今日は「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live!」のDAY1,そして#毎月10日は天使天才天王寺の日ということで,ながらく更新できてなかった「璃奈ちゃんボード~廉価版~の作り方の記事を頑張って更新します!

今回は現地にいけないので,#璃奈ちゃんボード学会 のオンライン活動として...


本当は今回の5th前に記事を完成させたかったのですが,これからファンミもありますし,今回のライブで璃奈ちゃんボード作成に興味を持った方があれば,参考にしていただければ幸いです.
 

なお,必要な材料や道具は璃奈ちゃんボード~廉価版~の作り方(1)を,LEDパネルに璃奈ちゃんボードの表情を表示させる」処理は,璃奈ちゃんボード~廉価版~の作り方(2)をご覧ください.

 

  璃奈ちゃんボードの作成手順~基本編~

璃奈ちゃんボードの基本的な作成手順は,大きく分けて以下のステップで行います.

  1. マイコン(ESP32)のはんだ付け
  2. Arudinoの開発環境IDEのインストール
  3. LEDパネルの制御プログラムの設定
  4. WiFi経由でボードを制御する機能の設定
  5. 璃奈ちゃんボードコントローラーの動作確認
  6. ボードの外枠の作成
  7. ボードの表情の追加(オプション)
前回の記事では,璃奈ちゃんボードのLED表示部分が動作する,STEP3まで解説しましたので,今回はSTEP4から解説を続けます.
なお,必要な材料や道具はこちの記事をご覧ください.

STEP.4WiFi経由でボードを制御する機能の設定

 

この作業では,璃奈ちゃんボードをWiFi経由でスマホ,PCなどから制御できるようにします.
仕組みとしては,

  • マイコン(FSP32)をWiFiに接続し「同じWiFiに接続している機器からのみアクセス可能なサーバー」を実行し,
  • 同じWiFiに接続したスマホ,タブレット,PC等から「璃奈ちゃんボードコントローラー(Webページとして実装)」を通して制御する

というプログラムを用意しています.

利用するWiFiに制限はありませんが,外出先での使用を想定して,以下では「スマホのテザリング機能」iphoneでは「インターネット共有」)を利用する場合で説明します.(別のWiFiを使用する場合も手順は同じなので,必要な方は,適宜,読み替えてください)

1)WiFi設定の確認
WiFi接続に使用する「スマホのテザリング(iphoneでは「インターネット共有」)」の設定を確認し,
・SSID(iPhoneでは「ネットワーク名」)
・パスワード

をメモしておく.

2)コントローラー対応の璃奈ちゃんボード用プログラム
こちらで公開している璃奈ちゃんボード用プログラム(Arudinoスケッチ)をダウンロードする.

3)プログラムのWiFi設定の変更

2)でダウンロードしたプログラムをArduinoIDEで開き,4-5行目あたりの「//WiFi設定」の部分にある
const char* ssid     = "XXXXX";
const char* password = "YYYYY";

の,XXXXXYYYYYの部分を,それぞれを,
・XXXXX→1)で調べたSSID
・YYYYY→1)で調べたWiFiのパスワード
に書き換える.

4)ArduinoIDEの「シリアルモニタ」の設定
プログラムの動作確認をするために,PCにESP32(璃奈ちゃんボード用のマイコン)をUSBケーブルで接続し,
「ツール>シリアルポート」で該当するシリアルポートを選択した上で,
「ツール>シリアルモニタ」を実行する.

すると,下記のようなウィンドウが表示される(下図で表示されている内容は,後で表示されるメッセージなので,現時点では無視してください)ので,
①通信速度の欄で「115200bps」を選択する.

図1.ArduinoIDEの「シリアルモニタ」の表示例


5)プログラムのマイコンへの書き込み,動作確認
3)でWiFi設定を変更した璃奈ちゃんボード用プログラムを,
・4)の手順で「シリアルモニタを開いた状態」,かつ
・1)で用意した「スマホのテザリングをON」にした状態
で,ArudinoIDEの「スケッチ>マイコンボードに書き込む」を実行(→ボタンでも同じ)して,マイコンにプログラムを書き込む.
※書き込み方法の詳細は,こちらの記事の「STEP3:LEDパネルの制御プログラムの設定」を参照してください.

プログラムの書き込みが完了すると,シリアルモニタに図1のような内容が表示されます.
②には設定したSSIDが表示され,
・最終的に③のように「WiFi connected.」と表示されたら,
接続成功です.
このとき,表示されている「IP address」(例:192.168.43.188)は,後ほど必要となりますので,メモしておいてください
(このIP addressは,マイコンやWiFi設定ごとに異なります.)

 

「WiFi connected.」が表示されず,「setLED x」(xは数字)が次々と表示される
場合は,WiFi接続に失敗
です.
マイコン(ESP32)についている「RESET」というボタンを押すと,もう一度,接続が開始されるので,もう一度試してください.
何度か,RESETを押してもうまく行かないときは,下記の「マイコンのWiFi接続がうまく行かないときは」の方法を試してください.
 
