三重県鈴鹿市の社会保険労務士・小岩広宣です。
仕事をする上で大切なのは、もちろん能力ですが、それ以外にも、「心」とか「価値観」が大事だということは、今ではいろいろな人が指摘されています。
だから、「あいつは仕事はできるんだけど・・・」といった会話が、しばしば職場で飛び交うのです。
とくに、従業員数がひと桁くらいのごくごく小さな会社では、この度合いがぐっと高くなります。
「スパンオブコントロール」という言葉があります。
これは、「1人のリーダーがコントロールできる人数は、最大で7人」ということです。
従業員がひと桁くらいの会社だと、文字どおり社長がリーダー。
だから、社長が経営者として頑張りつつ、この「スパンオブコントロール」の壁とも戦っているのです
そういう組織では、個人の能力とか業績という視点以上に、全体の調和が要求されます。
だから、「郷に入れば郷に従う」発想の希薄な人は、それが理由で排除されます。
解雇訴訟をめぐる裁判でも、ときとして「協調性の欠如」が表だって議論されるのです。
7人くらいの会社では、従業員はある意味で社長の「ファン」である必要があります。
だから、母校の後輩や前職の部下、セミナー受講生や著書の読者が、入社したりします。
社長自身に興味があり、ある意味尊敬できる従業員は、それだけで職場にとけ込めます。
でも、じつはそれだけでは不十分で、理想は社長が従業員の「ファン」になること。
この前も、ある社長がこんなことをおっしゃっていました。
「おれはこいつだけは心から認めているんだ。ある意味ファンかもしれないね」。
平凡だけど、重い言葉です。
社長が「ファン」になるくらいの従業員は、当然仕事ができ、人間的魅力があります。
そのうえ、社長からそんなふうに思われれば、モチベーションも上がらないわけがありません
「相思相愛マネジメント」という言葉もありますが、まさにこういうことをいうのでしょう。
今どき、「心」なんて、「価値観」なんて、と思わないでください。
7人くらいの会社で、お互いが尊敬しあえていない組織は、間違いなく伸び悩みます。
労使問題とか、解雇問題という前に、まずはこのシンプルな事実と向き合うべき。
労務管理とかルール整備も、もちろん大事ですが、それ以前にもっと根本的なこと。
従業員が社長の「ファン」になり、社長も頑張る従業員の「ファン」になれるか?
お互いが「ファン」になっている会社は、たとえ規模は小さくても、強い組織ですよ