最近は、「健康経営」についての話題が増えてきました。
 

「健康経営」とは、経済産業省によれば、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することをいいます。

日本再興戦略や未来投資戦略にも位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つであり、企業理念に基づいて従業員等への健康投資を行うことによって、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化がもたらされ、結果として企業業績の向上や株価の向上などにつながることが期待されていますほっこり



 

人間にとって健康といかに向き合うかは永遠のテーマだといえますが、人生100年時代がリアルに現実のものになるにつれて、ますます比重が増してきていると感じます。

従来は、健康といえば、ある程度の高齢者になってからの話題か、持病を持つ人が関心を持つテーマという感覚が強かったのかもしれません。

少なくとも、30代、40代くらいの働き盛りの男性が、「健康」「健康」と強く意識して、日々の仕事に向き合うといった光景は、あまり目にすることはなかったと思います。



でも、今は時代が変わりました。ネット上ではところ狭しと健康情報が飛び交い、YouTubeの健康チャンネルには若い男性が積極的に登場し、都会のオーガニックカフェや健康志向の飲食店にはヘルシー志向の女性ともに男性の姿もかなり増えてきました。

 

若い男性が自由なファッションに身を包んだり、コスメを用いて自分を表現するようになると、今までの「男だから」という発想や規範にも少しずつ幅が広がりはじめ、健康に対する意識もまた変化していくのかもしれませんキラキラ



そもそも、人間が仕事をする目的・理由は人それぞれですが、労働の対価として賃金を受け取るためという基本は変わらないと思います。

自己実現とか社会貢献とか人とのつながりとか技能や経験の修得とか、いろいろな要素があると思いますが、人間が生きていくためにはお金が必要である以上、生活原資の調達のためという機能が一番ではあるでしょう。



そうすると、お金と健康のプライオリティが重要になります。

生活の質を高めて人生を充実させるためには、お金が必要です。それも最低限ではなく、あるレベルまではあればあったほど、日々の生活のクオリティも高まる。だから、働き盛りのうちは、あまり痛いのかゆいのとか言わずに、とにかく仕事を頑張ってお金を稼いだ方がいい。

一方で、健康は人間のすべての活動の礎です。どんなにお金持ちでも社会的地位のある人でも他を圧倒するほど有能な人でも、命が途絶えてしまえばその瞬間すべては失われ、そうでなくても病気になってしまえば仕事どころかかなりの活動は制限されてしまう。実際には、ちょっと体調不良が続いただけでも、仕事のクオリティは著しく低下してしまうのが現実あせる



お金か?健康か?という二者択一は、そもそもが愚問なのであって、原理原則としては、健康を選ぶのが最適解なのは揺るぎません。

今はMBAよりも栄養学というビジネスマンもいるそうですが、その真偽はともかくとして、心身の健康をいかに保持増進させるかということが、あらゆる人にとって人生の中での重要テーマになっているのが現実でしょう。

それは、日本が世界に冠たる長寿王国となり、さまざまな健康情報や医療情報にだれでもいつでもアクセスできるようになったことへの、素直な対応なのだといえると思います。



栄養・睡眠・運動をバランスよく実践していかないと、健康を害する。こんなことはだれしも子どものころから教わってきたことですが、今では、いつどんな栄養をとり、睡眠時間は何時間で、運動は具体的にどうしたらいいか、という個別具体的な情報や処方箋が、たやすく入手できる世の中です。

たとえば40歳の男性Aさんの一週間の食生活を記録していったとき、彼のバイタルデータに照らして具体的に実行が必要な要素や方法、将来の疾患などの具体的なリスクや対策などがかなり明確に指摘されるのです。

この流れは、AIのめまぐるしい進化によって、5年後、10年後にはより精度が高まり、だれもが看過できないレベルに到達する可能性は高いといえるでしょう目


 

 

 

 

 

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉があります。前にブログでも書きましたが、私はあまりこの言葉は好きではありません。

ワーク(仕事)とライフ(人生)とを分けて、日本人は長時間労働しすぎだから少しでもワークの時間を減らして、その分をライフの時間にあてた方がいいという発想でしょうが、この論理でいくと、ワーク=健康によくない時間、ライフ=健康のための時間となるのでしょうか。



健康を増進するためには、栄養も睡眠も運動もバランスが肝要です。どんなに健康に良い栄養素も過剰摂取は禁物だし、睡眠の取りすぎも問題だし、筋トレなどの無酸素運動のやりすぎはリスクとなります。

日本人が将来かかりたくない病気の1位は、がんを抜いて認知症だといいますが、認知症になりやすい人の特徴は、「人生の意味を見出せない状態」にあるといいます。

つまり、人生の目標や高い志や生きる意味を見失ったような状態が続くと、他の要因ともあいまって認知症の発症リスクが増大するのですえーん



ひるがえって、人生においては健康もお金もものすごく大切ですが、どちらを失ったとき、致命的に「人生の意味」の喪失に直結するでしょうか?

もちろん、程度にもよるし、具体的な状況にもよりますが、健康は一週間くらい激しい頭痛や腹痛が続いたくらいでも、仕事どころか生活のクオリティが損なわれるのに対して、財布を落としてしまって一週間くらいまったくお金を使えないとしても、なんとかやりくりすることで生活をしのぐことが可能なケースは多いでしょう。



ワークをめちゃくちゃ頑張ったからといって「人生の意味」が見出せるとはかぎりませんが、かといってプライベートライフを充実させることで、ただちに「人生の目標」が掲げられるという可能性も基本的には低いのではないでしょうか。

苦しく厳しい仕事に直面していると身体もメンタルも辛い状況に陥ってしまいますが、でも、そこから達成感や人とのふれあいや次への目標を見出すということも、往々にしてありうることです。

少なくとも、ワークの時間を最小化して、ライフの時間を最大化することによって、必ず人生が充実していって、必ず健康になっていくというようなことは、断言することはできないでしょう。



70歳、80歳になって、年金生活で貧しい暮らしをしていたとしても、健康でありさえすれば、できる仕事がある可能性はありますが、そのくらいの年齢になって健康をそこなってしまったら、どれだけお金があったとしても、間違いなく目の前に不幸を感じてしまうと思います。

仕事にかぎらず、自分がやるべきこと、周囲から期待されること、成果になることがあると、認知症は自然と遠ざかるものです。

この点からも、より本質的に大切なのは(相対的には)お金ではなく健康だということは、間違いのない事実だと思いますびっくりマーク



「健康経営」というと、すました顔をして経営陣やコンサルタントがなにか高邁な理念を語り合っているとか、医師や看護師、栄養士などが従業員に向けて健康管理や栄養知識についてレクチャーするといった絵を思い浮かべることが多いですが、私は端的に健康とお金のプライオリティをリアルに理解し実践することだと考えています。

だれしも今日の栄養・睡眠・運動の状況が将来の身心の健康を形づくるのは間違いないですが、もっというなれば将来のみならず今日現在の自分にも多大の影響をおよぼしているという視点は、仕事に向き合う上でもとても大事でしょう。

極端な話、健康に人生100年を目指すというリアルから逆算して、「人生の目標」や「人生の意味」が導かれるという構図が自然なのかもしれません。



だれしも自分自身の経営者は自分。こんな観点から、しっかりと人生100年を見据えた「健康経営」を実践していきたいものですねニコニコ