母さん
この手帳の持ち主の孫にあたる方が90才を過ぎても御健在らしくてさ
よかった!その人にとってお爺ちゃんになる人の手帳を届ける事が出来た訳だ。
俺からしてみたら喜びが倍増した
凄いよね、長男さんの子供、孫がいて
えーとえーと、曾孫→玄孫(やしゃまご)→その次解らん
(--;)σ【玄々孫】やしゃしゃ?まご?とでも言うのか?
まさに生で歴史を感じたぞ
なんかね、長男さん鎌倉時代?とにかく遥か昔にご先祖様が植えたと云われている、地元の
老木の写真が掲載された新聞記事を見せてくれたんだ。
本当に昔から山形のその土地に居たんだね~
この手帳の記載にね、保護者
身元保証人が書いてあるんだけどさ、つまり更に先代の方、手帳の持ち主のお父さん。
今こうして俺の目の前にいる長男さんからみたら曾曾じいちゃんか
手帳の持ち主の名前と更に遥か昔のご先祖様がまったく同じ名前なんだよね、フルネームが同じ
なんでも本家を引き継ぐ長男が代々名前を引き継いで来たんだって。
(ミドルネーム?なのかな?何とか雲座衛門ノ助みたいな名前です)
この手帳の持ち主も
長男さんのお父さんも同じ名前を引き継ぎ承継して来た
で…俺は気になり聞いてみた、
して…長男さんも継承してこの名前を使用なさってるんでしょうか?と
頭をカキカキ、照れ笑いをしながら長男さんは
「いやぁ~今さらながら、本来なら私が継承するんですが、今の時代となっては…お恥ずかしい」
私の代で途絶えちゃいますね…って
まっ、それが普通の感覚だよな。
でもね、勝手な俺の臆測、希望半分だけどさ。
この時長男さん、照れ笑いしながら、なんとも不思議な顔をしてくれたんだよね、これを期に退職でもしたら名前を引き継いだりしてくれそうな気がしちゃた。
色々と雑談もしてたし
たった数日の事なのに・・・
ずっと続けて来た旅が終わっちゃうみたいな・・・
そんなどこか複雑な寂しさがこみあげて来ちゃってたんだけど、
俺は長男さんに向かって自分から言葉を切り出した。
名残惜しいけど、そろそろ行きましょうかって…
そしたらさ、俺もある程度予測はしてたけど、長男さんの口から出て来たその言葉
当然なんだよね、相手の立場からしてみりゃさ
ある日突然、ご先祖様の物を持って目の前に現れた、見知らぬ男…
そりゃ一抹の不安はあって当然だよ
「あのぉ~小次郎さん、なんせ、わたくしこんな事は初めてなもんでして…
こんな時…大変失礼ですが…
そのぉ~なんと言いますが、ご気分を害されたら申し訳ないのですが・・・
お幾ら程お渡ししていいものかと…お礼金とでもいいましょうか、手帳のお代金とでも言うのでしょうか・・・」
キッ!
キタァァァ―――――――――――――――
(・∀・ノ)ノ ―――――――――――――!!!
実は!!この相手のセリフ!
もう十分に予測していた
相手の立場を考えたら、そりゃ普通は悩むだろうと
俺もその点はずっと気にしていたし
もしも謝礼とかお金について相手が俺に話をふって来たら
この点について考える時間が十分あったから結果、俺はなんて答えるのかは
ちゃんと決めていた
実はそれが一番の楽しみ
俺からしてみりゃこの旅最大のクライマックス
相手が謝礼なんかの話をして来るのを今か今かと実は心待ちにしていたぐらいで
だからねもう心の中で俺は狂喜乱舞ですよ
来たぁぁーーーー!
ついに 来た来た来たぁーーー!!
待ってましたぁぁ! てな具合で
予測通りのセリフ展開、最高、ありがとうございますご長男様!
ダサい!クサイ!絶対に普通は言わねーから!
がっ!
しかしどーしても俺は言ってみたかった
いや絶対に聞かれたら言ってみたかった!
俺はその言ってみたかったダサいセリフを、ついに長男様に向かいはいた
ヾ( ̄▽ ̄;)チョイト、チョイトご長男さん
俺の・・・・
男のロマンを壊さないでくださいよ
これはね、勝手に俺が夢を見させてもらったんですよ
逆にこちらが感謝をしたいくらいです
これはね【ロマン】なんですよ
うわぁー!うわぁぁぁあ!
くっさーっ!くさいダサい今どき言わねーから
三流映画のセリフでもぬぇーだろそんなセリフは!!
うわぁぁぁあー!
うわぁぁぁあぁあ!
いっちゃた
いっちゃた
でもね、でもね
ど ぉーーしても言ってみたかったんだよぉぉ
言ってみたかったんだよぉ
でも、短かった旅もこれで終わっちゃたんだなぁ
少し・・・淋しかった
でね、ご長男さん
手土産にお菓子を持参してくれたんだ
サブレだった…
一万円札の形をした…
福沢諭吉のサブレ…
家に帰ってそれを目にした時
俺は福沢諭吉のサブレを眺めながら不思議で複雑な気持ちになっていた
やっぱり縁があるのかなぁ・・・・
偶然呼びあったのかどうかはしらないけど
戸籍には載ってないし
確証するような資料も何もない事なんだけど
俺の曾じぃさん
福沢諭吉らしいんですよね
確証出来ないけど
やっぱり…そうなのかなぁ
俺の中で話し半分で半信半疑だったんだけど・・福沢諭吉
偶然にしちゃ不思議だなぁ
そんな気持ちで帰宅し親父に今までの話をしてみた
うちの親父は俺の話し聞いて苦笑いしてたよ
ご先様を、ご先祖で返してきたかってさ