ミャンマーの補欠選挙の意義。 | 房広治 ネパール ミャンマー維新・建国への挑戦

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 ネパールは、人口の半分が、国連の定める貧困ライン以下の生活をしている。仏陀が生まれたこの国の人々の生活をあげるのを手伝ってみよう。

今日4月1日はいよいよミャンマーの補欠選挙です。





2010年の11月の選挙で選ばれた議員664のうち、政府閣僚になった人間などは議員を辞職するという憲法にのっとり、48議席が今回の対象となるはずでした。





が、ミャンマーの一番北にあるカチン州というカチン族という少数民族がほとんどを占める州での選挙が延期になりましたので、45議席が対象となります。





この補欠選挙で、体制が変わることはないのに、世界中でミャンマーのことがニュースに取り上げられているのは、現在日本を除くG7の全てが経済制裁をしているのですが、その経済制裁が解かれる「時期」と関係していることの方が重要です。







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選挙の見通し




2月末にミャンマーで得た情報によりますと、アウンサンスーチーさんは今回、改選議席の過半数をNLDで取ることを目指しているとのことでした。




軍政権に無効にされてしまった1990年の選挙では、得票率59%、議席数80%をとりましたが、選挙運動の妨害、選挙人のリストの改ざんなどが全くなくなったかどうかの疑問点が残るのと、改選される地域では、もともと軍部への指示が強い地域という特殊性から、前回ほどの得票数、議席数はかなり難しいものとの見方です。




また、テインセイン大統領の民主化への評価が高いのも事実です。





ですので、35議席ぐらいに落ち着くのではないかと予想してます。





また、スーチーさんは大統領になるのかという質問を良く受けますが、スーチーさんはミャンマー国民にとっては、大統領以上の存在であること、本人が今年67歳になるという年齢を考えますと次の総選挙(2015年に予定されている)でNLDが過半数をとったとしても本人がなる可能性はまずないと思います。





また、全議席のうち25%は軍の任命によるので、実際50%の議席を採るというのは、改選部分の3分の2の議席を採らなければいけませんので、かなりハードルは高いと言えます。





スーチーさんはMother of Myanmarと西側の人々は呼んでます。





これは、母親の子供に対する愛情は理屈ではない無限のものであるという考え方と似てますが、スーチーさんの信念・態度がこのように呼ばれているのだと思います。





経済制裁の解除




アメリカは、公式見解としては、次の3つの条件を満たせば経済制裁を段階的に解除すると発表してます。




1つ目は全ての政治犯の無条件解放、2つ目は少数民族との和平の締結、3つ目は公正な選挙の実施です。




ただ、非公式には、今日の選挙が終了した時点でオバマ大統領かクリントン国務長官がスーチーさんに経済制裁を解除してよいかどうかを電話で尋ねるとのこと。




スーチーさんの回答次第で、場合によっては段階的では無く全面的に解除もありえるのではないかと私は思います。




ヨーロッパの方は既に、政治犯は解放されたと見ており、また、少数民族との和平も昨年12月のテインセイン大統領の軍への停戦命令が発令されたのを重要視している。





実際にはカチン州での選挙が延期されたのだが、これには目をつぶるのではないかとの予想です。





アメリカが急激に動かなければ、また、補欠選挙でとんでもない結果にならない限りは6月ごろから秋までの間に制裁解除になるのではと予想されています。





ちなみに、私がヤンゴンに滞在した2月末時点では、ヨーロッパ関係者はアメリカの経済制裁解除は秋になると予想してましたが、最近ではアメリカの経済制裁解除がもっと早くなる可能性が出てきましたので、ヨーロッパも早めに制裁解除に向かうかもしれません。





経済制裁には3段階あるらしいのですが、一番重要な解除はミャンマー関係者との銀行取引の禁止が解除されるかどうかです。





ものの移動、即ちミャンマー製品の輸入の禁止などというものは、タイや中国経由でいくらでも迂回輸出入ができますので、輸送費とコミッションはとられますが、影響は限定的と言われてます。





それでは、明日は選挙結果を踏まえて、また。








房 広治





誤字脱字お許しください。





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