三重県鈴鹿市の特定社会保険労務士&行政書士・小岩広宣です。
労働者派遣法の改正案の審議を予定していた今日の厚生労働委員会が、見送りとなりました。13日、14日も同改正案の審議は行わないことから、事実上、臨時国会での派遣法改正は見送りとなりました。
専門家として法改正を追いかけていると、地方在住とはいえさまざまなものが見えてきますが、肌感覚からしてもこの解散風は本物ですね。今年の年の瀬から年明けにかけて、かなり大変なことになりそうです
今回の派遣法がらみの動きは明らかに政局ですが、派遣法じたいが難解すぎるのでは?という声もあります。11月5日の衆院厚労委での塩崎厚労大臣の答弁について、批判や指摘がありました。
塩崎大臣
「やはり、組合側がですね、反対をしているということで言っているにもかかわらず、会社が意見を聞かないような場合、そういう場合にはやはり指導するということになると思います」
改正案の条文は、以下のとおりです。
第四十条の二(労働者派遣の役務の提供を受ける期間)
4 派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
5 派遣先は、第三項の規定により派遣可能期間を延長したときは、速やかに、前項に規定する労働組合(同項に規定する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者)に対し、派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。
11月6日に厚労省が委員会に提出した「過半数労働組合等からの意見聴取に係る大臣の答弁について」では、次のように説明されています。
「過半数労働組合等の反対意見があった場合に対応方針等を説明しなかったような場合は、第48条の規定に基づき、適正な実施に関し労働局が指導・助言を行う」
第四十八条(指導及び助言等)
厚生労働大臣は、この法律(前章第四節の規定を除く。第四十九条の三第一項、第五十条及び第五十一条第一項において同じ。)の施行に関し必要があると認めるときは、労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、労働者派遣事業の適正な運営又は適正な派遣就業を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。
つまりは、派遣先が派遣可能期間を延長する場合は、事前に過半数労働組合等の「意見聴取」をしなければならない。
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そして、延長したときは速やかに、延長した理由その他を労働組合等に「説明」しなければならない。
ということです。それほど難しいロジックではありません。
この考え方は、労働基準法における就業規則の作成・変更時の意見聴取の手続きと同じであり、条文構成もまったく同じです。
第九十条 (作成の手続)
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
派遣法改正はいったん出直しとなりそうですが、できるかぎりシンプルに考えて、これからの実務につなげていきたいものです
改正案は難しくない!
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