20代 女性

主訴はアトピー性皮膚炎

過食・嘔吐

妊娠希望。


いずれも困っており、とにかく3つの主訴のうち1つでもいいから改善してほしい、とのことで相談に訪れた。


アトピー性皮膚炎は幼少期から。

患部は手や背中、頭部。

夜間は腹部も痒い。

背中はガサガサでつっぱり感がある。


ベースとして痒みは常にある(4レベル)。入浴や夜間の痒みはMAXレベル。熱感が強く、冷やすとマシになる。汗でやハウスダストがある環境でも痒くなる。イライラすることで腿や頭がの痒みが発生する。


過食・嘔吐は1年前から。空腹感はある。

便秘もしくは下痢のパターン。


舌は紅色で嫰舌。乳頭が見えず。怒張あり。

脈は細数。瞼はOK。


服用薬は、抗ヒスタミン薬、メンタル系薬や眠剤を数種類。


過食・嘔吐はメンタルからきている可能性が高い。子宝もすぐには結果は出ないと思われ、すぐに結果を出せそうなアトピー性皮膚炎から治療することを提案し、受諾。


ただし、嘔吐の頻度が多いと漢方薬も吐いてしまうと吸収できなくなると困るので、その旨を確認したところ、嘔吐は高頻度ではないとのこと。


基本的な考えとして風呂で痒みが増悪するというのは実熱症と考えている。「熱感や冷やすとマシになる」の情報からもそれがわかる。


また、夜間の痒みは血分がほぼ関係ある。


肌のつっぱりは、肌に毛細血管を通じて(栄養を含んだ)血が届いていないことにより発生している。 


アトピー性皮膚炎は病位は肺や脾がほとんどである。今回の場合は、ハウスダストの環境で悪化する、ということは病位は肺系。



舌からは気陰両虚と判断できるが、これはアトピー性皮膚炎に関しては無関係と判断。


肺系の湿熱を除去する荊芥連翹湯、血分熱を冷まし解毒機能のある玉金製剤(夜のみ)、薬効を皮膚表面まで届かせるために桂枝茯苓丸。


7日後

ベースの痒みは4から1-2に低下。入浴直後のみ痒みが5、すぐに落ち着く。夜間の痒みはほぼゼロ。

熱感は感じなくなった。ヒリヒリするが痒みではない。背中のつっぱりは強くなった。


荊芥連翹湯に含まれている清熱燥湿成分がヒリヒリを引き起こすようなので、四物湯を少量追加したところ、ヒリヒリは改善。




そしてなんと!

妊娠19週が発覚し

嘔吐はゼロになり食事もとれてきた。


一気に2つが解決してしまった。。

ひょっとして嘔吐はつわりだったのか??



ホントのところは不明だが

まぁしかしあとはアトピー性皮膚炎を全力で治すのみ…!!


そんなこんなで改善しつつ、夜間の痒みは再発し入浴後に体を拭いた時が最も痒くなる、とのこと。



身体の熱感は無くなったようなので、湿熱除去剤は不要なので気血を充実させることで乾燥を改善させるべく、帰脾湯をチョイス。桂枝茯苓丸はそのまま。

 


これにより

身体のピリピリは消失し、掻いた傷痕の治りが良くなっている。痒みもなし。


このまま継続で様子見中である。


ちなみに帰脾湯をチョイスしたのは、この相談者は睡眠が最近良くないとの訴えがあったこと、メンタル系の処方薬があることなどによる。

それらがなければ別の方剤にしていたので、全員が帰脾湯が適応とは限らないので注意。



漢方治療はテイラーメイドなのですよ。



こじかんぽう