なお,この接続の処理を行っている間,璃奈ちゃんボードのLEDパネル上には,下記の動画のような「電波マーク」が表示され,
・接続が成功した場合
 →璃奈ちゃんのドット絵が表示された状態でボードの表示が止まる
・接続が失敗した場合
 →璃奈ちゃんボードの表示が一定時間で順番に変る
となります.

 

マイコンのWiFi接続がうまく行かないときは

下記の5)の手順でWiFi接続がうまく行かないときは,
・スマホのテザリング設定を「セキュリティ無し(パスワード無し)」で接続できる
ようにした上で,3)のプログラム設定を下記のように修正して試してください.

 

  • 「const char* password = "YYYYY";」の行頭に「//」を追加してコメントアウトする
  • 125行目あたりにある
     WiFi.begin(ssid, password);
     //WiFi.begin(ssid);
    の部分の「//」を
     // WiFi.begin(ssid, password);
     WiFi.begin(ssid);
    のように変更する
  • これらを変更したうえで,4),5)の手順をやり直す.

STEP.5璃奈ちゃんボードコントローラーの動作確認

WiFi経由でボードを制御する機能の設定が無事に完了したら,いよいよ,璃奈ちゃんボードコントローラーでの制御を行います.
ここでは「公開用に準備した璃奈ちゃんボードコントローラー」のWebページを使って制御します.

 

SETP4のマイコンへのWiFi接続が成功したら「テザリングに使用ているスマホ」(または,同じテザリングに接続しているPCやタブレット)のWebブラウザ

のページを開いてください.
(※使用する端末や開き方によっては上記のURLが,http://...からhttps://...に勝手に書き換えらる場合があるようです.その場合は,http://...に書き換えてください)

 

すると図2のような起動画面が表示されるので,
「璃奈ちゃんボード(EPS32)のアドレス(http://...)」の欄を
「5)で調べたIPアドレス」に変更して「OK」
を押してください.

図2.璃奈ちゃんボードコントローラー「起動画面」

 

すると,図3のような「璃奈ちゃんボード☆コントローラー(メイン画面)」が表示されます.(このページを「ブックマーク」に追加しておくと,次回以降はブックマークから 直接開くことができます.)

図3.璃奈ちゃんボードコントローラー「メイン画面」

 

この画面上で,璃奈ちゃんボードの表示を制御できます.
以下,それぞれの設定の使い方です.


「モード」設定

  • オート(all):すべてのパターンの表示を順番に繰り返す

  • オート(璃奈ちゃん):璃奈ちゃんのドット絵+表情のパターンのみを繰り返す

  • ※起動時の設定では,「オート(all)」と動作の差はありませんが,後述の「追加パターン」は,「オート(璃奈ちゃん)」ではスキップされます.

  •  手動:表情は選択したものが表示される,自動的には変わらない.

「表情」設定

  • クリック(タップ)で選択した表情が表示される.

  • オート利用時は,選択した表情を表示した後,そのまま順番に切り替わる

「色」の変更

  • ボードの表情を表示する際の「色」が選択したものに変る

  • ドット絵の色は変りません

「明るさ」設定

  • LEDの明るさを変更する

  • 屋外では明るめに設定しないと,表情が見えにくいので,周りの明るさに応じて適宜,変更してください.

「追加パターン」設定

  • ボードに表示するでパターンをP1~P4の4パターン追加することができる.

  • P1~P4のボタンを押すと,それぞれの表情が追加・表示される.

  • ここで追加したパターンは「オート(all)」でも表示される.

  • 表示するパターンのデータは「256文字の文字列」で表現されています.

  • →最初は,サンプルとしてQU4RTSの4人のドット絵のデータが入っています.

  • オリジナルのデータの作成方法は下記の「STEP6.璃奈ちゃんボード用のデータ作成方法」を参照してください.

STEP.6ボードの表情の追加(オプション)

璃奈ちゃんボードの表情の追加や変更をしたいときは,表示用のデータを作成することで行えます.

 

データ作成は,こちらのGoogleスプレッドシートを開いた後「ファイル」→「コピーを作成」自分用のデータ入力シートを作成して行ってください.


具体的には,「マスター」というシートをコピーして,表情のパターンのところを適宜,書き換えてください(図4).
マス目の欄に「0~9,A~O」もしくは「R」のいずれか(アルファベットは大文字)を入力すると,そのマス目の色が1-5行目の色見本に沿って変りますので,それを用いてパターンを描きます.
パターンを描き終わったら「プログラム用データ→」と書かれた部分に表示される256文字の文字列をコピーして,上記で説明した「璃奈ちゃんボード☆コントローラー」の「追加パターン」のデータ入力欄に貼り付けて利用できます.

