これは
ある結婚式でのエピソードです。
その披露宴は、新郎新婦の友人や親戚を中心に40名くらいの、アットホームなパーティーで、
一番後ろにある、
新婦のご両親のお席には、笑顔で、どこか寂しげな表情のお父様と、
新婦のお母さまの席には、
新婦にそっくりな、
優しい笑顔のお母さまの、写真が飾ってありました。
披露宴は和やかな雰囲気で進み、
ご友人も、ご親族の方々も、
新郎新婦を心から祝福していました。
披露宴もお開きに近づいてきた頃、
新婦のお父様が、
司会をしていた私の所に、
新婦に、どうしても伝えたい事があるので
サプライズでスピーチさせてほしいと、お願いされました。
私は、新郎に確認をとり、
花嫁さんの手紙の前に、お父様のスピーチの時間を作りました。
「それではここで、新婦のお父様よりスピーチを頂きます。」
突然の事に、びっくりした表情の新婦。
会場もお父様のお話に耳を傾けました。
お父様は
「突然スミマセン。ただ、娘が嫁に行くときに、どうしても伝えたかった事がありまして・・」
そう言うと、お父様はこんな話を始めました。
新婦のお母さまは、新婦が産まれてすぐ、お亡くなりになったそうです。
体が弱かったお母様は、
新婦を身ごもったとき、お医者さんから、
出産は体がもたないかもしれないから、諦めた方がいいと言われたのですが、
「絶対に産む!」
と、固い決心で出産を決めたそうです。
新婦のお母様は、
産まれてくる子を楽しみに
「元気に産まれて来てね❤早く会いたいな
と、嬉しそうに、
毎日毎日
お腹に話しかけていたそうです。
出産を迎え、
お母様は
「大丈夫だと思うけど、もしも、私に何かあったら、この子をお願いね」
と、お父様に伝え、
元気な女の子を産み、静かに息を引き取ったそうです。
「その女の子が娘です。
娘は、自分が産まれたことで母親が亡くなってしまったと、産まれた事をずっと後悔していたようですが、
立ち会った私は、
娘を胸に抱き、涙を流しながら、
「産まれてくれてありがとう
と言って、見せた妻の笑顔を、今でも忘れません。
お前は、世界で一番、愛を受けて産まれたんだ。
だから、
もう何も心配せずに、世界で一番幸せになりなさい。
それが、お母さんが一番願っていた事なんだから。」
と話し、
小さなビロードの箱を出しました。
中には
可愛らしい、
金色のハートのネックレスが
入っていました。
「これは、お前が産まれる前に、お母さんと二人で、産まれてくる赤ちゃんがお嫁に行くときにあげようと思って買ったんだ。
この金色のようにキラキラした人生を送り、みんなから愛されるように、という想いでハートがイイと、お母さんが選んだものだよ。」
そう言って、
ハートのネックレスを新郎に渡し
「この子に着けてやって下さい。娘をどうぞよろしくお願いします。」
頭を深々と下げるお父様に、
新郎は泣きながら
「世界で一番幸せにします!約束します!」
と、
涙を流している新婦に
優しく、ネックレスを着けてあげました。
会場は割れんばかりの拍手に包まれ
新婦の胸元のハートのネックレスは
その日、
新婦が着けていたティアラよりも、
何よりも、
一番 輝いていました。
ご両親からの、優しい優しい贈り物。
色々な愛の形はありますが、
愛する気持ちは
永遠に続いていくものですね❤
