第三章 「プレッシャー」
蓮と私は血の繋がりが無い。
父の連れ子。
「連、歩の面倒ちゃんと見てネ!」
「今日は泊まって行くんですか。」
「ええ。可愛い弟の頼みだもの。」
「僕もそっちの方がありがたいです。」
「なぜ?」
「最近、皆寂しそうで。」
「そう。」
私はニッコリと笑った。
朝5時、外から鳥の声が聴こえた。
港は困った顔で言った。
「このままだと、ヘリで学校行くしかないですね。」
「べつに構わないわ。」
そう言って朝食を食べにリビングへ行った。
「連も学校?」
「はい。」
「そう。しっかり勉強しなさいよ。」
「わかりました。」
連はスポーツが得意だ。
連は血がつながっていないせいか、お金に興味が無い。
「全て、私にかかっている。」そんなプレッシャーに負けそうになる。
ヘリで学校へむかった。
ついたはいいが、着陸する所がない。
「仕方ありませんね。」港はそう言って私を抱き抱えた。
「音織様。ちゃんとつかまっててください。」
そう言って、ヘリから地上へと延びるロープに摑まった。
「大丈夫なの?」私が不安そうに言うと、
「恐らく。」と言って、下り始めた。
私はしっかりと摑まった。
「音織様、着きましたよ。」
そこには、何人もの人だかりと学校があった。
ふと思い出した。
「港、あなた高所恐怖症じゃなかった?」
「はい。でももう大丈夫です。」
その言葉にほっとして、いつもどおり授業に取り組めた。
そして家に帰った。
すると、母に問いつめられた。
「私が旅行に行っている間に何があったの?召使は港だし。」
「音織、ちゃんと母さんに話しなさい。召使を港にした俺にも責任がある。」
「お母様の選んだ召使は全然ダメでして港のほうが良く分かっていたので。」
「昨日はどこに行ってたの?」
「歩のいる別荘です。」
そう言うと、母は怒りながら言った。
「あなたは当主となる人間よ。そんな人が別荘で寛ぐとは・・・。」
母はそう言って、いらだちを隠せない様子で帰ろうとして、こう言った。
「とにかく、当主としての自覚をもちなさい。」
そんなの分かっている。
小さいときからそう言われているもの。
体の弱い弟に、血のつながらない弟。
2人に迷惑をかける訳にはいかない。
私ががんばらなくちゃ。
私は仕事を全部受けた。
姫野家当主に似合う人材になろうと。
どんなに弟に会いたくても、その気持ちを押し殺して。
電話が来れば、
「今は行けないけど、暇さえあれば行くわ。」
と答え、何度もその繰り返し。
私の体は大丈夫だけど、私の知らないところで人に迷惑をかけていた。