以前、心神の疾患の症例報告の記事を書いたが
それから心神の疾患の相談者が多くなった。
「こんなにも悩んでいる人がいたのか…!」と思うと同時に
「この分野は病院ではなかなか治らんからなぁ」と納得したところもあった。
そして大抵の相談者は病院を受診して
安定剤やそれに準じる抗精神薬を出されるが
飲んでも効果がイマイチもしくは飲みたくない、という思いがある。
現在
その疾患で当店にて対応している相談者達は
最初に脱落した人を除くと
全員良好な経過を辿っている。
自分としてもある程度パターン化できているので、
その結果として成果が出ているのだろう。
漢方治療には虚実という最重要な概念がある。
が、中医学と日本漢方では虚実の意味がやや異なる。
中医学では
虚とは「本来の生命力や抵抗力が弱まって、身体の機能低下や不足した状態」
実とは「体外から邪(有害なもの)の侵入によって、身体の機能が損なわれたり過剰な状態」
と定義されている。
(成書を写したのではなく自分の言葉で述べたので、全く正確ではないかもしれませんが、こんなニュアンスで間違いないです)
対して日本漢方では
虚に関しては同じだが、実に関しては
「比較的体力のある状態」
が定義なのである。
なんじゃそら!?「体力のある」って誰が決めるんよ??相談者にその場で体力テストでもしてもらうんかい!?
といったツッコミどころ満載な概念があるので、最近は日本漢方を使った漢方治療は行っていない。
ここで本題のタイトルの言葉について。
少なくとも当店に通われている心神異常を患っている方々は、話を聞くと最初は外的ストレスによる実証だったことが多い。そしてそれが慢性化して身体や心が耐えきれなくなり、弱って虚証になってしまう。
実証であった期間の差はあれど、現状は虚が軸であることは間違いない。
その証左として、いずれの相談者も鬱々とした気分で、何かしらの外的刺激に対して怒るというよりも落ち込む、という形で反応が表れていた。
しかし
状態が改善されていくにつれて
外的刺激に対して
イラっとする反応や
反論する意見などを述べる
などと
変わってきたとの報告を受けた。
まさしく「実から虚、虚から実へ」である。
こうなってくると、経過が逆回転するが如く感情表現や口数も多くなってきて、自他共に改善を認めることができる。
ただし!上記の虚実をしっかり理解している人が、この経過を読むと
「ん?『虚から実』って日本漢方的なんじゃないの?」
と思うことだろう。
そう、まさに「(精神的な)比較的体力のある状態」となるのである…!!
そう考えると、日本漢方の虚実もあながち捨てたものではないのか…?と少々頭が混乱している今日この頃なのだ。。
上記の疾患に限らず、どの疾患でも慢性化すると虚証となってしまう。
実証は不要なものを排出してやることで解決するので、治りがまだはやいが、虚証だと不足しているものを補うので時間がかかる傾向がある。
何事も治すのなら
早いうちがいいということだ。
こじかんぽう