第三章 “告白”

『さん!鳴海さん!』
『ん…』
頭痛い。
…あの後、なにかあったっけ。
マドンナ祭の後、みんなでノンアルコールカクテルで乾杯してて…。
『鳴海さん!』
でも一応アルコール入ってるから止めたけど…。
『鳴海さん!』
みんなは酔っぱらってて……。
あの後…。
『鳴海さん!』
『んぅ…』
誰かが呼んでる。
『鳴海さん!』
俊君?
起きたいけど頭がいたくて…。

私が目覚めたのは夜中だった。
『っ…。』
病院かな?
隣で待ちくたびれた俊君が寝てる。
頭には包帯。
よく分かんないから朝まで眠った。
その後、私が完全に眠れずに目を閉じていた。
すると、
『鳴海さん、ごめん。』
俊君は謝ってくれた。
私も俊君に話そうとした。
でも、俊君は寝ているはずの私にキスをした。
私は目覚められなかった。
恥ずかしいって言うのか…。

朝、俊君は何も無かったかの様に状況を説明してくれた。
ある男子が止めたわたしに苛立って私をふりはだいた時、頭をテーブルの角にぶつけたらしい。
私が俊君の声を聞いたのは救急車が来るまでの間。

でも、私には納得出来ない行動がある。
あのキス。
まだ口に感触が残ってる。
でも、嫌じゃなかった。
『鳴海さん。』
『あっ!なに?』
『起きてたんだろ?』
『えっ?』
『キスしたとき。』
『えっ!あ!うん。』
『俺格好悪いな。』
『…。』
『鳴海さんの事が気になってて…。』
『…。』
『この前ぶつかった時も。顔が近くてドキドキしたんだ!』
『!』
あの時、私もドキドキした。
『一年の時、ハンカチかしてくれただろ?あの時から。』
『私は、いつからか分かんない。』
『え?』
『気がつけばずっと目で追ってたの。』
私にも分からなかった。
なんであんな事いったんだろ…。

自分では告白してると言うより真実を言ってるみたいな感じで話してた。

後から我にかえった私は恥ずかしくてしゃがみこんだ。
俊君はそっと後ろから抱きしめてくれた。
『鳴海さ…美優ちゃん、ありがとう。』
第二章 “マドンナ祭”

マドンナ祭を四週間後に控えたみんなは慌ただしく準備をしていた。
『美優ちゃん、ドレス白でいい?』
『あ…うん。文枝ちゃんつくるの?』
『よしっじゃあ作るか!』
文枝ちゃんはミシンを使って衣装を作っていた。
『あの…みんなテーマは?』
みんなはこっちを見て答えた。
『お姫様!』
お・ひ・め・さ・ま?
私がお姫様?
『無理無理!』
『えーなんでぇ。』
『ぶぅぶぅ。』
俊君が言った事で私の思考が変わった。
『鳴海さんに似合うよ。』
『あっ…。山陰君が言うなら。』
『やった!文っ子!頑張れ。』
『さっさと作って!』
『うるさい!あとちょっとで出来る。』
『いいよ。そんな急がなくて!』
『ほんじゃ召使役決めよう!』
『はい!しゅーに一票。』
『あっ私もぉ。』
『えっ俺?』
『ほんじゃ決定!』
『え~!』
なんか私がトイレに行っている間に決まっていた。
私が教室に戻った時には衣装も完成していた。
『ほらっ!これ着てみて♪俊も!』
『あ…うん。』
私は女子更衣室に行って着替えた。
白い長めのドレス。
胸でとめるタイプ。
それに造花のヘッドドレス。
私は全部着て教室に戻ろうと思った時
『そんな格好じゃ歩きづらいだろ。』
俊君が歩いてきた。
白いスーツがすごく似合ってた。
『文絵もよくこんな服作れるよね。』
『鳴海さん似合ってるよ。』
『ありがと。』
『ドレス長いみたいだから後ろ持つよ。』
そういって俊君はドレスの裾を持ってくれた。

教室に戻ると、みんながこっちを見て
『超可愛い!そして格好いい!』
と褒めてくれた。

そして、マドンナ祭当日。
1-Aは堀 優羽ちゃん。
『優羽ちゃんかわゆい!』
1-Bは佐々木 美香ちゃん。
1-Cは…。
そして三年生。
『3-A代表、美優ちゃんです!』
私と一緒に俊君が出た。
『今日は、3-A代表の鳴海 美優です。テーマは姫です!』
『美優ちゃん!可愛い!』
その後、ファッションショーみたいに歩いて、戻って審査を待った。

『今回のナイスマドンナは…』
会場に緊張が走った。
『3-A代表、鳴海 美優ちゃんです!』
『ひゅー!』
私と俊君がステージに立った。
『おめでとうございます。』
3-Aには優勝カップが贈呈された。

たくさんの拍手が送られて、私はちょっと嬉しかった。

そう言う風にマドンナ祭は終わった。
  ♀×♂
第一章 “出逢い”

『きゃぁっ!』
全てはぶつかったことから始まった。
学校でモテモテの男の子だった。
確か名前は…『山陰 俊』
私は単純にびっくりした。
逃げようと思ったけど、足を捻っちゃった。
『あっや…ごめんなさい。』
俊君は膝をほろった。
『いいよ。走ってた俺も悪いし。』
『ありがと。』
『鳴海 美優さんだよね?』
『うん。』
『早く授業いかないと!』
『でも…足捻って立てない。』
俊君は無言で私をお姫様だっこして保健室まで連れてってくれた。

そして無言で帰った。

『先生、足捻りました。』
『どれどれ。』
『先生、俊君ってモテモテですよね。なんであんなにモテるんだろ。』
『あら、あなたもモテモテよ。だって山陰君は男らしい、あなたは女らしいでしょ。』
『え…。』
初めてそんな事言われた。
『はいっ!できた。歩けないのよね?ここまで誰に来てもらう?』
『でもみんな授業で…。』
すると、誰かが廊下を走って来た。
『美優ちゃんのお迎えにきたよ!』
同じクラスの双子の男子の『山野 賢』君と『充』君。
『はいはい、廊下は走らない。』
『美優ちゃんいこっ!』
私は二人に肩を借りて歩いた。
ついでに聞いてみた。
『私ってモテるの?』
二人はあんぐりしていた。
すると賢が、
『この学校のマドンナだから!』
と答えた。
さらに充が
『そうそう。山陰 俊は王子様。』
私はそんな現実を受け入れられなかった。

七月の末、クラス替えがあった。
私は3―Aになった。
そこには、俊君もいた。
しかも隣の席。
『あっ!この前は有難う。』
『いいよ。怪我させたの俺だから。』
今日はHRだった。
『橘!号令。』
『起立、礼。』
『では、今日は毎年恒例マドンナ祭についてだ。』
『やった!ついにその季節か!』
『うるさいぞ!まず代表をきめる。』
『先生!』
『なんだ吉川。』
『このクラスにはマドンナがいるじゃん。』
『は?』
『美優ちゃんだろ。やっぱ!』
『えぇ?』
私はそれしか言葉が見つからなかった。
『じゃあ鳴海で。』
私がきょとんとしていると、俊は爆笑していた。
なんだか良い出逢いなのかも♪