 

図4.璃奈ちゃんボード「データ編集用」シート

 

STEP4,5で導入したプログラムに上記の方法で作成したデータを追加することで,あらかじめボードに表示するデータとして登録することも可能ですが,その方法は後日,記事にしたいと思います.
(記事を書くのが必になるかわからないので,Twitterで,お問い合わせいただければ個別にお伝えすることも可です)
 

STEP.7ボードの外枠の作成

ここまでは,璃奈ちゃんボードのメイン部分であ「LEDパネル」の作成方法を解説してきましたが,最後にボードの外枠を作成する方法を解説します.

璃奈ちゃんボードを作成されている方には,3Dプリンタを利用している方が多いように思われますが,ここでは,いわゆる「段ボール工作」での作成方法を紹介します.

 

1)材料
利用している素材は,100均で購入した「A4サイズのカードケース(固いタイプ)」「シール用紙(こちらは普通の紙でも代用可能)」,あとは段ボールです.
あと,ボードの色にあわせた「マスキングテープ」があると諸々の調整に便利です.

図5.100均で購入した材料の例

 

2)作り方
ボードの外枠は「こちらにあるデータ」(PDFは印刷用,元データはPPTX)をプリンタで印刷して作ります.
どの図を使うかや,色の変更は好みに応じて行ってください.

最低限,用意するのは下記のパーツです(図6).

  • ①段ボールに印刷した紙を貼って,切り抜いたもの(1~3,4枚)
  • カードケース(2枚の透明シートで挟む形になているのを)を2枚それぞれに分離したもの
    • ②そのうち,1枚には,ボードを印刷した紙を貼る
    • ③もう1枚は,そのまま利用する

図6.段ボールとクリアケースで作成した基本パーツ

 

基本的な構成としては,

  • LEDパネルの上に,①のカードケースにボードの枠を印刷した紙を貼ったもの(最終的には枠にあわせて外側をカットする)を図7のように重ねる

と,LEDの基盤部分が隠れて「ボードの表示面」ができます.

図7.ボードの表示面

 

ただ,このままでは,LEDの丸い形が目立って表情が少しぼやけて見えるので,

  1. LEDパネル
  2. ③カードケースの透明のシートそのまま
  3. ①段ボールで作ったボードの枠(1-3枚)
  4. ②クリアケースにボードの枠を印刷した紙を貼ったもの
  5. ①段ボールで作ったボードの枠(装飾用)

のように間を空けて重ねることで,LEDの光が適度にぼやけて,表情が自然になります(図8).
この差は,LEDドット絵を表示した際に特に顕著に出ます

図8.間にはさむ段ボールなし(左)とあり(右)の光り方の比較


この際,「3で挟む段ボール枚数」は,実際の光り方の具合を見ながら適宜,調整してください.
重ねる枚数が決まったら,重ねた状態で両面テープや糊,などで見た目がキレイになるように固定すればボード部分は完成です!
たとえば,段ボールの側面をマスキングテープで隠すと見た目がよくなります.

横の耳当て部分についても,段ボールを重ねるなどして,適宜,作成して下さい.
細かなところは,作りながら調整となりますが,マスキングテープを使うと段ボールの断面などを上手く隠すことができて便利です.

 

 

おわりに

 

大変時間がかかってしまいましたが,これで「璃奈ちゃんボード~廉価版~の作り方」の記事はひと段落です.

細かなところを含めると,まだまだ書きたい内容はあるのですが,それはまたの機会とさせていただきます.

 

このような記事をまとめようと思ったきっかけは,自分自身が「璃奈ちゃんボード」の作成がとっても楽しかったことに加えて,「自分も作ってみたい!」と言われる方とのツナガリがあってのことです.

実際に,作り方をお伝えして,璃奈ちゃんボードを作成された方が何人かおられ,まさに「璃奈ちゃんボードを通したツナガリ」が広がったことが,本当にうれしかったので,そのツナガリをもっと大きな「輪」にしたいと思って,この記事をまとめました.

 

今回紹介した作成方法は,比較的,低予算で,特別な機器がなくとも行えることが特徴です.

もし,関心をお持ちの方があれば,ぜひ,「ご自身のオリジナルの璃奈ちゃんボード」の作成の参考にしていただけますと幸いです.

 

ライブ会場に行くと,それぞれ工夫を凝らして作成された璃奈ちゃんボードをお持ちの方がたくさんおられます.
自分も,さらなる改良を加えたバージョンの作成を続けつつ,璃奈ちゃんボードの作成者の皆さまとの交流も深めたいと思っていますので,よろしくお願いいたします.

 

璃奈ちゃんボードの完成例(QU4RTZファンミ1st時作成)

璃奈ちゃんボードの完成例(虹が先4thライブ時作成※)

璃奈ちゃんボードの完成例(虹が先4thライブ時作成※)


※虹が先4thライブ時作成版は,今回の解説記事の方法に加えて,ドットをクリアに表示するための部品(3Dプリンタで作成)を利用しています.