厚生労働委員会三重県鈴鹿市の特定社会保険労務士&行政書士・小岩広宣です。


「年内にも衆院解散か?」

にわかに政局が慌ただしくなってきましたね。臨時国会は重要法案がひしめいているため、解散となれば実務への影響も大きいですね。

ということで、労働者派遣法改正案の衆院厚生労働委員会での質疑。11月5日に終日質疑が行われ、7日には安倍首相出席のもとで質疑(野党は欠席)が行われました。

あす12日にも委員会で採決され、翌13日には衆院本会議にかけられるといわれています。

解散のことは誰にも分かりませんが、当面野党も審議には出席するといわれていますので、衆院通過の可能性は高まってきましたね。

野党出席して行われた5日の審議の中から、民主党の長妻昭氏、山井和則氏の質疑について振り返ってみます。




長妻氏
「雇用関係が継続しても休業になることがある。休業手当でも最低賃金を下回らないことが必要では?」


塩崎厚生労働大臣
休業手当は労基法26条により規定されており、結果として最低賃金を下回ることはありうる」


長妻氏
「製造現場では、派遣労働者の方が全労働者の倍近くの事故がある。アルバイトよりも安全衛生教育を受けていない。労災保険料を払うのは派遣元だ。こんな状態で派遣を無期にしてもいいのか? 閣議決定をやり直すべきだ」


塩崎大臣

「厚生労働省としての考え方は変わらず、閣議決定をやり直すつもりはない」


長妻氏

「ドイツでは派遣元との雇用は無期でも、派遣期間には制限がある。派遣元が無期の場合は、一生派遣になってしまう


塩崎大臣

「派遣で無期雇用の人は17%。今後はこうした人にもキャリアアップの義務がかかっていく。基本的には一時的臨時的だ」


長妻氏

「17%はこれから急増していくのでは? まったく一時的臨時的ではなくなる」


塩崎大臣

「これからはすべての派遣が許可制になる。そしてキャリアアップ措置が義務づけられる。自ら希望して派遣を選択する人もいるし、これからは正社員化を支援していく」


長妻氏

「無期に関しては、生涯派遣労働者を解禁することになることを認めるべきだ」


塩崎大臣

「キャリアアップについては無期雇用も対象。26業務は全体の約4割。無期は2割弱。今回の改正でむしろ期間制限の対象外が縮小するのでは」


長妻氏

「派遣は人事部ではなく資材扱いされていることもある。有期でも3年ごとに部署を変えれば一生派遣になる。規制改革会議も、EU並みに均等待遇にすべきといっている」


塩崎大臣
「それぞれの国の賃金体系がある。日本は能力に対応した賃金でなく、職能給の現状があるので、そのままストレートに導入は難しい」



→休業手当や労災保険の議論はちょっと的外れだと思いましたが、ドイツの例やキャリアアップ措置については確かに議論の余地はあると思います。

ただ、一生派遣が増えるから閣議決定をやり直すとか、ただちにEU並みに均等待遇といった議論は、かなり飛躍があるように感じました。




山井氏
一生派遣が増える。均等待遇がない。キャリアアップはこれから議論。これでは問題が多すぎる。与党の修正案というのは前代未聞だ。今回の改正で50万、100万人の派遣が増える。一生派遣は、今回の改正で増えるのでは?」


塩崎大臣

派遣労働者の数はさまざまな要素によって変動していく。働く側だけで決まるものではない。事前的に増えるか減るかは断定できない」


山井氏

大手派遣会社のリリースでは、5000人の無期雇用派遣を増やすとある」


塩崎大臣

「常用型には無期と有期と両方ある。今回の改正は正社員化の推進を目的としている」


山井氏

「ドイツでは2004年に派遣上限期間の撤廃で、38万人から7年間で88万人になった。厚労省はこの事実を知らない。ドイツは昨年末に1年6か月の上限に決めた。日本では増えないのか?」


塩崎大臣

「結論で増える減るという話ではない。ドイツでは雇用機会の拡大を目的に改正された。日本はやや事情が異なる」


山井氏

「大臣の『正規雇用が増える』は虚偽答弁なのでは?」


塩崎大臣

他の経済要因が変わらず、派遣労働者の方向性が変わらなければ、今回の改正は正規が増えるはずだ」


山井氏

派遣会社で無期雇用は正社員か?」


塩崎大臣

「当然、派遣会社の無期雇用は派遣労働者だ。無期雇用を正社員と認識する人もいるかもしれないが、われわれは派遣労働者と把握している」


山井氏

「正社員になれる雇用安定化措置は、昨年6月14日に人材派遣協会の規制改革会議での提案そのものだ。派遣先に依頼するだけで、正社員として雇用してもらえるのか?」


塩崎大臣

「雇用安定措置は今まではなかったものだ。人材派遣協会からの要望はたまたま厚労省の考えと一致した。直接雇用の依頼で難しい場合は、それ以外の措置を講じることになっている」


山井氏

「まったく実効性がない。キャリアアップは年に1時間、半年に1時間でもいいのか?


塩崎大臣

「個別の事案ごとに労働局で判断する。具体的には今後、労働政策審議会で議論する」


山井氏

「それでは実効性がない」


塩崎大臣

「何をどのように訓練するかによって異なるため、いちがいに答えることはできない」


山井氏

「厚労省としての資料を提出してもらいたい」


塩崎大臣

「単純化した話は難しい。労政審で議論してもらい、労働局でチェックもしていく」




→派遣労働者が増えるか減るかといったやりとりに終始している感がありますが、派遣労働者としての無期雇用化されることの意義についても論じてもいいと思います。

キャリアアップ措置の具体的実効性は大切な視点だと思います。ただ、法案から落とし込んだ内容はやはり労政審で議論されるべきなので、年に1時間だからダメという議論はやや無理がありますね。




派遣法改正も大詰め!
と思った方は、応援クリックお願いします!下矢印


にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ



三重の介護事業指定なら →介護許可.comNEW
改正派遣法対策なら →人材派遣業.comNEW


三重の信頼できる社労士なら→社会保険労務士法人ナデック
三重の信頼できる行政書士なら→行政書士事務所ナデック
会社を守る就業規則の作成なら→就業規則.com
会社がもらえる助成金なら→助成金.biz
コストダウンの給与計算なら給与計算.com
三重の会社設立・起業相談なら起業相談.com
三重のセミナー&交流会なら→みえ企業成長塾