カーヴァーズ・ダズンという傑作選なんですけどね、ずっと読んでいます。
むかし一回通して気にいった短編は何度か読んで、それからいくつか他の作品も読んだんですけど、やっぱり素晴らしいな、と。
傑作選だけあってすべての作品がとてつもなく素晴らしい。

むかし以上に良さがわかります。
レイモンド・カーヴァーの言葉に耳を傾けることができるようになった気がしますよ。

それでカーヴァー自身に魅力があるんですよね。
彼は賢くて文学の才能にも恵まれていたに関わらず、ずっとアルコール中毒で苦しんだわけですよ。
言葉のあやでなく何度も死にかけて、ついに50歳で亡くなってしまった。

なにかアルコール中毒になるような、また薬物中毒になるような人は、、こころが弱いというか、自分をコントロールできない人物だと思われがちだと思うんですよね。
またちょっと反抗心があったり。
でもカーヴァーはストイックに文学と向き合う、小説や詩のために生きたがった人物ですよね。
また恵まれない人々の言葉を拾い上げるためにも小説を書いたのかな。
チェーホフに自身を重ねていたりね。
宮沢賢治もチェーホフに憧れていた部分があったと思いますが、みんなけっこう同じような気持ちで文学に向き合っていたんじゃないかなと思います。

アルコール中毒にしても、なぜかそうなってしまうんだな、と。
まわりの人を傷つけ、自分自身も傷つけるとわかっていて、アルコールを絶たないとだめだとわかっていてもそうなってしまう。
病気といえばそうなのでしょうが、アルコール依存症で苦しんだのもカーヴァーの人生のわけで。

苦しみも糧になって、素晴らしい作品をたくさん残したんだな、と。
本当に苦しんだから、作品にこころや魂とよべるものが入っているんだな、と。

すごい作家ですよ。
しかも文章やストーリーなどがとてつもなく美しい。
これぞ小説って感じです。
最近また読み返せてほんとうに良かったと思います。