先手必勝
オムツマンじいじ(父ちゃんの父親)が初めてオムツマンを抱っこしたとき、
オムツマン、号泣。
それ以来、オムツマンじいじは、オムツマンに怯えている。
また、号泣されるのではないかと。
『お父さんも、抱っこしてあげて下さい』
と、明るくキャンディが言うも、
じいじの笑顔は消える。
引きつる口元。
余裕のない目。
真剣な表情のじいじ。
ぎこちなく抱っこするも、オムツマンは泣かなかった。
安堵するじいじ。
犬やネコをしつける時、まず、上下関係をはっきりさせるらしい。
背中に噛み付いたりして。ムツゴロウさんが実際にやってた。
服従させるために。
オムツマンは、じいじに最初に先制攻撃をしかけた。
それが、思いもよらぬダメージを与えた。
これで、オムツマンが優位に立ったのは間違いない。
じいじに、いっぱい、おもちゃ買ってもらえ。
まわる、まわる
オムツマン、まわる、まわる。
♪ まわって、まわって、まわって、まわ~る~ぅ~

いまだ左回転のみ。
布団の端っこまでいったら、向きを変えて、
♪ まわって、まわって、まわって、まわ~る~ぅ~
成長
世のパパママは、子供の些細な動きで成長を感じるんですよ。
ほんとにちょっとした振る舞いで、感動するんですよ。
寝返りみたいな大技じゃなくても、日々喜んでるんですよ。
『あー、あー』が『あうー、あうー』になっただけで、
“オムツマンがしゃべったよ!”
ミルクを飲んでる時に、オムツマンの手が哺乳ビンに触れただけで、
“オムツマンが哺乳ビンを持ってるよ!”
オムツマンが指を握っただけで
“オムツマンが、離してくれないんだよ”
オムツマンが足をばたばたさせただけで
“おぉ!将来はサッカー選手だな!”
オムツマンがゲップをしただけで
『すごいじゃん』
オムツマンがくしゃみをしただけで
『すごいじゃん』
オムツマンがおならをしただけで
『すごいじゃん』
オムツマンがおしっこをしただけで
『すごいじゃん』
オムツマンがウンチをしただけで
『すごいじゃん』
今日、オムツマンは、メリーを掴みました。
『すごいじゃん』
『もう、大人じゃん』
“ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ”
掴んだまま、なかなか離さないので、メリーが回れません。
『すごいじゃん』
『メリー止めちゃったじゃん』
止めて欲しかったんだね。
お散歩
今日、オムツマンをベビーカーで連れ出した。
『こんにちは』
『こんにちは』
誰か知らない若い女の人が、僕らの方を向いて挨拶してる。
向かいのアパートのベランダから。
『こんにちは』
どうやら、僕ら親子に向かって挨拶しているようだ。
洗濯物の隙間から。
いくら、向かいのアパートと言えども、面識は無い。
人違いか?
と、思っていた。3度も挨拶されてるのに。
キャンディに確認する。
『こっちを向いて挨拶している人がいるけど、知り合い?』
よく見ると、 隣に旦那まで。
その旦那の手には赤ちゃんが抱かれている。
そして、赤ちゃんは無理やり手を振らされているではないか。
間違いない。
間違いなく、知り合いではない。
なのに、僕らにむかって挨拶してくれた。
一方通行の道路を挟み、そして駐車場1台分を挟んだ、10mほど離れたところから。
『女の子ですか?』
『何ヶ月ですか?』
と、いろいろ質問してくれた。
大きな声で。 ちょっと離れてるから。
なんて、いい人だ。
きっと、仲良くできそうだ。
たいして、都会でもないのに、近所付き合いが全く無いこのアパートの多い住宅街で、
明るい光がさした散歩だった。
僕はね、小心者なんですよ。
近くのデパートとか行っても、下を向いて歩いてるタイプ。
なぜって、会社の人とすれ違ったら、面倒だから。
知らない人から挨拶されるなんて、慣れてない。
なぜって、自分からしないから。
でも、今日、勇気をもらった。
挨拶1つで、知らない人との会話ができた。(まあ、オムツマンがいたからだけど)
そして、あたたかい気分になった。
僕も、同じぐらいの親子を見たら、勇気を出して挨拶をしようと思う。
でも、すれ違いざまに挨拶しようと思う。
“えっ、誰?”
って顔をされないように。
今日、僕がしたような。
オムツマンは、相変わらずベビーカーで寝る。


